ペルシャン・レッスン 戦場の教室

劇場公開日:

ペルシャン・レッスン 戦場の教室

解説

第2次世界大戦時にナチスドイツの強制収容所に入れられたユダヤ人の青年が、自身をペルシャ人と偽り、架空のペルシャ語のレッスンを行うことで生き延びていく姿を描いた戦争ドラマ。

第2次世界大戦中、ナチス親衛隊に捕まったユダヤ人青年のジルは、自分はペルシャ人だと嘘をついて処刑を免れ、一命を取り止める。しかし、そんなジルに、将来イランのテヘランで料理店を開きたいという夢を抱くナチス将校のコッホ大尉が、ペルシャ語を教えるよう命じてくる。とっさに自ら考えたデタラメの単語をペルシャ語と偽って披露したジルは、コッホ大尉の信用を取り付けることに成功するが、その後も偽のペルシャ語レッスンを続けることになり……。

監督は「砂と霧の家」で知られる、ウクライナ出身のバディム・パールマン。主人公のユダヤ人青年ジルを「BPM ビート・パー・ミニット」のナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、ナチスのコッホ大尉役に「約束の宇宙(そら)」のラース・アイディンガー。

2020年製作/129分/G/ロシア・ドイツ・ベラルーシ合作
原題:Persian Lessons
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2022年11月11日

スタッフ・キャスト

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HYPE FILM, LM MEDIA, ONE TWO FILMS, 2020 (C)

映画レビュー

3.5Unorthodox Holocaust Survival Tale

2022年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

With Timur Bekmambetov in the production credits, you can't ignore his contribution to making this film throw in a new approach to experiencing the hardship of the Jewish Holocaust. It's the story of Gilles, a Jew whose appearance lets him dupe Nazis into thinking he is Persian. Based on a German short story, the Russian producer's knack for swimming against the current produces emotional results.

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Dan Knighton

4.5語学をツールに生き抜いたユダヤ人青年の話

2024年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

知的

語学をツールに生き抜いたユダヤ人青年の話だが、語学の教師として架空の語学をどう作り上げていくかに興味があったせいで、ストーリーとしてはあまり感激しなかった。アルゼンチンの役者で、主役ナウエル・ペレ・ビスカヤーの演技は抜群で、彼の表情から恐怖感を感じるが、強制収容所の生活を映画などで知りすぎちゃったのかもしれないせいか、恐怖感もスリル感もなかった。『Inspired by a true story』と字幕に出たのでこのフレーズに違和感があり、観賞後調べたら、ドイツの作家Wolfgang KohlhaaseのErfindung einer Sprache を元にして脚本家が脚本を書いていると。Erfindung einer Sprache に感動し、脚本を映画にしたわけだが、Erfindung einer Sprache が本当の話か検索したがみつからなかった。Inspired(感動)したわけであるが、本当の話を映画にしたとは書いてない。屁理屈を言うようだが、本当の話に感動して脚色もあると言うことだ。

1942年フランスでと字幕に。

この作品では、ユダヤ人の名前の一部分をとって、それをペルシャ語に変えているようだが、幸運にも誰もペルシャ語を知らないから、これらの言葉が本当にペルシャ語かどうかもわからない。これは、ジル(ナウエル・ペレ・ビスカヤー)が収容されたユダヤ人の姓名を記録として書き写す仕事をしていて、その帳面に、定規をまっすぐ置いたところから、この案が出てきた。それもナチスのコッホ大佐(ラース・アイディンガー)が完璧主義で一糸乱れずするジルの書き取りのスキルが気に入ったからだ。それに、また、コッホ大佐がジルに鉛筆を与えなかったから、記憶力が磨かれたのだ。完全にこのペルシャ語にかえるメカニズムを理解していないが、Youだとするとこの変換 なら ドイツ語名前のKlaus の AUをとってペルシャ語のAUの音にしている。これらの作業から、ユダヤ人の二千八百四十人の名前を覚えてしまったのである。最後のシーンで一人一人のユダヤ人の名前を記憶から蘇えさせ、発音していくシーンは心に響いたよ。スープを配るとき、一人一人の名前を尋ねるシーンとダブったね。アントワープ出身でドイツ語とフランス語、フレミッシュ語のできる、主人公のジルは記憶がいいねえ。記憶ばかりでなく、言語を変化させて新しい言語を生み出すアイデアと才能に長けている。ルドヴィコ・ザメンホフたちのエスペラント語の考案のようなものかもしれない。それに、おかしいところはコッホ大佐は四角四面で細かいようだけど、数のスキルがいまいち。一日4単語覚えて、一週間で24単語だと。日曜日は休むからこれでいいけど。ジルに40単語を訳せと言ったときに39しかないよとジルが答える。そして、その後、『本当』という単語を加えて40にする。こんな会話をしながら、コッホ大佐は最初、嘘をついていたら殺すという勢いだったけど、だんだん、『ジルが本当のことを言ってるかどうか、まだ、わからないねえ...』のような調子になり、囚人に缶詰をあげる時も、誰にあげるか念を押して聞かなかった。いいシーンだね。

圧巻はコッホ大佐が自分の身の上話(貧しく、夢にまで食べ物が出て、料理人になる道を選んだ)をジルにするところだ。これはジルに心を許し始めている証拠。じかし、逆に、ジルは自分も殺されると言う恐怖を超えて、自分一人が助かっていくが目に見えてわかるから、心が重くなっていく。スープを給仕してあげて名前を尋ねているがそれらのユダヤ人が一人一人消えていくのだから。そして収容所は空になって、また、他のユダヤ人が入ってくる。

