劇場公開日 2023年9月1日

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福田村事件のレビュー・感想・評価

全364件中、1~20件目を表示

4.0ホラーにして恋愛もの。ある夫婦の絶望と再生(福田村事件)

2023年10月2日
iPhoneアプリから投稿

 ほぼ前情報なしに鑑賞。瑛太率いる行商人たちがこの事件にどう絡むか分かっておらず、彼らなら「事件」を止めてくれるかも…とさえ思っていた。その分、後半の衝撃は強烈。その瞬間まで、ひょっとして、もしかして…と願ったが、その瞬間、容赦なく「事件」は起こった。
 アクション映画の殺し屋やスナイパーにはほど遠い、殺しに慣れていない素人集団の殺しは、熱量ばかり高く、血と砂ぼこりが入り混じり、全くスタイリッシュでない。泥臭く、痛ましい。やる方もやられる方も、顔は歪み足はもつれ、一寸先さえ見えない。まさにホラー。その一方で、夫婦の静謐な物語が、並行して展開していく。
 劇中、「鮮人」「朝鮮人」という言葉が幾度となく飛び交う。「鮮人」はより差別的な呼び方だ。この言葉を使う者・使わない者の描き分け、さりげない会話に滲む時代背景、在郷軍人や新聞社の立ち位置、亀戸事件への習志野騎兵旅団の関与など、ワンシーンワンシーンが濃い。発見と刺激がある。朝鮮から日本、福田村へと流れ着いた静子(田中麗奈)のように、思いのまま、気ままに振る舞うことだけで異端、とされる時代の息苦しさに、どんどんと取り込まれていった。
 加わった者と加わらなかった者の差異は何だったのかと、今もつらつら考えている。
 行商人は、肩を寄せ合う集団で、結束し加速する集団ではなかった。彼らの一切を請け負う親方(瑛太)は、あやしげな薬を貧者やらい病(ハンセン病)患者に売り付ける一方、儲けた金を使って、少女から朝鮮飴を大量買いしてやる。差別され蔑まれる側である以上に、優しさの中の狡さや悪を自覚している。そこが、コミュニティの中に安住していた村人との大きな違いだと感じた。
 村八分の船頭(東出昌大)は、夫が戦死した幼馴染や夫との関係が冷え切った女と、流れのままに関係を持つ。死と対極の生(性)のエネルギーが、彼を踏みとどまらせたのかもしれない。加えて、ある種強引に一線を踏み越えても、心の空虚は埋まらないことを身をもって知っていたことも大きかったのでは、と感じた。
 そして、都会からやって来た夫婦(井浦新・田中麗奈)。よそ者ゆえの距離感が、集団の熱に浮かされず、違和感を受け入れ、周囲に惑わされず自分に目を向け続けられたのだと思う。何より彼らは、近しい者とさえも隔たりが生まれ、相容れなくなっていた。そんな状況が、皮肉にも彼らを守ったようにも思えた。
 ラスト、船は静かに流れていく。それはふたりの道行きなのか、旅立ちなのか。絶望と希望を併せ持つ余韻が、今も醒めない。

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cma

4.0不安に呑まれた人々

2023年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

関東大震災の折、朝鮮半島出身の人たちがデマによって殺されたというのは有名な話だが、殺されたのは朝鮮人だけではなかった。日本人の被差別者たちや思想家たちもまた殺されていたのだ。その事実を脚色を交えて丁寧に映像化したのが本作。疑心暗鬼に陥った人が何をするのか、その醜悪さが強烈に浮き彫りになっている。
前半は、福田村の人間関係の描写に割いている。不倫などで村八分にされかけている者が、虐殺にはむしろ加担しないという構図になっているのだが、群集心理の危うさはむしろアウトサイダーにならないと見えてこないもの。虐殺に加担した村人にもまともな感性の人はいただろう、しかし、群集心理に飲まれるとそういう人でも歯止めが利かないことがあるのだ。そういうものに巻き込まれないために大事なのは、ポジションだったりする。
虐殺は不安に駆られた村人が自分たちのコミュニティを守るために始めてしまう。虐殺は何かを守るために始まるということをこの映画はきちんと捉えている。あらゆる戦争がそうであるように、「守る」という「正義」を止めることは難しい。大正時代の物語だが、心根の部分では全く現代人にも変わらない部分がある。虐殺しないために、いかに不安にかられず生きるかを考えねばならない。
こうした歴史の暗部をきちんと見つめることは、社会として成熟するために必要なことだ。この企画を成立させたことは高く評価されるべきだ。

