「不朽の名作はやっぱり偉大だった」ベルサイユのばら 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
不朽の名作はやっぱり偉大だった
1972年から73年にかけて「週刊マーガレット」に連載された不朽の名作「ベルサイユのばら」のアニメ映画でした。男の子だった私としては、これまで存在は知りつつも、”少女マンガ”である原作にもテレビアニメにも宝塚の舞台劇にも全く触れて来ませんでしたが、半世紀以上経過してなお人気があるコンテンツであり、どういった点が多くの人を惹きつけ続けているのかに興味があり、本作を観に行きました。
その結果、とにかく原作の魅力がとてつもなく大きいことが感じられ、収穫のある鑑賞になりました。ではどの辺に魅力があるのか?既に語りつくされたことだとは思いますが、フランス革命という世界史上でも稀に見る大事件を背景にして、マリー・アントワネットやルイ16世をはじめとする実在の人物と、架空のキャラクターである主人公・オスカルらが混然一体となって多数登場し、作者の解釈に基づく彼らの人物描写を行うことで絶妙のキャラクター設定を行い、なおかつ少女マンガらしく複雑な恋愛関係や恋愛感情を描きつつも、フランス革命における戦闘シーンもきちんと描いており、言ってみればフランス革命版の大河ドラマになっているところが最大のポイントだと感じました。
一方でアニメ映画としての出来栄えと言う点では、主要キャラクターの描写は非常に綺麗だったものの、それ以外の背景描写などが非常に粗い感じがあり、最近の精細な描写に慣れた眼で観ると、やや見劣りがするかなと感じたところでした。ただ、大河ドラマに例えるなら総集編的な纏め方をしていて、ややもすればダイジェスト版にならざるを得ない2時間弱の枠に、恐らくは原作の名場面であろうシーンをきっちりと入れ込んで、一編の叙事詩に仕上げていた点は大いに評価出来るかなと思いました。
そんな訳で、本作の評価は★3.8とします。