「やはり、TVアニメ版に勝ることは…」ベルサイユのばら kazuさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり、TVアニメ版に勝ることは…
見ました。まぁ… これはコレで。とも思いたいのだが、やはり視るほどに嘗てのTVアニメ版の出来の良さが記憶の中で際立ちすぎてしまい、画の綺麗さと上映時間に縛られた中で纏められたことを評価するにしても、オスカルの言動や心情の描き方に??の違和感はどうしても拭えない苦しさがそこにあった。ただ、声優の方々はとても頑張ってらした。寧ろ良いとも思う。だからこそ、オスカルやアントワネットの台詞にそこでソレ言う感のつらさがあった。
… 多分、今作の監督や制作チームと、池田理代子先生の「ベルばら」という作品への齟齬や剥離が生じた結果なのだろうという結論。
池田理代子作『ベルばら』とTVアニメ版との齟齬は個人的に感じない、どころかそこにオスカルやアンドレ、アントワネットが存在し、動き話している状況は、若しかすれば原作を凌駕してる様にさえ見えた。
嘗ての東京ムービー新社?という「明日のジョー」なども担当した、劇画調原画をそのまま1シーンとして差し込むアニメ制作方法も合間見え、偶然にもすべてがマッチングしていたことが今に思えば奇跡に近いものだったのだなとも思います。
ただ、何も知らずに当該作品を視ていれば、そこまで違和感なくヅカ風なのねとある程度納得しつつ、そこそこ不満なく見れたのであろうとも思うが。
今YouTubeで期間限定で視れるTVアニメ版を視てしまうと、失礼ながら尚更、御座成り感を感じてしまう。残念。
… 個人的に無理を言えば、ジャンヌや、デュバリー夫人の実在した首飾り事件とアントワネットとの関係なども「ベルばら」には欠かせないエピソードとして確固として残っているため、可能であればパート分割して制作していただきたかったと思います。
しかしながら、今一度『ベルサイユのばら』という作品をあらためてじっくりと見直すきっかけと機会を得られたことが、今回の大きな収穫でした。