「喜劇のような悲劇」ペルシャン・レッスン 戦場の教室 ぽちゃ子さんの映画レビュー(感想・評価)
喜劇のような悲劇
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口コミは賛否両論ですが、私は劇場に行って良かった。ナチスドイツの暴虐を描いた芸術作品は多くありますが、この映画は『夜と霧』以上に収容所内部の視点から大戦中のドイツを知ることができたと感じます。冒頭に主人公と同じ車に乗ってきた大量のユダヤ人達が一瞬にして機関銃で死体の山になった、あの、あの湖の畔で、ピクニックを楽しむドイツ人士官たち…。背筋が寒くなりました。
40語の一覧を渡されたときや、「木はラージだ」と返してしまったときのようなわかりやすく息を呑む瞬間はもちろん、女性士官が再度名簿係に復活して定規を挟んだまま退出したときもハラハラポイントでしたね。
そして物語の終盤から「いま、『皿、はなんだ?』と聞かれたら思い出せない」とか考えてました…。
一方で、大きな歴史の流れに抗えなかったコッホ大尉にも感情移入しながらの観劇でした。彼がテヘランにたどり着き開業したドイツレストランで、ジルと「二人にしかわからないペルシア語」で会話する未来を妄想しました。
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