「観るべきと言うより観なくてはならない映画」福田村事件 かぜさんの映画レビュー(感想・評価)
観るべきと言うより観なくてはならない映画
これはもう観るべきとかのレベルでなく、観なくてはならない映画である。100年も前に起きたこの事件が、半世紀を過ぎてようやくその事件の存在が明るみに出て、100年後にこうして映画化されるまでの長い行程を経てきたことを重く受け止める必要があるのではないか?この映画には、今の日本が抱えているまだ表在化してない問題が数多く提起されている。
THE YELLOW MONKEYの「jam」の歌詞の中に、外国で飛行機が落ちてアナウンサーが嬉しそうに「乗客に日本人はいませんでした」、、、僕は何と言えばいいんだ?何を思えばいいんだ?と言う有名なフレーズがあって、この映画の終盤にこれを想起させるセリフがあり、まさにそれがこの不幸な事件のトリガーとなる。この映画のポスターの一見着飾ったおしゃれな男と女は、何の荷物も持たずに大きな川を今にもひっくり返りそうな小舟でどこに流れていくのかわからない様子だ。この景色こそ、豊かそうに見えて、実は貧しくて心許ない現代の日本を象徴しているようだ。
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