ヴィーガンズ・ハムのレビュー・感想・評価
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スレスレのネタが続くブラックコメディー
日本だったら不謹慎だ無礼だと言われそうなセンシティブ(主に政治/宗教系)なネタがてんこ盛りで、これが受けるフランスは心が広い。あるいは普段からそのような衝突が身近にあるのでこのレベルでは目くじらを立てないのか。
イスラエルとパレスチナのようにとか、イランの豚とか(イランはムスリムなので豚はご法度)、「ハラール無いよ」と言ったら「いいからイランの豚をくれ」と言った彼は破戒ムスリム。
おまけにウィニー。熊の被り物でからかったりピグレットの話が出たりすることからわかるようにこれは「クマのプーさん(ウィニー・ザ・プー)」のことで、習近平が似てるってことで中華圏ではタブー。製作年から考えて、製作側にその意図が無いとは思えない。
また、カニバリスムについても「キリストの肉だって言って食べてるじゃない」というセリフがあるが、これは映画「生きてこそ」(ウルグアイの遭難者たちが生き延びるために他の被害者の肉を食べながら救助を待つ話)でも出てきたセリフ(あるいは伝記のエピソードだったかも)。
ところで、佐川一政が人肉を食べたのはパリでの話。今回の舞台もパリ。これは単なる偶然だろうけど。
なんでこの映画で人肉食がコメディのネタとして通用するのか?
日本だったらB級グロテスクホラーでしか使われないネタだろう。(「ひかりごけ」を除く)
ヨーロッパではそこまで人肉食は(知識として)一般的でないから?
実際にパリでの人肉食の話はついぞ聞いたことが無いし、犬鍋や猫肉以上にネタにもならなかった。そこまで人肉食は縁が無いから、ここまでのネタに出来るのかな?
おそらくヨーロッパの人にとっては人肉食はアジアや南米の未開地の話か、戦時中のソビエトの話でしかないんだろうなあ。
でも日本では肉(しし)食いの文化が浅く、人肉食も倫理的に受け入れない。わかってこの映画を見ている人は大丈夫だけど、いきなり普通の人が見たらそうとう拒否反応がおきるのでは。
ヴィーガンをハムにする。
最高
やってる事は超絶エグいのに
なんでやろ、胸糞悪くならないな。
小さな肉屋を営むヴァンサンとソフィーはお店の経営危機に加えて二人の夫婦関係も危機の真っただ中。そんな時にマスクを被ったヴィーガンに店を襲われ、一人のヴィーガンと揉み合いになり被っていたマスクが取れて顔が見えたが、振り切られて逃げられてしまう。
同じ肉屋の友人宅に行っても、経営の規模の違いやら収入で散々マウントを取られる始末でもう帰りの車内の雰囲気は最悪。すると、帰りの田舎道である自転車を追い越したところで、ヴァンサンが車を停める。
あれ、うちの店を襲ったヤツだ。顔を覚えている。
すかさず車をバックで進めると、ガコンガコン!と激しい衝撃。
ヴィーガン野郎を轢いてしまった。しかも即死。
自首する、放置する、いろいろな思いが巡る中で、ソフィーが普段よく観る犯罪者の手口を紹介する番組で、バラバラ殺人が紹介されていたことを思い出し提案。ヴァンサンは気が進まないながらも自宅の解体場で人肉の解体を始める。
気持ちの悪さであまりよく寝付けなかったヴァンサンは翌朝寝坊し、遅れて店に行くとお客が今朝買ったハムが美味しかったからまた欲しい、と店に来ていた。ヴァンサンはハムを用意した覚えがない。もしや…それは、前日に解体した肉の一部だった。
インドはベジタリアンが多いって以前も何かのレビューで書いたけど、その関係もあってヴィーガンもまぁまぁいる。ただ欧米の典型的ヴィーガンのような刺々しさはなく、彼らの宗教観に基づいた主義なのでこちらもあまり気にしない。
だけど、なんであんなに欧米のヴィーガンは攻撃的なのかイマイチよう分からん。それは恐らく全世界ある程度みんな近い認識だから、この映画のコンセプトが成り立つんだろうな。典型例は娘の彼氏くん。早くショットガンで頭撃ち抜かれてくれへんかなと思うぐらいの、とにかくメンドクサイ理屈を並べまくる。いや、僕いいですって言うだけでええのに、なんでわざわざ不愉快になるような言い草なんかなと思ってしまう。
