ちひろさんのレビュー・感想・評価
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孤独を慈しむことをめぐって。
2023年。今泉力哉監督。元風俗嬢の「ちひろさん」は誰にでも真摯に向き合い、子供や老人など弱い立場の人たちを自然に助けて生活している。肩の力を抜いた生き方をしながら癒しようのない孤独を抱えて生きる主人公とその周囲の人々の話。
無理に孤独をなくそうとしない主人公が、他者への自然な心遣いの結果として人間関係ができあがっていくと、そのできあがった関係からも逃れたくなってしまう、という「ハリネズミのジレンマ」のような孤独の宿痾を上手に描いている。主人公の孤独は宿命的なもので、誰かと一緒にたら癒されるという程度のものではないのだ。だから「埋葬」が繰り返し描かれて、孤独の深淵を垣間見せている。やさしさから埋葬しているわけではない。
豊かな抒情性をたたえた映像で、主人公の有村架純がとても魅力的に映っている。いい映画。
大きな孤独
孤独の大切さ
元No.1風俗嬢のちひろさん。
不思議な雰囲気と魅力、歯に絹着せぬ物言いで関わる人々に寄り添い、受けれ入れて、何気なく諭していく。
原作漫画は読んだことがなかったのでそれも良かったのかもしれない。
有村架純さんの醸し出す"普通さ"と圧倒的な懐の深さのバランスがとても良いキャラクターになっている。
変に孤独にめげる事もなく、誰にでも優しい訳でもない。のらりくらりと男をあしらう事もできるし、自分自身の影を受け止める事もできる。
今の世の中、生き急いで色んなことを受け止めて、互いを理解しないと置いて行かれそうな雰囲気に飲まれそう。そんな風に感じることが増えた様に思う。
そんな時、もがけばもがくほど苦しくなって沈んでいってしまう。深く、深く、深く。
沈んでたって、それはそれで良いんじゃないかと教えてくれたように感じました。じっと今を見つめてみる。そうすると沈んでても良いし、心が軽くなればまた浮き上がって来てもいいよって。そんな風に思わせてくれたのが今の自分にとってとても居心地のよい優しい作品だった。
昼からビールを飲んで優雅に見たり、
早く起きた静かな朝にひっそりと見たり、
ふと寂しい深い夜に見てみたり。
いつでも受け入れてくれそうなちひろさん。それは孤独の大切さを身思って体感してるからなんだと。
だからNetflixという配信スタイルに作風もマッチしていたように思う。
出演され居る役者さんたちもまた良いところづくめで、若葉竜也さん、佐久間由衣さん、リリーフランキーさん、平田満さん、風吹ジュンさんと好きな役者さんが出てて良かった。
子役の嶋田鉄太さん、豊嶋花さんもハマって居たのが本作のより良いところだと思いましたねー。LOVE LIFEの嶋田鉄太さんは子だったとは気づきませんでしたが、人気監督の2作に出演してるの凄すぎる。
劇場鑑賞だとオマケムービーが見れたそうで、見たかったけど見れませんでした。近くの映画館でやってたら会いに行ったのに。
ちひろさん。
良い作品。
ちひろさんにまた会いたいと思いました。
孤独が好きなちひろさん
ちひろさん(有村架純)は元風俗嬢で、本人は隠していない。
お弁当屋の売り子で人気がある。
本人は孤独が好きなのだが、いつの間にかホームレスのおじいさんや不登校の女子高生、家族に馴染めない女子高生、シングルマザーに育てられている鍵っ子の小学生などと人間関係が生まれてしまう。
有村架純は私にとって癒し系ナンバーワンで、今回も癒やされた。
その女、孤独に寄り添う流浪人... 故郷を捨てた女性が行く先々で孤独に惑う人々を癒すも我が胸中は・・・な孤独の交通整理映画
2010年代にEleganceイブにて連載された、安田弘之先生による漫画作品の映画化。
掲載誌が大人の女性をターゲットとした女性漫画誌なだけあって、酸いも甘いも知る強かな女性が主人公ですが、安田先生の代表作である『ショムニ』のような群像劇感は継承しつつも、チーム一丸となって有象無象に立ち向かうテイストではなく、全体として優しいながらも寂寥感の漂う作風が得も言われぬ諦観も感じさせ、その"励ます"よりも"寄り添う"感じが象徴的です。
また、素性の知れない異邦人の風来坊が村人の問題に肩入れし、尽力するも縁が深くなる前に人知れず次の町へと去っていく・・・・・・言うなれば『木枯し紋次郎』あるいは『男はつらいよ』的なカタルシスの感じられるカッコ良さもあるかもしれません。
「2日前ラジオでくるり泣いてしまった」
「違う惑星から来た人」は意外と多いかもしれない
