「多様性と性欲と正しさと」正欲 烏丸沙鴎さんの映画レビュー(感想・評価)
多様性と性欲と正しさと
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まず原作は未読です。
多様性が叫ばれるなか、マイノリティが如何に「普通」という概念と向き合う息苦しさを描いた……最近はなどと書かれるのでしょう。
しかし、この物語の登場人物たちは「普通」に適応しているように見せて暮らしている『MIB』の「宇宙人」のように描かれます。
その戦わなければいけない「普通」は年齢の普通、地方都市の普通、学校の普通、職場の普通など様々な「普通」が壁となり立ち塞がる。
その対局として徹底的に社会常識と「普通」の守護者として稲垣吾郎演じる寺井。
『MIB』で行ったらエージェント側。
しかし、信じる普通を突き進むあまり破滅に向かう家庭。
仮初めの夫を同好の士として信じて待つといった新垣結衣演じる夏月。
「あなたはどっちが幸せに見える?」と喉元に刃物を突き付けられた様な作品でした。
個人的にはR-18にしてもっと全てをエロティックに描いても良かった気がします。
興行を考えると全年齢をにしなければなかったのでしょうし、俳優陣がR-18では無理だったでしょう。
ただもっと突っ込んで深く登場人物たちを絵描けたと感じました。
久々の邦画でしたが、個人的には好きなテイストでした。
またヨーロッパ受けしそうだなぁ……などと思いながら、観終わった後、喉に魚の小骨が引っ掛かったような気分のまま帰路につきました。
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