「欲望との向き合い方」正欲 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
欲望との向き合い方
通底する雰囲気と、それを崩さない範囲でのギャップ出しが非常に巧みな作品だった。
特に、表情も言葉も頑なに硬かった夏月が、佳道の部屋で見せた幼さは印象的。
自分の中で役者としてのガッキーの評価は高くなかったのですが、今回とてもよかった。
また、高校時代の夏月を演じた滝口芽里衣の、目の死なせ方や揺らし方がガッキーに瓜二つで素晴らしい。
個人的には、八重子役の方の大袈裟でない怯えの表現が、地味ながら今作一でした。
寺井一家をはじめとして、ほとんどの登場人物が自己の正当性を押し付けてくる。
そんな中で、ひっそりと生き延び死のうとする佳道の生き方が際立つし、最も共感できた。
ただ、ガッキーの“あの”シーンで、スカートの中に手を入れるどころか腿すら晒さないのは表現として半端。
脱げという意味ではなく、吐息や表情がよかっただけに勿体ない。
佐藤寛太との落差も強いし、もし“ガッキーだから”なのであれば、彼女じゃない方がよかった。
締め方があまりに尻切れトンボなのも残念。
矢田部は別として、ただ一緒に水遊びして撮影しただけの他ふたりまで逮捕されたのも理解不能…
以前、小児性愛の教師が出てくる小説を読んだ。
彼は自己の欲求に悩み、表向きは平凡を装いながら、“そういった”漫画を描くことなどで欲求と向き合っていた。
あってはいけない感情などなくても、誰もが欲求の赴くままに生きていたら社会など成り立たない。
自宅の水道を出しっ放しにするのは構わないが、他所様の蛇口を壊すのは言語道断。
性的なものに限らず、自己の欲求と他者の迷惑、そして社会とのバランスを保つのが大人ではなかろうか。
コメントありがとうございます。
そうですよね。
暗黙の了解でありたい相手への立ち入り方は、長い間をかけ彼女は身を持って誰よりも知っていますからね。
辛い経験がここにいきていたなと思います。寛容さを纏い凛とした存在感のラストでした。
コメントありがとうございます😊
おっしゃる通りだと思います。こんな柔軟性のない人間になるなよと伝えながら、彼が検事であるために世の中全体へのアンチテーゼになっている気がします。マイノリティ側もそうじゃない側も、寄り添わなければなりませんね。ありがとうございました☺️
uzさん
共感とコメントありがとうございます。
私もただ水遊びしていた動画だけで逮捕勾留起訴とかあり得ないでしょうと思いました。
寺井夫婦は、悪意ある描かれ方をしているように感じました。
特に、奥さん。
専業主婦なのに、息子のユーチューバー活動に入れあげて家事をしない、役割を果たさない浅はかな悪妻、夫に出す夕食はレトルトカレーとか。散らかった玩具を強調するところも、しつけがおろそかになってるじゃん、と奥さんの責任のように見えます。
そして、夫は、レトルトカレーでも文句を言わない、散らかった部屋を見ても小言を言わない。理解ある夫のようにみえるんですが。
玩具が散らかっていたら、啓喜が息子に、「ちょっとお片付けしような」と言ったら良いじゃないですか。子育て、しつけは父親と母親と、両親の役割のはずですから。なんで黙って「我慢している」体になってんの。
啓喜の言うことは大方はまっとうで正論ですが、息子を育てる当事者意識がない、他人事のようです。これが丸見えで、子育ての当事者にならない頭でっかちな夫とダメな妻でダメな母という類型的な二人として描かれていたように見えます。
水フェチは、普通じゃないことに苦しんでいたのはわかりますが、なんか小児性愛者と絡めるために出してきたものみたいに思えました。
コメントありがとうございます。
寺井夫婦はどちらの言い分も分かるし、一方的な見方になっていないのがよかったです。手抜きの晩御飯とか、散らかったおもちゃとか。
私もガッキーの役者としての評価は今作であがりました。
たしかに”あの”シーンは手を入れるぐらいはしてほしかったですね。
返信お気遣いありがとうございます😊 静かで繊細な作品であるだけに 強引すぎる捜査に呆れました。
おっしゃるとおりですね ガッキー自身が高校生役❓と思ってました。ありがとうございました😭。
コメントありがとうございます。
夏月という役とガッキーの相性、よかったですね。
自慰シーンは、大也もそうですがちょっと控えめ過ぎましたが……単なる水好きと解釈されると夏月たちの背負うものが伝わらないので、はっきり伝わるように描写した方がよかったかなと思いました。
多数派が少数派の存在を知ることも確かに大事ですが、他人の生き方については全ての態様を理解しようと頑張る前に「よく分からないし賛同もしないけど、邪魔はしない。理解されなくても、邪魔されなければそれでいい」くらいの距離感もアリだと認識する方が、社会全体としては生きやすい空気になる近道なのではという気がしています。