そんなヴィーガンが逆に肉として消費され、しかもそれが行列ができるほど美味しいという皮肉。彼らは草食動物だ、みたいなくだりは悪ノリだなーと思いつつ、不謹慎にも笑ってしまう。中盤以降は完全に単なる猟のヴィーガンバージョンと化していく。
また、経営が傾いていた時にはギクシャクしていた夫婦関係も飛ぶように売れる”イラン豚”のお陰でどんどん良くなっていく分かりやすさ。結局金の切れ目が縁の切れ目なんだなと。
強めの皮肉、倫理観と欲望の綱引き、主義主張の異なるものというだけでなく、普通に生業としていることが完全に攻撃対象となる理不尽、夫婦の関係の危うさなどなど、切実且つどうにもならない閉塞感モリモリのはずなのに、ポップな音楽と明るい日差しの中であっけらかんと進んでいく感じもあるので、やっている事の割には軽いノリで観ることができるかな。
星四つでもええかなーと思ったけど、そこまで何かが残ったわけでもないのでマイナス0.5。
ブラックコメディの佳作ですね。
【見つけてしまった新たなる肉の調達方法。肉屋夫婦のヴィーガン狩りを描く痛快コメディホラー 。】
■屋を営む倦怠期の夫婦、ヴィンセントとソフィー。
ある日、店がヴィーガンの活動家たちに荒らされ、ヴィンセントが犯人の1人を殺してしまう。死体処理に困ったヴィンセントはそれをハムに加工するが、ソフィーが勘違いして店頭に出してしまう。
ー ブラックコメディ。戦慄の人間狩りとカニバリズム、夫婦愛のコントラストが利いた不謹慎な笑いが満載。ー
■感想
・観ていると、ヴィーガンの人達の、美味しそうなハムにゴックンである。
<今作は、ホラーと言うよりはコメディだよね。面白かったぞ!>
面白い
社会風刺までは行かないくらい、ブラックジョークレベルのテンションの映画だったけどその愉快さが上手くはまってるように感じた
肉屋だから人間の解体への抵抗感の少なさがあったりと、納得感多めの人物造形だった。
殺人に対する葛藤のシーンも短めでとにかくスッキリする映画ってかんじ。
ブラックコメディ映画で良かった
現代のヴィーガン事情がよくわかる映画
ヴィーガン対ノンヴィーガンの話しを起点に社会問題を提示している社会風刺映画。
ヴィーガンのことはよく分からないですが、世界には色々な考え思想を持った人がいることがよ~く分かりました。
この映画を観て戦時中「人肉」を食べて生き延びた話し(実話)を思い出しました。
飼い犬に殺したヴィーガン青年の肉をやるのも笑いました。
その青年の陰部(ボカシ無し)は本物でした。(包茎)
笑える面白い映画でした。(;^_^A
至高のアンチテーゼ
一言「最高」でした。
昨今問題視される、ヴィーガンの過激派に対する明確な答えでした。反ヴィーガンの過激派がいたらまさにこのような人達でしょう。
自分はヴィーガンではないし、否定するつもりもありませんが、過激に押し付ける人達がいるというのもまた事実。
我々には人間だからこそ持つ欲望とエゴ、他人には立ち入られたくない領域があるものだと考えさせられました。
上のように書いたのはいいもののあまり考えさせるタイプの映画ではありませんでした。
ホラーというよりコメディー映画ですね。
テンポ感満点。途中で入るBGMは主人公達のサイコパス具合を増長させ、いい演出だったと感心しました。
ラストシーンの「ウィリー」という発言では、色々な解釈があると思います。
「心臓発作で死んでしまった。いじめられていたのに可哀想だった。」という後悔か、はたまた
「あいつのペースメーカーさえ出てこなければ。」
という後悔なのか。
作中ウィリーの事で悩んでいる描写はありませんし、妻の狂っていく様子は丁寧に描かれていましたので後者の方がスッキリする解釈と言えます。
私個人的な解釈ではありますが、隣人とのパーティーの際にペースメーカーが出てきたことで、食べきらずに帰ってしまった為、
「美味しかったのに、残しちゃった、」
という心残りなのかなとも、思いました。
まぁ、総じて「至高のアンチテーゼ」でした。
個人的好きなコメディー映画ランキング上位です。
草食動物は美味しい。
個人評価:2.8 命をありがたく頂く。 生きるという事は、他の命を...
