劇場公開日 2023年2月10日

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「やはりちょっといけすかないデイミアン・チャゼルよ」バビロン たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5やはりちょっといけすかないデイミアン・チャゼルよ

2023年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

ブラピは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に続くハリウッド三部作(私が勝手に名付けた)の二作目(ということにしておこう)で半分プロデューサー的彼がもっとも常識的で信頼できる安定の演技でこの映画を辛うじてアカデミーの枠内に引きとどめている。デイミアン・チャゼルは若くして巨匠になってしまい3時間を超えようがおかまいなしでやりたい放題が許されこの超クレイジーを装った映画愛を騙ったとんでもなくハッピーで虚無で背徳なくせにポリコレで無意味な楽しいムービーを我々に見せてくれるのだからなんとも切ない。それにしてもマーゴット・ロビーが役に入れ込みすぎでもったいなく、とってつけたような父や母との関係性やドラッグギャンブル依存がこれっぽっちのリアリティーも無く最後のマーニーとのダンスが8mmにおさまり闇に消えるシーンのあまりにも甘すぎる事よ。機材レンタル屋の兄ちゃんやスタジオの録音技師はさもありなんのあるあるで笑える。トーキー映画の最初のスタジオシーンは「テイク8」(上田慎一郎の名作を想起させられる)を全部きちんと見せてくれて3時間の巨匠映画に感謝。トーキーの時代到来で台詞を覚えられない悪声の俳優や字幕技師が廃れる諸行無常は周防正行の「カツベン!」の弁士にも通じるのだが、そこにテーマを絞っていればもっと優等生作品でいられたものを。アーメン。

たあちゃん