「デマに踊らされ国民を守るためと、自己を免責するおぞましさ」福田村事件 QuantumGRさんの映画レビュー(感想・評価)
デマに踊らされ国民を守るためと、自己を免責するおぞましさ
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行商の部落民、在日朝鮮人を中心に、ハンセン病患者、在郷軍人会、町長、軍隊内暴力、朝鮮での虐殺への加担、出兵で死んだ兵士の妻など多くを絡ませて、よくできていると思います。多くを盛り込みすぎかもしれません。
官憲のデマに踊らされ、国民を守るためと言って自国民を虐殺したのだと、事件後自己を正当化し免責するおぞましさ(水道橋)が、最も生き生きと感じました。
しかし、いくつか不満が残ります。
軍隊内で暴力を受けてた経験を持つ渡し守の描き方に違和感を覚えた。シベリア出兵で死んだ兵士の葬式での発言だけで良かったのではないか。色恋2話は話題の中心から大分それてしまった印象をもった。
朝鮮民衆に近づこうとして心ならずも軍の虐殺に加担させられ、夫婦関係が冷え切って帰農しようとする元教師の描き方も、違和感がありました。夫婦の反省の浅さこそを描くべきではなかったか。
事件後の描き方があっさりしすぎているように思います。
新聞記者も戦前の痛切な反省をしているように見えません。
口を閉ざした関係者すべての心の闇と不徹底さを抉り出すことが、必要であったのではないかと感じました。
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