『差』を創って悦に浸る
最新の映画以外も見ようとタイトルに釣られてネトフリで視聴。面白かった。が、落ちが微妙につまらなかった。フランス映画ってあんまり見たことないな。
やっちゃいけないズルやってトントン拍子でがっぽり儲けて、最後バレて痛い目見るっていうこち亀的展開。こち亀のBGM聴こえてくるかと思った。
手口の確立だの練習台だの、おまけに娘の彼氏を標的にしようとしたりと、完全に一番のサイコパスは嫁さんの方だった。趣味の猟奇的事件のテレビ番組がそうさせてしまったのかな?
自分がこの作品で感じたのは、『差別』という概念が作品全体を貫いてるってことだった。嫁さんの親友はことさらに物事の値段の話をして金持ち自慢、貧乏人を差別してる。他にもアッラーアクバルとか言ってイスラム系差別、黒人差別、アジア系差別、ウィニーに関して言うとルッキズムでの差別かな?
差別の根源って『自分たちはこいつらより優れている。優位な立場にいる。』って思いたい気持ちにあると思うのだけど、この考えって一部の悪質なヴィーガンに共通しているのでは、と思った。娘の彼氏や、二人がチラシ配りをしているときに出会った男が「◯◯のこと考えたことある?」ってめちゃくちゃ色々並べ立てて二人を責めるんだけど、こういうのって「こんなところまで深く考えてる俺って、あんた達よりずっと賢くない?」っていうネジ曲がった考えから来てるのかもなとぼんやり感じた。そうやって自ら『差』を創り出して優位性を生み出そうと躍起になっているように見えた。
海外が長い知り合いが「ヴィーガンの中には、ヴィーガニズムをやることをクールでスマートだと考えてるやつが一定数いる」って言ってて、聞いた当時はそんなことあるかwって思ってたんだけど、この映画を見た後だと(脚色されまくってるとは言え)あながち間違いじゃないかもなと感じた。ちなみに自分のベジタリアンとかヴィーガンの知り合いはみんなそんなことなくて、自分の食のために動物が殺されるの可哀想って純粋に思ってるっぽかった。
もう1つ響いたのがいじめられっ子のウィニー。いじめられて来て今までの人生でいいことなかったけど、ヴィーガンの活動に参加することで動物を助けることに貢献したいという健気な青年。こうやって『人生の形勢を逆転させる活動』としてヴィーガニズムを捉えてる人も、現実に一定数いるかもなと虚しいような悲しいような気持ちになった。
人肉の味と裕福な暮らしを覚えてドンドン豊かになっていく二人の暮らしが、どんなに盛大にひっくり返るのかかなり期待したんだけど、落ちというか最後はショボくてそこだけ残念だった。
意外とちゃんとしてる
コテコテのB級映画感は否めないけど、メッセージ性をブラックコメディに昇華した作品としてはそこそこ面白い出来に仕上がってる。
R18ってことで相当グロいのかな〜?と心配していたけど、ほぼほぼグロいシーンはなく終わる。グロいの苦手なんだけど、グロはほとんどなく、殺害シーンもコメディ調で「リアルな内蔵びちゃーん!痛々しいシーンで見てられない!」みたいなのはない。普通のアクション映画とかでの死に方と同じくらいあっさりした死に方なので、拷問シーンみたいな痛々しいのが見てられない!って方でも観られる安心設計
切った腕とか足とかは出てくるけど、作り物〜って感じで気持ち悪さもない。観てみたいけどグロが苦手で観てない〜って人でも全然観られる範囲なのでオススメ
メッセージ性も押し付けがましいものでもなく、むしろそんなメッセージ性すら嘲笑うようなコメディで一貫してるので楽しく最後まで観ることができました
案外綺麗にまとまっていてノンストレスだった!
ヴィーガンの良質な肉
人間はお肉
PC
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