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杉本穂高

4.0心に苦い、観るべき良薬

2023年8月31日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

知的

100年前の関東大震災直後、集団心理が暴走して“朝鮮人狩り”が行われ、間違われた中国人や日本人も多数虐殺された。日本人にとっての歴史的汚点、不都合な史実はなかなかドラマ作品の題材にならない邦画界(興行上の理由もあるだろう)において、森達也監督初の劇映画「福田村事件」は貴重で、快挙でもある。

脚本に名を連ねる3人のうち荒井晴彦と井上淳一は若松プロダクション出身で、彼らもまた福田村事件の企画を温めていたところ、森監督が同じ題材の映画化を目指していると知り合流したという。集団が異物を排除する心理が暴力に向かう描写は若松孝二監督作品に通じ、新聞社編集長と記者のエピソードを通じて権力・大衆・ジャーナリズムの関係性を問う視点は森監督のドキュメンタリー作品を思わせもする。

尺として40分、全体の3分の1を占めるという虐殺シーンは凄惨を極める。これが実際に日本で起きたことだと思うと心が締めつけられるが、良薬は口に苦し。ネットとSNSで日々標的がバッシングされ炎上している現代も100年前と同じ集団心理がはたらいていることを思えば、この苦い鑑賞体験が社会の薬になるという希望を持ちたい。

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高森 郁哉

3.0同じ人間だろ

2025年1月11日
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鑑賞方法:VOD

「時代」という言葉では解決させてはいけない、
この国の暗い過去。
朝鮮人も中国人も、日本人も同じ人間だろ。
この国にはあまり公にされていない、この様な恥ずべき過去の歴史がある。

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上みちる

3.5忘れてはならぬ史実

2025年1月6日
iPhoneアプリから投稿

この事件が起こった事は事実で我々日本人は憶えておかなければならないし決して忘れ去られてはいけない史実だ。特に日本人は同調圧力に非常に弱い民族の為これを肝に銘じなければならない。

この作品に出て来た満洲帰りの夫婦は実際に居たのであろうか⁉︎…と言うのも、あの夫婦では無くもっと薬の行商の家族の物語りを追う方がよりあの家族達に感情移入され事件の凄惨さが浮き彫りとなったように思うからである。そして我々日本人に心のトラウマを刻んで欲しかった。二度と同じ様な事件を発生させない為にも。

しかし日本史実の汚点を映画にし興行させた意義や情熱そしてそれらを演じた俳優や制作したスタッフ達には頭が下がります。特に間男役を演じた東出は自身の私生活でのスキャンダルもあった中この役を受けた事は反骨心の塊であると言える。

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えーじ

4.5埋もれた歴史

2024年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

教科書に記載されるべきで記載されておらず、時間が風化しようとした事件を、克明に記録した映画。
文献などが少なく脚本も大変だったと思うが、役者の演技と監督の手腕で見応えがあった。
方言も聞き取れないことばかりだったが、聞き取れないこと自体が生々しい。

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jyojyo4649

3.5こんなことは絶対にあってはならない

2024年12月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

小さな口論により、興奮した村民の集団心理に火がつき大虐殺が起こってしまうシーンは、強烈なインパクトがある。この部分だけでも観て欲しいシーンです。
そして、反省するべきだと思う。
戦争の怖さからくる間違え。それが戦争なんですね。

