「勇気をもらえた、今年一番の映画!」桜色の風が咲く sakusaku48さんの映画レビュー(感想・評価)
勇気をもらえた、今年一番の映画!
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勇気をもらえた、今年一番の映画でした。
目が見えない。
耳も聴こえない。
主人公の言葉を借りると、
「男版ヘレン・ケラー」の物語。
視覚と聴覚がまるっきり失われる恐怖。
世界にひとりぼっちでポツンと放り出された孤独。
その辛さは、想像するにあまりある。
けれど、父も母も優しい。
劇中では小雪演じる母親に目を奪われがちだが、吉沢悠演じる父親もステキだった。
息子が失明する直前、少しでも景色を目に焼き付けておこうと、家族5人で旅行に出かける。
主人公の智と同じように、サングラスを掛ける父。
なんでお父ちゃん、サングラスかけてん?
と無邪気に尋ねた智に、
なんでやろなーと優しく返す父。
息子の辛さを少しでも思いやろうととしたのだろう。
個人的に好きなシーンです。
母から指点字を教わり、
大学に進学し、
少しずつ変わっていく智の人生。
目が見えないとは、どういうことか。
耳が聞こえないとは、どういうことか。
先輩のアドバイスで内省を深め、
もう聾者になった自分にしかできない使命がある、という境地にたどり着く。
これが、ラストの吉野弘氏の「生命は」という詩に繋がる。
ぼくたちは足りないことに対して、いつも不平不満ばかりを言う。
けれど足りないことがあるから、お互いに補い合い、助け合って生きていける。
だから、足りないことを恥じたり、引け目を感じたりする必要もない。
世界の奥深さ、生きることの味わい深さを、
改めて教えてもらいました。
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