「映画を映画館で見る人生の豊かさ」あなたの微笑み redirさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を映画館で見る人生の豊かさ
鑑賞した回は,お客さんまばらで,この後監督のトークイベントあるのに不安を感じながら、ほぼ予備知識もないまま,なんかこれ見ないといけないやつ?という直感で。
最初栃木のシーン戸惑い、やがて沖縄に飛ぶが、いやあ、こんなに素敵じゃない沖縄の風景、映像はじめて見た!!と最初の感動きた。
突然全国行脚の旅がはじまり、各地の素敵な佇まいの映画館そして本物の支配人さんたちが登場でベタなフィクションからノンフィクション,ドキュメンタリー??モードに幻惑されたり、各地で巡り合う女性との邂逅。(映画の説明に,少女と書いてあっだ思うがこの方はどの地域でも少女ではなく、間違いなく大人の女性なのでこういう間違いはあってはならないし直すべきと思います)
映画とは,めぐり合いであり映画館との巡り合い,少なくてたくさんいらしてても、観客との巡り合い、総合芸術である映画は周辺のカルチャー,文学者,音楽家、ラジオ、本屋さんなどなどとの巡り合い、コミュニティの形成、暗闇で孤独に浸れる映画の魅力は,実は孤独から解き放たれさまざまな出会いの奇跡を感じるコトも可能にしてくれる素晴らしい場、
お名前気になっていた汽水空港さんも出てきて、おおっとなるし、わかりやすい伏線からのラスト雪のシーン。
なぜかラスト雪のシーンでは、先日亡くなられた崔洋一監督の血と骨のラストシーンを思い出してぐっときた。自分の信じる道を頑なに生きる[世界の]監督さん、、、映画とはタイミングの奇跡妙味をひとひとりの心の中に生むもの。
そんな映画の楽しみを知り尽くし、辛い人生なら乗り越え生き延びる力を与えてくれる、楽しい人生ならさらに深みと喜びを与えてくれる、そんな各地の映画館さんたち。マスクをつけたり外したりの行為がゆがんでしまった日常を想起させ、最後の最後ではコロナ禍を経て映画館さんたちのその後の報告があり,愕然とする。
地方だけではない、かの岩波ホールでさえ今はないことに思い至る。
今はない映画館,私でもたくさん知ってる。鳥取の映画館の客席の低い,床に近いリラックスできる座席をみて、高田馬場にあったオールナイトなんかは確か寝そべってみれたACT?名前忘れたけど駅すぐ横のbigbox にあったミニシアターも思い出した。
そんなことをいろいろ思い出しながら,映画館に貼られていたポスター,映画を見ない人生より映画を見る人生のほうがいいよっていう言葉や、支配人さんたちが聞かれた,映画は娯楽の王様だった,という言葉を噛み締めた。
監督さんの名前が出てきたりする,笑うところもあるんだけど、まあ日本映画をそんなにめちゃくちゃ詳しいわけでもないけど、それなりに笑えるところもたくさんあり共感するところもたくさんあり,全ての映画ファン,映画好きはこの作品を,映画館で見て映画館、業界,監督さんやスタッフさんたちに敬意と応援できたら良いなあと,率直に思いました。
アフターのトークで監督が、
ミニシアターにくる人は限られている
という発言ありました。どんなに話題になっても、ミニシアターにくる人はそもそもミニシアターが好きな人と。そこに広がりが出ないと。
たしかに,私もこの映画をイメージフォーラムでみる,という時,誘う友達がいない。それは残念なことだ。
少なくとも首都圏,都会圏に住んでいてこれだけ色々な機会があるのだから,可能な限り足を運びいろいろ先入観なしにこれからも映画を見ていきたい。たまには、ハズレかもしれないんだけど、とか言って,友達も誘ってみたい。
素晴らしい映画体験ありがとう!
イメージフォーラム