「心の居場所」正欲 赤福餅さんの映画レビュー(感想・評価)
心の居場所
『自分の心の居場所はどこなんだろう』と今作を観終えて感じ入りました。
心の働きは千差万別ですが、詰まるところ『自分が心地よく生きられる世界になっているか否か』だと思います。自分の心が休まる空間をどこまで広げられるかという事です。
(一般的な趣味も同じようなものではないのかなぁ)
一人称の世界です。
自分の居場所が見つかり出したら次に欲しくなるのが『他者とのつながり』です。他人と連携することで自己愛がお互いに強くなります。
ここで二人称の世界になります。
そして最後、繋がりが出来つつあったら『愛すること』が欲しくなります。
より一層深いつながりで、多様性の受容です。(犯罪は当然いけません)
「明日などなくてもいい」と自殺をしようと思っていた人が、明日のためにもう少しだけ生きてみようと思えたり、男性恐怖症を克服しようとしてみたりするの人の行動は、時間がかかっても自分の中に心の居場所や、少しだけの自己肯定が芽生えたからではないかと思いました。
映画本編では『愛する』という言葉は出てこなかった(と思います)のですが、それは桐生さんがラストシーン面会に訪れた際、名字に『佐々木』と記入したことや最後の台詞によって愛するという言葉以上に愛を語っているのを際立たせたのだと思いました。
桐生さんの時間的な心境・環境の変化と、寺井さんの変化とが上手く真逆に進んでいくのが面白かったです。
あと音楽が素晴らしかった。曲は当然ながら、ここぞというタイミングで音楽が入るのがとても心地よかったです。
長い映画でしたが最後まで楽しめました。
あと余談として… OPシーンの『大きな窓ガラスをバックにベッドの上に座り込むシルエット』や『ベッドが水で満たされて仰向けで浮かぶシーン』はアニメ攻殻機動隊のOPにそっくりだと思ったのは私だけでしょうか?
こんにちは。自分の心が安まる空間…大変共感しました。そして、ゆきさんがコメントされているように、〝そういう事じゃない〟んですよね、はまさに。作品のなかでの表現はそのあたりは抽象的というかぎりぎりでわかりにくいと思いましたが、結びつく想像も人それぞれ。それぞれの感覚の在り方、理解し合うって難しいですね。やっぱり深くて時間がかかりなかなか分かり合えないことなのかもと今日みなさんのレビューを読み感じました。
こんばんは。
コメントありがとうございます。
赤福餅さんのレビュー、大変興味深く拝読させていただきました。
なるほど。一人称→二人称→多様性の受容!仰る通りだと思いました。そして、「水フェチ」位で。。という意見も目にしましたが、そ〜ゆう事じゃないんだよな。。と思いました。
時間がかかる問題ですよね。