「何でもすぐ古くなる人種どこかの虐殺への怒りさえおいてきぼりだよ」福田村事件 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
何でもすぐ古くなる人種どこかの虐殺への怒りさえおいてきぼりだよ
B'zの稲葉浩志が作詞した『HOT FASHION -流行過多-』の歌詞の一部だ
あまりにも素っ頓狂でダサく初め聴いた時はびっくりした1990年
虐殺とは当時のソ連崩壊東欧情勢が関係してるのかもしれないが稲葉の地元岡山県津山の30人殺しの可能性もなくはない
いまだによくわからない
深い意味はなくその当時のノリだろう
2023年映画館鑑賞52作品目
10月8日(日)フォーラム仙台
スタンプ会員1500円
監督は『i 新聞記者ドキュメント』の森達也
脚本は『湯殿山麓呪い村』の佐伯俊道と『止められるか、俺たちを』の井上淳一と『Wの悲劇』『海を感じる時』『この国の空』『火口のふたり』『あちらにいる鬼』の荒井晴彦
東北では全国に遅れて仙台でやっと先月末から公開
配給会社が弱小の太秦のせいだろう
この会社の公式サイトを見ると無理もない
フォーラム仙台で初公開する際は遅れて申し訳ないと感じたのかわざわざ森達也監督が挨拶に来たらしいが
これも一種のキャンセルカルチャーだろうか
それにしては死ね死ね団じゃあるまいし分母が大きすぎる
安倍亡きあとの左翼の迷走を象徴している
讃岐から薬の行商として千葉にやってきた被差別部落出身のグループが朝鮮人に間違われ殺される話
方言のせいか聞き取りづらい台詞が多い
雰囲気でなんとか理解した
DVDや動画サイトで日本語字幕付きで再度鑑賞したい
地元民のレビューなのか千葉の方言としてはおかしいらしい
そこは森達也監督の落ち度ではなく脚本家が悪い
プロデューサーのチェックも甘い
俳優のアドリブの可能性もなくはないが
差別に男女の痴話話を絡めている
これは森達也というより経歴を見るにつけ脚本家たちの趣味だろう
日活ロマンポルノとかに拒絶反応が強い女性は要注意だがそれほど性描写は激しくない
ただ向里祐香が乳房を露出する必然性は疑問だ
ビゴーによれば明治の人々は暑いとどこでも裸になるらしいのでこの時代もその流れがあるのだろう
当時の異常なまでの不穏な空気は感じさせる
シベリアといえば大東亜戦争末期のシベリア抑留かと思いきや時代が違う
日露戦争におけるシベリア出兵
秋山好古とかのアレだろう
予算の都合なのか関東大震災の情景が薄い
いくら田舎でも千葉だって被害は甚大だったはず
それがあまり感じられないのが残念
事実と時系列が全く違うのもおかしい
岡田斗司夫氏は自警団側がブサイクで被害者側や庇う地元民が美男美女というのは差別だとそういうニュアンスの発言をYouTubeの自分のチャンネルでしたがそれには共感できなかった
そもそもブサイクとまでは思わなかった
だからと言ってそれだけで岡田斗司夫を全否定するような激情型ではない
ただ若干だが重要人物の長谷川秀吉を演じた水道橋博士の演技力がイマイチだった
兵隊上がりの無骨さというキャラでカバーしているがそれでも出始めの頃は特に酷い
ビジュアル的にも悪くない仕上がりで芝居も努力は認めるがあれこそ本業の演技力高い俳優に任せてほしかった
日本人の良心として女性新聞記者が登場するが作品全体が青臭くなってしまう
メッセージ性が強い重要人物ほど俳優の選択に気を配ってほしい
演出が悪いのか演技力が悪いのかまるで彼女1人ロボットのようだ
そもそもジャニーズの会見など観るにつけマスコミを絶対善に描くのは強い抵抗を感じる
この映画で改めて感じたのはマスコミや社会主義者に対する自分自身のヤバすぎる並々ならぬ憎悪である
酒の席でさんざん煽られたら殴ってしまうだろうがインテリと関わることはないのでその機会はないだろう
井浦新が田中麗奈とのシーンで「朝鮮」と言うべきシーンを「韓国」と言い間違えるシーンがあるがそのまま作品として上映されている
韓国とは戦後誕生した国の略称で当時は韓国とは呼ばなかったはず
監督も気づかなかったのだろうか
こういうところを見てもやはり雑味を感じた
ドキュメンタリー専門監督の初挑戦とはいえ擁護できない
田中麗奈が良かった
田中麗奈といえばCMのなっちゃんと実写版ゲゲゲの鬼太郎で演じた猫娘の印象しかないが
特に舟で誘惑する件は案外良かった
彼女は脱がなかったがそれで充分
見せ場は朝鮮人の若い女が自警団に殺される場面と讃岐の薬売りの人たちが殺される場面である
特に後者の方だろう
しかしせっかくの見せ場だがいまいちだと鑑賞後しばらくすると感じてしまう
確かにショッキングではあるが映画俳優ファーストなら物足りない
被害者の無念さと自警団の狂信的残虐性を表現するにあたって全くもって不十分
なんとか子供にも見てもらうためPG12ギリギリでとどまる必要があったのだろうか
子供向けとは到底いえないのでR15になっても良いからふっきるべきだった
特に河原での妊娠中の女性はうまくいえないが編集が不自然だ
熱演のさいとうなりが可哀想だ
