「すごかった」福田村事件 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
すごかった
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これまで数多く映画は見てきているのだけど、ここまでひどい朝鮮人差別や部落差別を描いたものは見たことがない。部落民が朝鮮人だと勘違いされて惨殺されるというねじれが生じている。福田村の人々は部落差別をしていない。なので正確には部落差別は描かれていない。しかしその誤解を生むのは瑛太ら行商人の彼らが被差別者で、差別に対して「ほらきたな」みたいな構えがあったことが遠因になっているのではないだろうか。「ほら来たぞ、あれ?ちがうけど」みたいな、その頃には誤解が深まっているような感じだったのではないだろうか。
「その人らは日本人だ」という言葉に対して「朝鮮人なら殺してもいいのか」と返す。
しかし、自分自身ひどいなどと思っているのだが、あの情報のない状況で強い同調圧力があって、すっかりその気にならないとも言えない。普通の善人みたいなそこらの人々が簡単に鬼になる。竹やりで殺されるなんて恐ろしすぎる。また子どもを平気で殺すのもドン引きだ。
水道橋博士さんに注目していたのだけど最初はどこに出ているのか分からなかった。月の家圓鏡みたいな人がいるなと思ったら水道橋さんだった。喉がつまったようなしゃべり方で、立場が強いってだけで威張っているすごい意地悪な男だった。
身近な問題として朝鮮人差別や部落差別がない地域で暮らしてきており、平和であることをありがたがることも忘れている。もしこんな事態が発生したら家族全員で誰も来ない山奥に逃げるしかない。加害も被害もつらい。
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