「軍隊とは・・・」ベルサイユのばら はるかさんの映画レビュー(感想・評価)
軍隊とは・・・
映画は、7月13、14日の戦闘描写にかなりの尺をとっている。
国王方の軍隊、衛兵隊と民衆、双方とも容赦なく相手を殺戮する。血しぶきをあげて倒れる兵士、民衆。国王方の兵士もまた、その髪の毛1本1本まで自由な存在であるはずだし、衛兵隊の兵士同様に、軍備品を売却して家族の生活費を賄う社会の最底辺層の出身かもしれない。だが、戦場では倒すべき「敵」としてしか存在できない。スクリーンを見ながら、軍隊とはつきつめていけば人殺しのプロ集団であることをあらためて認識させられた。実戦は初めてとは思えないオスカルの見事な指揮官ぶりに、オスカルは士官学校で、味方の損害は最小限に抑えながら相手方を殲滅するという現場の指揮官あるいは参謀本部の司令官として求められる能力を教え込まれたのだろうな、と考えたりした。だから、オスカルが撃たれて断末魔の苦しみのなかで、自らの信念を貫いて生きた人生を振り返る場面を見ても、「あれだけ殺したのだから仕方ないのかな」というある意味突き放したような感想しかもてなかった。そこから振り返ると、「生涯を剣に砲弾に捧げて軍神マルスの子として生きる」というオスカルの決断も何かざわざわするというか、後味の悪さが残ったのである。
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