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ホンマサ

4.0ストレスでしかない

2024年12月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

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美緒

0.5映画としては最低ランクです

2024年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

ドキュメンタリー的な映画としてもエンタメ的な映画としても監督の思想を宣伝する説明的な描写ばかりが目立っていてセンスがなさすぎる作品です。
こんな映画を見るくらいなら様々な信頼にたる歴史的な文章を参照したほうが余計なバイアスがかかないで有益な知識を得られるでしょう。

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和哉

4.5だから日本映画界は腐っている。

2024年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

これが日本アカデミー賞で無冠で、「ゴジラ−1.0」が総なめ。

作品賞とまでは言わん。だが無冠はあんまりだろう。

日本映画界の腐っているところがよく分かる。

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ガッキー

2.0④なるほど

2024年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

面白かった。

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YAS!

4.0日本が狂っていた時代・・・

2024年10月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

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ratien

4.0たった百年前の出来事だとは信じられない

2024年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

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ぽん

2.0田舎ってやだな〜

2024年9月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

田舎の人間関係がドッロドロ。
義父とできてる嫁が、義父の遺体に乳房を押し付ける場面が気持ち悪すぎて。

肝心の事件のシーン。
急に太鼓がドンドコ鳴り出すのはない方がいい。

間男がまた浮気したり、福田村事件以外のところが嫌な映画だった。

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ムーン

3.0差別良くない。

2024年9月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

差別は良くない、差別を盾に好き放題してる人達は違うが。
内容は絶賛が多いが特別凄い事は感じなかった。
東出さんのキャラはわざとなんか?1番差別されてない?

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はまぐりの短い感想文

1.0色んなモノを詰め込み過ぎ

2024年9月7日
PCから投稿

難しい

人種差別、民族や階級差別、男尊女卑、「差別を止めよう」っていう映画だと思うけど、それ以外にも関東大震災、不倫、嫁姑、心の病、貧富、色々詰め込めれ過ぎてぐちゃぐちゃに。それに輪をかけて演技がぎこちなくて、お風呂の内外での会話とか、提岩里教会事件を澤田が静子に打ち明けるシーンもどうにかならなかったのかな。全体的に演技や演出?にぎこちなさを感じた。この事件の事もそう言う差別があったりした事を全く知らなかったので、テーマは良かったと思う。知らないっていけないと思うので、過去の歴史を学ぶことは大切な事だと思う。

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見聞

4.5デマの怖さ

2024年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

最近でも、Xのデマを信じ込み、そのデマに出てくる人たちを中傷し、炎上することがあるが、この映画では、それがリアルな行動として可視化されているように見える。
この事件が起こった時期にリバイバルしているようだけど、あまり告知されていないのが残念。

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豊島区のはずれ

4.0恐ろしき集団心理

2024年9月1日
iPhoneアプリから投稿

戦後の虚しさ、悲しさからの半ば洗脳といったところでしょうか。対朝鮮人ということだけでなく、日本の中での地域差別、職種差別もあり。こうやって作品として語り継がれるだけマシ。他にも埋もれた惨劇はたくさんあったことだろう。目を覆いたくなるようなシーンも、見なければならないという思いで見た。

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いつこ

4.0人間の業の渦の先

2024年8月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

個人評価:4.0
ゆっくりとあの事件へと近づいていく。
閉鎖的な村文化の土着的な怖さがあり、ヒリヒリとした演出に、物語の中に吸い込まれ、自分がいつしか村人その一になったかの様な臨場感がある。
人間の業の渦の矛先は、つねに自分より弱者へと流れ込む。
善人が善人のまま人を殺める。誰もが加害者になり得る状況にこそ怖さがある。
他民族への怒りと恐れ。正義の名のもとに人を殺す。戦争とはまさにそういうものか。
またこの実在の事件の、どこに発端・問題点があったのか、本作は示唆してくれており、踏み込んだ脚本と感じる。

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カメ

0.5おかしなところだらけです

2024年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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H・H