「劣等感と同調圧力と無知」福田村事件 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
劣等感と同調圧力と無知
私は6歳から東京、千葉に住んでいたのに福田村事件や亀戸事件の事を聞いたことがありませんでした。関東大震災後の朝鮮人虐殺について知ったのは10代半ばの頃で、朝鮮人が井戸に毒を入れたというデマが飛び交ったから、というもので、当時はどうしてそいういう発想になるんだろうと不思議でしたが、恨まれる心当たりがあったのだとは思い付きませんでした。朝鮮人だけでなく間違われた人やどさくさ紛れの殺人まで行われていたことにも驚きました。
差別は劣等感の裏返しではないかと思っています。
本作では、無知によって不安が増幅されて、集団パニックが起こる様子が語られています。正常な判断が出来なくなり、ごく平凡な人間が狂気に支配されていきます。
これは日本人として、人として、知っておくべき事件です。
映像作品としては、地震の再現はあれで良かったと思いますが、関東大震災をよく知らない人が理解できるように、被災の状況がどれだけ悲惨だったかの描写がもっと欲しかったところです。
あと、登場人物が多いけれど見た目が似通っているので、途中まで人物の区別がつけにくかったです。
智一はまた教職に就いてほしいなと思いました。
コメントありがとうございます。
兵隊に取られるといつ死別するか分からない、こういう社会に暮らしていると側に居る人に情が移るのかもしれませんが、現在の我々には想像もつかないですね。
最近読んだ新聞に、朝鮮人虐殺について新しい資料が見つかった、と言う記事がありました。本作では政府が率先して殺人を行ったようにも受け取れます。確かに元軍人や警察官も加わっていたらしいですが、組織としてはそんな事はなく、関東大震災で親日ムードになっていたところでの虐殺事件に政府は大変困っていたとの事で、真相は複雑で解明が難しいようです。そうすると、マスコミの報道にかなり問題があったんだろうと思いました。自戒の意味も込めた記事だったんですね。
生まれは岩手県で、6歳から東京の江東区、15歳から千葉県です。東北も東京も、部落問題は聞いた事が無いので、授業で「破戒」の話を聞いても、過去の事だという認識でした。何年も経ってから、新聞の投書で、女子大生が会社の面接で、家がどの辺りかとしつこく聞かれ、母親にそのことを話したら、実は被差別地域だったのだと知った、というのを読んで驚きました。その人が合格したかは分かりませんが、馬鹿な会社だなと思いました。でも、どなたかのレビューで、その方のお母さんが当たり前のように差別的な発言をした、というのを読んで、もっと驚きました。
共感とコメントありがとうございます。
ご挨拶が遅れてすみません。
どうか今年もよろしくお願いいたします。
私も福田村事件のことは全く知りませんでした。
ゆり。さんも、6歳から千葉にお住まいなのに
聞いたことがなかった、と書かれていますものね。
映画は東出さんや田中麗奈さんの美しさやエピソード、
エンタメ描写があったからこそ、描写に魅かれてラストまで
飽きずに観てしまったと思います。
真面目と悲惨とメッセージだけなら、こんなに多くの人の共感は
得られなかった気がします。
お忙しい中、いつもすみません。
お時間の空いた時に、時々読んで下さいね。
共感ありがとうございます。
関東大震災はモノクロ映像が少し残ってる位なんですかね、それを考えると「風立ちぬ」(アニメ)の描写、凄いですね。
2023年はこの作品のレビューをずっと見てました。そろそろ総括したいところですが、「映画芸術」の脚本家筋は、性愛描写に異を唱える監督側に文句つけてるようです。その後公開した荒井晴彦監督「花腐し」の世間一般の評価を見ると、「映画芸術」側の冷静な自己評価は出ないかもしれません。事件自体への問題意識、作品としての事、ホントに楽しませてもらいました。
あなたのレビューもその一助になりました。
鮮人と言われて騒がれている中、扇子を出したり鮮人なら…とか言うのもなんだかなあという感じでしたし、フィクションな役どころの熱血記者も何も拾わなかったですし…。
なんだか変なところにエンタメ脚色があって余計に感じました。
「差別は劣等感の裏返し」ホントそうですよね。もしくは優位性を保ちたいぐらいですかね。
今作のケースとはちがいますが、被害者だと過剰に声をあげているケースもありますが…。
今晩は。
”差別は劣等感の裏返しではないかと思っています。”
本作及び現況下でも起こっている差別、苛めの本質を付いた言葉ですね。本作は”最初、踏ん反り返りながら観ていましたが、最後は佇まいを整えて観ました。
”朝鮮人だったら殺しても良いのか!”と言った讃岐の薬売りの親方の言葉や、同じく日本人の中で差別されていた人たちのなかでも高邁な思想を持つ青年が”何のために生まれて来たのか‥”と言いながら村人たちに竹槍で殺されるシーンはキツカッタです。
けれども、この作品は上映後随分経ちますが、私の居住区では大きなスクリーンで舞台挨拶もされることになり、”鑑賞眼もしくは人権意識の多い人が多数いるんだ!”と言う思いを持った事は嬉しかったですね。不寛容な思想がドンドン広がる中、このような作品が世間に発する強きメッセージは貴重だと思います。では。返信は不要ですよ。
幾つも共感を頂いているのにまだ皆さんのレビューを読めていません。今、うちが軽く「ロストケア」状態で、あの映画に比べれば何分の1かの程度ですが、夜中は起きていて明け方寝る感じなので結構疲れてます。
満塁本塁打さん、コメントありがとうございました。関東大震災では10万人以上が亡くなったそうですが、大部分が火災で、それはお昼時でかまどに火が入っている家が多かったから、と言うのが、本作では分かりにくかったと思いました。あちこちで大規模火災が起きて、それが火災旋風を引き起こし、人々が巻き上げられていく様子は、この世の物とは思えなかったでしょう。そういう状況だったから余計に、「朝鮮人が火をつけて回っている」というデマが広まったんだろうと思います。本作では地震の後がちょっとのんびりした感じだったので、会話だけでも悲惨な被害を伝えてくれたら、と感じました。
はじめまして おっしゃるとおり、昭和49年くらい生まれくらいまでの人ならば、身近に関東大震災の経験のあるお爺さんおばあちゃんいましたし、今だったら放送されない死体の束の映像テレビで普通に放送されてましたから説明不要ですが、昭和末期以降お生まれの方は、関東大震災イメージわかないですから、ある程度生の当時の映像記録あると良かったですね。モザイクかけてでも。【残酷だ とかいう方いらっしゃいますが あるがままの残酷を見なければ実は状況は理解できませんと個人的に思います。】 イイねありがとうございました😊余計なことすみません。