「日本の縮図のような村。」福田村事件 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の縮図のような村。
千葉県福田村。武器を握りしめた村人達に取り囲まれる香川から来た15人の行商人。ちょうど100年前の日本で実際に起きた悲惨な事件を描く重厚な1本。
集団心理による狂気。その果ての蛮行。抗えない異様な空気感。「朝鮮人ならええんか」なんて重い一言だろう。愛国心、そして戦争。不安定な世の中に追い打ちをかける関東大震災。
そんな中、短時間だけど民主化を望む思想家の姿が描かれていて、当時の価値観を象徴する重要なシーンとなっている。
混乱に乗じて大日本帝国の障害になり得る危険因子は根こそぎ排除する。これが日本という国の本質なのだろうか。そんなはずはないと思いながらも、もし自分があの村の一員だったらと想像すると途端に気が滅入る。
実に見事な配役で、特に水道橋博士が不思議な説得力があって良かった。残酷な映画だけど日本人として観て感じることは多いと思う。
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