ソングス・フォー・ドレラのレビュー・感想・評価
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永久保存されるべき伝説のデュオライブ
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードとジョン・ケイルが、恩師ともいえるアンディ・ウォーホルの追悼のために行ったライブをまるまるそのまま収録したコンサートドキュメンタリーで、演目は先んじてリリースされていた追悼アルバムを曲順通りに演奏するというもの。
確執もあったルー・リードとジョン・ケイルだが、アルバムでもこのライブでも演奏するのは2人だけ。がっつりと向き合い、研ぎ澄まされた一音一音を奏で合う緊張感は、観ている側も呼吸するのを忘れるほどの密度。日本で初公開された後に発売されたソフトでは歌詞の字幕がなくなってしまい、アンディ・ウォーホルという人物の半ば架空の伝記というアルバム及びライブのコンセプトが(英語が達者でない者には)伝わりづらくなっていた。
歌詞と音楽、演奏と物語とが非常に密接なライブなので、歌詞の字幕が復活したリバイバル上映には感謝しかない。特にこの時期のリードは何度目かの全盛期と呼ぶべき乗りに乗っていた頃で、このパフォーマンスも文化遺産として永久保存されるべき。ルー・リード自身も手応えがあったのだろう。ジョン・ケイルとの和解は、そのままヴェルヴェッツの再結成ツアーにも繋がった。正直、ヴェルヴェッツ再結成よりもこっちの方が価値があったかも知れないとさえ思う。
ルー・リードが最も充実していた頃
歌で語る音楽の世界だった
物語を想像しながら
絵本のようで小説のような自伝本を読んでいる感覚、歌詞の字幕に夢中になりながら最高の音楽が奏でられる、観ている側のテンションが最高潮になった瞬間に演奏が映画が終わってしまう、物足りない良い意味での消化不良、至福の時間はアッという間に終演してしまう。
音楽にハマれば問題ないけれどThe Velevt Under ground含めたルー・リードとジョン・ケイルの関係性にやはりアンディ・ウォーホルの人物像を識っていればこその楽しみ方が。
本作と合わせて、本作を観る前に予備知識としてトッド・ヘインズが撮ったドキュメンタリー映画『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』やアンディ・ウォーホルが銃撃された実話の映画『I SHOT ANDY WARHOL』を観るのもアリだと。
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