画家と泥棒

劇場公開日:

解説

ノルウェーで実際にあった絵画の盗難事件を題材に、被害にあった画家と絵を盗んだ犯人の事件後の意外な交流を追ったドキュメンタリー。

2015年、ノルウェーの首都オスロにあるギャラリーで2点の絵画が盗難される事件が起こる。盗まれた絵画を描いた画家は犯人を突き止めるが、犯人は「覚えてない」の一点張りだった。やがて画家は、犯人に「あなたをモデルに絵を描かせてほしい」と突然の提案をする。そのことから、画家と犯人の思いもよらない関係が始まっていく。

監督は、チェスの世界王者マグヌス・カールセンに迫った「Magunus(マグヌス)」を手がけ、今作が長編2作目となるノルウェーのドキュメンタリー映画監督ベンジャミン・リー。「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したモーガン・ネビルが製作総指揮に名を連ねる。

2020年製作/102分/ノルウェー
原題または英題:Kunstneren og tyven
配給:MadeGood.films
劇場公開日:2024年11月8日

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映画レビュー

5.0類まれなる人生のカケラを映し出した奇跡的なドキュメンタリー

2024年11月30日
PCから投稿

もともと配信で観ていたのだが、映画館のスクリーンで観ることで得られるものが非常に大きかった。特に表情の機微と、画家であるバルボラさんが描く絵のディティールが、この映画の説得力をさらに増していた。

絵を盗まれた画家と、盗んだ泥棒が出会い、画家が泥棒の肖像画を描こうとする、という導入からして十分に面白いドキュメンタリーだが、ある瞬間を転換点に、類まれなる人間ドラマへとなだれ込んでいく。こんなのはフェイクだ演技だというひともいて、確かにフィクション的な手法も駆使されている。が、個人的には、あんな表情を演技でできるひとがいますか?と思ってしまうし、背景を調べたり当事者である出演者に話を聞いた限り、フェイクだと認定するよな材料は出てこなかった。

まあでも、1000歩譲ってフェイクだったとしても「こんなに面白い映画あります?」なので、考えた人の天才っぷりを賞賛する気になる。そしてそもそも、あらゆる映像作品は切り取りと編集でできているという点で一種のフェイクだし、それは劇中の絵画も含めて「あらゆる表現は複雑に視点が絡み合ってできている」という命題にも触れていて、二重三重に考えさせられる。

そしてドキュメンタリーとして、被写体がこれほどまでに自分たちと人生をさらけ出していることは、監督も含めた奇跡的な出会いと信頼関係がないと成り立たない。ほんとこの映画に参加してくれて、そしてわれわれ観客に人生の一部をシェアしてくれて、心からありがとうございますという気持ちです。

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村山章

4.0芸術が心を揺さぶる瞬間を捉えた貴重な作品

2022年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

絵画を盗んだ泥棒と、被害者である画家が友情を育むドキュメンタリー。泥棒は2人組で、主要登場人物となるのはその内の1人のみ。彼はどうして盗んだのか、絵がその後どうなったのか全く覚えていないという。動機と絵の行方という謎を提示して始まる本作だが、ミステリーとしては展開しない。でも、そういうミステリー要素よりも、ある意味謎の深い人の心の問題を掘り下げていく展開となる。
写実的な画風で、心の闇をモチーフに描く画家は、様々な苦しみを抱えている。泥棒の方もその生い立ちと境遇ゆえにドラッグに手を染め、罪を犯してしまっていた。絵画と犯罪、全く異なるが、両者にとってはそれぞれの人生の苦しみを表出するための手段だったともいえる。
絵画に感動して唐突に涙を流す泥棒の瞬間をカメラは捉えている。あれほど人の心が劇的に動いた瞬間を捉えた映像は、なかなかお目にかかれないだろう。あのワンシーを観るだけでも価値がある作品だと思う。

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杉本穂高

4.5予期せぬ傑作との出会い

2025年1月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ホント驚いた。

2015年にノルウェーのオスロで起こった絵画の盗難事件。これは被害にあった画家と絵を盗んだ犯人の事件後の交流を追ったドキュメンタリー。

ジャンキーの犯人は絵をどうしたか覚えていなかった。画家は犯人に絵を描かせてほしいと提案した。

画家と犯人の思いもよらない関係。
おそらく一目惚れからスタート。
魅力的な造形だった。
素晴らしい絵になった。
絵を描く画家とて魅力的だった。

そう、観る我々はこの二人に魅了され続ける奇跡のような時間を過ごすことになる。

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エロくそチキン2

4.0ハリウッドが劇映画にリメイクしたいとの事

2024年11月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ノルウェーで絵画の盗難事件が起き、画家は犯人を突き止めるが犯人は「覚えてない」と言うだけ。

画家は、犯人に「あなたをモデルに絵を描かせてほしい」と提案し…

被害にあった画家と絵を盗んだ犯人の事件後の交流を追ったドキュメンタリー。

本作の主役である画家のバルボラ・キシルコワさんのトークイベント付き上映に行ってきました。

配信でも観れるみたいだし、劇映画じゃなくドキュメンタリーだしな…と思ったけど、評価が高いみたいだし、生で主役の方が見れるならと。

結果は大正解!!面白かった♪♪

並んで写真を撮ってもらえたし、サインもらえたし、少し話せたし(笑)

トークイベント時にバルボラさんが言ってた事を少し書いときます。

絵が盗まれた時に旦那さんはバルボラさんに「おめでとう」と言ったらしい(笑)

盗まれるような絵を描いてる、盗まれるような画家になったね、って事でしょう(笑)

もし本作の、この続きを撮りたいと監督に言われたら、どうしますか?の問いに、笑顔で「SAY YES!」と答えてました(笑)

あと、ハリウッドから劇映画としてリメイクしたいとの話があるそうです。

スゴイと思ったけど、このドキュメンタリーは超えられないと思う、たぶん。

それぐらい、いいドキュメンタリーだった。

それに、ドキュメンタリーってより普通の劇映画を観た感じだった。

終わり方というかエンドロールに入る直前も良かったです。

ホントいいドキュメンタリー映画なので、今なら配信でも観れるし、ぜひ皆さんに観て頂きたい作品です。

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RAIN DOG