「誰も信じられない」BODIES BODIES BODIES ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
誰も信じられない
人の惚れた腫れたをのぞき見するリアリティー番組は通俗の見本のような世界だ。よってそんなものが好きなのは卑しさのあらわれにちがいない──そう考えて例のリアリティー番組が好きなことは黙っていた。が、毎回欠かさず山チャンネルまで見ていた。
映画Bodies Bodies Bodiesはスリラーだがあの番組を彷彿とさせた。
みんな仲良しや恋愛のうわべをつくりながら、じっさいには誰ひとり信用していない。そもそも全員がよく知らない者どうし。疑心暗鬼におちいって、ころしあいが繰り広げられる。
SNS時代の今は誰もが謂わば売名の途上にいる。
誰もが膾炙の踏み台となるものを探している。
友情も色恋も我田に引水するためかステップアップの資材であり友愛よりもフォロアーが増えることが重要だ──というVIVEを本作はポップに表現していた。A24からの配給は伊達じゃなかった。
監督Halina Reijnはオランダの俳優で長編は2作目。
Z世代をうまくあやつり、IMDB6.3、トマトメーターは85%だった。
増大し悪化する一方のエントロピーと胸糞を、最終的に「ポカ~ン」という感じでまとめていて、狙い通りにおちている。つかい手だと思った。
また、Amandla Stenbergは例のリアリティー番組でなくなった人に似ている。そのこととBodies Bodies Bodiesのだまし合いの気配が、例のリアリティー番組を見ていたわたしにとって、この映画を迫真に変えている。ブラックユーモアに得体の知れない胸苦しさがあった。
ところでPete Davidsonはカーダシアンやグランデやクアリーやその他もろもろといるパパラッチ写真が山ほどある超モテ男なんだが彼を見るたびそのモテっぷりが解せない。
──という、彼がモテるのがわかんないという見解は超あるあるになってしまっているので本作に出演しているPete Davidsonを見て、ハリウッド一のモテ男だってことがわかるなら見る目があるってことかもよw。