この映画を知ったのはNHKのおはよう日本だった
あの時間帯は左翼っぽい特集が多い
担当ディレクターの趣味だろう
自分もどちらかというと左翼寄りなので共感する回も多い
ただこの回でネットでデマに騙されてはいけないと女子アナが語っていた
コロナワクチン死亡報道関連の件にしかりNHKが自分たちを棚上げにしてネットを名指しで批難できるとは正直驚いた
ネットで少し話題になっているから映画館で鑑賞した
自分にも映画に好みがあって星3がいいところだ
若干悪趣味だし
こういうタイプの映画で星3つならかなりの高い評価と言える
コメント欄は今回はやめようと思ったが逃げるようで癪に障るのでやっぱりそのままにした
右寄りはプロパガンダとか左翼映画だと言うが本編見る限りまあまあありのままでそれは感じなかった
しかしエンドロールに慰安婦がどうのこうのとか直接関係ない団体が目についた
あれがデマなら慰安婦の件も南京の件も全て真実かといえば怪しいものだ
いまさら虐殺に対する怒りを感じるほど自分は若くはない
NHKのポルポトのドキュメントで充分だ
虐殺の評価は立場によって変わってしまう
織田信長は英雄だしアメリカ人からすれば広島長崎の原爆は正しいことだしパスレチナ人からすればアドルフ・ヒトラーは批判する対象ではないはずだ
なぜか虚しいのだ
だから何の抵抗もなくおバカ映画として『バービー』を鑑賞することができた
『新聞記者』は賛否両論だがこっちはあまりにも一方的で不自然だ
右寄りの批判的なレビューは徹底的に削除されたのだろう
それが仕事だから仕方がない
残念だがそれは間違いない
Gメンのレビューが800人近いのにこっちは300人未満とあまりにも少ない
3年以上映画.comにレビューしているが経験上『福田村事件』のレビューなら400人近くでもおかしくない
ヒットはしたのだろうがコナンくんや『ミステリと言う勿れ』に比べたら大したことあるまい
世の中では左翼もそうじゃなくても1番の関心はジャニーズで私はとっくにうんざりしてる
あの東京新聞の名物女性記者も今は福田村事件なんて頭にないだろう
ヤフーニュースを見ても『福田村事件』なんてあまり話題になってない
複雑な思いである
差別はなくならない
不平等も貧困も
社会主義国家がダメだったからではない
差別反対を訴える人たちにもほんの一部だが差別主義者が見られるからだ
ここのレビューやヤフコメやYouTubeのコメント欄にもそれを感じる
悪びれる様子もない
寛容のパラドックスであり左翼には寛容であれば良いという新左翼の父の方針だがそれでは不公平を嫌う大多数の一般民衆には支持されない
日本人も酷いことをしたと訴えたいのだろうがそれらほぼ全てが他人事に感じる
実際に他人事なんだけど
自分は違うと言いたいのだろうが森達也監督のメッセージが全然分かってない
私はこの国が好きだしこの国以外に住むことはできない
この国の民度はまだ良い方だ
なぜなら自分でも生きていけるからだ
5ちゃんねるのVIPとか嫌儲とかああいう人たちは全く理解できない
この映画のおかげで福田村事件を知った人は多い
森達也ならびにこの映画の関係者の功績は非常に大きい
なんらかの映画賞を受賞することなっても意外だとは思わない
森達也監督とも大変親しい宮台氏が襲撃された
政治家だけでなく知識人を逆恨みする人も多い
森達也監督もご自愛ください
配役
朝鮮で教師を務め故郷に帰ったきた澤田智一に井浦新
智一の妻で洋風かぶれの澤田静子に田中麗奈
讃岐からやってきた薬売りの行商団でリーダー格の沼部新助に永山瑛太
日清戦争で兵隊に同行した経験がある村の老人の井草貞次に柄本明
千葉日日の編集長の砂田伸次朗にピエール瀧
ほぼいつも軍服を着ている福田村在郷軍会分会会長の長谷川秀吉に水道橋博士
村で舟渡しの田中倉蔵に東出昌大
シベリア出兵で夫を亡くした村の未亡人で出兵中に田中と不倫関係があった島村咲江にコムアイ
貞次の息子ではじめに讃岐の行商団を朝鮮人と思い込んだ井草茂次に松浦祐也
新聞記者の恩田楓に木竜麻生
茂次の妻の井草マスに向里祐香
プロレタリア演劇の劇作家の平澤計七にカトウシンスケ
福田村村長の田向龍一に豊原功補
行商団の妊婦の坂下イシにさいとうなり
イシの夫の坂下彌市にコガケースケ
行商団の少年で薬売りの仕事を始めたばかりの谷前信義に生駒星汰
讃岐で帰りを待っていた信義のガールフレンドの川島ミヨに葉山さら
新助の妻の沼部ユキノにミズモトカナコ
行商団のメガネ青年で読書好きの藤岡敬一に杉田雷麟
行商団の青年の高畑朝明に浦山佳樹
朝明の妻の高畑サダに金井美樹
村の女たちのリーダー格の矢島ツネに辻しのぶ
秀吉の妻の長谷川稲子に樋尾麻衣子
夫を帰りを待つ村人の下条トミにMIOKO
大震災の難から逃れ東京の出稼ぎから帰ってきたトミの夫に岡崎叶大
咲江の夫の父の島村幸定に大久保鷹
幸定の妻の島村フネに岩崎聡子
在郷軍人会の大橋に佐藤五郎
行商団の青年の西村厚に髙橋雄祐
厚の妻に西村ソデに伊藤歌歩
計七の妻の平澤ヨシに佐藤果穂
朝鮮飴売りの少女に碧木愛莉