「"I see you."《絆》を見た!」アバター ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
"I see you."《絆》を見た!
あなたはまだ本当のアバターを知らない。映画的カタルシスを知り尽くしたジェームズ・キャメロンの情熱と革新的映像体験の間で強く結ばれた絆が見える --- 君/あなたが見える、君に感謝する、魂はエイワに帰るが肉体は残る。10余年の時を経てやっと解った/見られた気がした。
映像は眼を見張るほど美しく、肝心の物語は心を持っていかれるほど普遍的。前に出てくるというよりは奥行きのある3D、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』を彷彿とさせるような白人酋長モノの系譜と"the one" 選ばれし者、石油をはじめ天然資源をめぐる自然破壊、そしてそれら人間の共感性にかけた巨匠からのメッセージ。映像的にも題材的にも今見ても全く古びることなく最前線で通ずるものがあった。むしろ時代とともに急務を要する、ますます切迫した事態になっているということを忘れてはならない…!
"The People" 一緒に森を駈け、空を飛び、息を呑む --- 兄弟よ、これは現象に相応しいリマスターだった。"奥行きのある3D"とは言いつつ、その没入感は画面中に舞う葉っぱやピントが合わないくらい手前のものを、ついそこにあるかのように手でよけてしまいそうになるほどだった。あと、本作の詳しいフォーマットや撮影手法は知らないが、『ジェミニマン』で採用されていた1秒間に60枚の画からできているのかと思うくらい滑らかさを感じる瞬間もあった。新しい世代にとってはこの上ない一発目の出会い!
作り手と観客の間にも絆 --- キャラクター描写や物語の運び方、そしてもちろんアクションなど、最後の最後までニクい=上手い作りで唸ってしまった。流石は『エイリアン2』や『ターミネーター2』、『タイタニック』と度重なる賭けに毎度勝ってきた百戦錬磨ベテラン監督。自ら脚本、製作もしているから映画作りをきっと骨の髄までよく分かっているのだろう。
圧倒的劣勢で挑む戦で盛り上がるお約束/鉄板パターンはやっぱり"予期せぬ援軍"しかない。あと、最後にネイティリが身体的に小さな人間ジェイクを抱き上げる形になっているのが、これまでリプリー(続編だけど)やサラ・コナーと"強(く美し)い女性"を作ってきた御大ならではな気もした。
Outstanding!