劇場公開日 2023年9月1日

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「啓発作品としては良、映画としては並以下」福田村事件 うまぶちさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0啓発作品としては良、映画としては並以下

2025年7月31日
PCから投稿

この事件やこういった立場の人々を描いた事の意義は高く評価されるべきで、この手の作品は作り続けないといけないんだろうなとは思う。
ただ、あくまでも啓発作品としての評価であって、映画の質は低い。

説明台詞やメッセージ性の強いセリフがどんどん出てくるのは逆効果ではないだろうか。
もっと淡々とした描き方のほうが事実が際立つと思うのだが。
若い女性の新聞記者に正義を担わせるのも、メディア側の人間たちの「願望」のようで気持ち悪い。
安っぽいメロドラマも物凄く余計に感じるし、俳優陣の演技も今一つ。
榎本明の一連のシーンは何の意味があるのだ?
まあ、たぶん監督からしたら深い意味があるのだろうが、なんも伝わらんよ。
事件の情報が少ない以上、創作エピソードで補完する必要があるのはわかるが、もう少しやりようは無かったのか。
「デマ」の悪質性を描く作品で、不要な創作を盛り込む矛盾に気づいて欲しいところだ。
と思ったら、やはり市民団体から脚色された点について批判されているらしい。
そりゃそうだよね。
まあ、事実のみのドキュメンタリーより、ストーリー性を高めた映画のほうが圧倒的に広く認知されるのだろう。

細かい事ではあるが、「殺されたのは10人だ」という重い台詞があるにも関わらず、最後のテロップでは「殺された9人の遺族は~」とあるのも詰めが甘い。
法的な認定?はともかく、その台詞を出すなら10人と書くべきだろう。

なにやら「最優秀作品賞」にノミネートされたそうだが、この程度でいいならば、今後も歴史に埋もれたタブーかつセンセーショナルな題材をとりあげれば、質は問わないと言ってるようなものだ。
そんな「がんばったで賞」みたいなものでいいのか。

と、色々ひねくれた意見を述べましたが啓発作品としては☆4くらいはあると思います。

うまぶち
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