圧巻の圧巻はジルがイタリアからの唖者の人にジャケットをあげ、ナチ強制収容所のバッジのあるジャケットをきて射殺されようとしその群衆の中に入っていくシーンから。コッホ大佐がジルを見つけつまみ出し...そこでの会話だ。ここではすでに、ジルはなんでも言える存在になっているより、殺される構えができている瞬間だ。だから下記の会話が存在する。この二人の関係を数字10で例えるなら、ジルの方が9くらいの力をもう持っている。コッホ大佐はジルとの会話(下記)で、1になっている。大佐の今までの権力も迫力よりもジルの方が優っている会話だ。『No. You just make sure that the murderers eat well.』がその意味をより明らかにしている。パワーのある言葉だ。

(会話を意訳した)

大佐:唖者を自分の命と引き換えにするのか?唖者のために、なもなき連中と(nameless Horde)一緒に死ぬのか?

ジル:ただ、名前がないだけだ。大佐は彼らの名前を知らないんだよ。彼らは大佐とおんなじなんだよ、(おんなじ人間)少なくても、殺し屋じゃないよ。

大佐:私は誰も殺してはいない。大佐は殺し屋たちを食べられるようにしているよ。No. You just make sure that the murderers eat well.

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Socialjustice

4.0名もなきユダヤ人たちへ

2024年1月2日
Androidアプリから投稿

このホロコースト映画は、おそらくラストのオチありきで組み立てられた作品だろう。ユダヤ人強制収容所でナチス親衛隊将校たちに美食を提供するコッホ大尉が、いくらペルシア語を学ぶためとはいえ、なぜあれほどまでにユダヤ人青年ジルを躍起になって守ろうとしたのだろう。テヘランに移住した兄と和解するためというのは口実で、当初からナチスドイツ戦局不利を予想していて、チャンスあらばテヘランにいつでも逃亡できる計画を予め立てていたからではないだろうか。

ユダヤ人収容者の名前と偽ペルシャ語の単語を結びつけ、2840語という途方もない架空単語を作り出し記憶したユダヤ人青年ジル。その言語能力の高さもさることながら、発話障害のあるイタリア系ユダヤ人の身代わりになろうとしたジルの精神的疲労が、相当のレベルに達していたことが伝わって来る映画なのである。偽ペルシャ語がいつバレるとも知れない恐怖にビクビクするよりも、いっそのこと“話すことができない”人間になってそのまま死んでしまった方がかえって楽になれるんじゃないのか。ユダヤ人青年にとっての収容所生活はそれほど地獄だったのだろう。

目をつけられた伍長に度重なる暴行を加えられ生死の境をさまようジル。その時ジルは無意識下で偽言語によるうわ言を繰り返すのである。「お母さんの家に帰りたい....」その言葉の意味はコッホ大尉にのみ通じる“暗号”となって、ジルの命をも奇跡的に救うことになるのである。一時は“ラージ”の記憶違いでコッホに疑われたジルではあったが、“スモール”所長の陰口が仇となって前線収容所に飛ばされる尻軽女班長とは対照的に、見事特権を回復するのである。

ナチスが退却する時に収容所のユダヤ人名簿を全て焼き捨てさせたのは有名な話だが、もし仮にペルシャ語教師兼名簿作成係に主人公が任命されさえすれば“その名”を思い出して、この現代に再び甦らせることができるのではないか。本作の原作者ヴォルフガング・コールハーゼは、ナチスに無惨にも殺されていった〈名もなきユダヤ人〉たちに“名前を与える”架空のシナリオによって、そこに鎮魂の意をこめたのだろう。

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かなり悪いオヤジ

4.0もう一人の主役、コッホ大尉

2023年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ナチスの虐殺から逃れる為に自らをペルシャ人と偽り、知りもしないペルシャ語の個人授業に励む主人公の苦悩を描く物語。

独創的で興味深い作品でした。
他のナチス物と比較して、収容所の描写が少し独特。残虐なシーンは勿論あるのですが、ドイツ人兵士達の生活や人間模様をしっかりと描いているのは興味深く感じました。

主人公の苦悩の描写も秀逸です。中盤迄は生き残る為にペルシャ人を、ペルシャ語をどうやって偽装するかを四苦八苦。後半は、虐殺される運命の同胞たちに対して、自らの待遇に対する自己嫌悪に悩む主人公を活写します。

この作品は、ペルシャ語の生徒役になるコッホ大尉をどのように描くか・・・が鍵だったように思います。不幸な生い立ち。意気軒高で威勢の良いナチスになんとなく入党し、そして大尉に迄昇進。ナチスを嫌悪した兄との別離を悔やみ、平和の詩を紡ぎ、人を殺していない・・・と叫ぶコッホ。
彼と主人公の友情を描くのか、或はあくまでナチス将校として憎悪の対象として描くのか・・・それが中途半端になってしまったように思います。
どちらかに寄せてもらえたら、よりカタルシスを得られたかもしれませんし、或は、よりを儚さを得られたかもしれません。
どちらにも寄せられなかったラストは、ある意味リアルではあるのでしょうが、映画としては少し損をしたように感じられました。

私的評価は4にしました。

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よし
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