元風俗嬢現弁当屋の謎のお姉さん=《ちひろさん》。
家族じゃない、でも居場所を作ってくれる彼女に惹かれる人は多い。だが、彼女自身が何者なのかを知る人は、多分誰もいない。
弁当屋を舞台にした映画やドラマはたらふく観てきましたが、こんなにも美味そうな弁当を出す店は見たことありません。どこだよ、この弁当屋。毎日行くから場所教えてくれよ。
なお、この作品はNetflixでも配信しているそうですが、港町(ロケ地焼津)が舞台とだけあり、港町の風景や音はやはり映画館で触れた方が良いのではと思います。私は映画館で観ました。
秀逸な人間ドラマ。
家族が悪い意味で家族じゃない登場人物がいて、そこに家族っぽくないけど家族の温かみを届けてくれる人と、家族っぽくないけど本当は家族らしくしたい人が重なり合う。
寂しいと一言で言っても、かと言って誰かと一緒にいたいかと言えばそうでもない。そもそも《一緒にいる》という言葉のニュアンスは人によって微妙に違う。そのニュアンスの違いが、家族や友人という近い距離にありながらも、微妙な亀裂を産んだりする。
この作品の中で出ていた「違う惑星から来た人」を言葉にして表すのは難しい。けれど、なんとなく示そうとするものはわかるし、考え方も理解出来る。そして、ちひろさん。多分多いよ?思っているよりも。と。
良かったです。特に主演が有村架純さんだったのが良かった。港町の謎の女。なのに、あのほっこりした笑顔で全部持ってかれる感あった。
なんで3.5かと言えば、単純にちと長いなと思ったからです。ただ、どこを削れば良いのかわからんですが。
お弁当がふいに食べたくなる良い作品。
今年80本目(合計732本目/今月(2023年3月度)15本目)。
どうもnetflixでも同日公開だったようですが、私は映画館にいって、わからかった部分はネットフリックスで補いました。
元風俗業であることを「あまり」隠さずにお弁当屋で働いている主人公、ちひろさんがテーマの「ちひろさん」という映画です。
出自がどうであろうと、人(他人)を見るときには、その人の過去の生い立ちその他を考えることなく、「今のその人」を見て判断することが大切です(換言すれば、偏見を持つのは良くない、ということ)。
ごくごく当たり前のことですが、本映画はそれをまさに実行している主人公で、そのピュアさに好感が持てました。
ネットフリックス系映画というと1ランク下がると思われる方が多いですが、今でも普通に放映されている映画館もありますので、「その中では質が高いほう」です。
行政書士の資格持ちとして、「お弁当屋」について公衆衛生(衛生行政)の観点からやや描写が不十分かな…と思える点はあるものの、細かい話でしかないし、それをどうこうする映画でないのは明らかなので、見逃し(または、減点0.2まで。これだけでは4.5までの評価にならない)にしました。よって、減点なしか4.8で、4.8だとしても5.0に切り上げ満点ということになります。
「ちひろ」さんのまっすぐな生き方に共感が持てる方(予告編で結構わかると思います)はおすすめです。
ちひろさんに会いたくなる…
…初日に鑑賞してから何日かすると、またちひろさんを思い出して会いに行きたくなりました。
偏見を持たないで真っ直ぐに人を受け入れるから、みんながちひろさんを好きになる。
ちひろさんという人に色々教えられた自分がいました。
あなたはどんな時も心をフラットにできていますか?
有村架純ちゃんいいね。映画としての構成も良かったような気がする。この原作割と長いから、なかなか2時間に収めるのは難しかったと思う。原作の着地とはちょっと違う感じだけどね笑。
ショムニの原作者が書いた漫画で、男性目線の理想像の女性を描いてるだけ、とかなんとか、かんとかいう方もいるみたいですが、貴方も女の立場から見ると、というその色眼鏡外してもいいと思うよ。なーんつって。
あと、原作もそうですが、敢えて彼女の背景はハッキリと描いていなのだと思います。それこそが言いたいことなのでしょう。型に嵌めたい気持ちは分かる。わかった気になりたいのもわかる。でも、その人の本質はそこにないのです。情報を得てもわかりはしないし、得たら得たで穿った分析をしてしまう。まぁ、色眼鏡や偏見なんて、誰だって外せないもの。だったら言い訳しないで矛盾してる自分ごと信じて愛してから、相手を見てもいいのかもしれない。
1人にならないと呼吸できない時もある。そんなふうにしか生きれない人もいるんです。
人を怒らなくなる映画。
ちひろさん、今日から浦和に来てくれました!
優しい気持ちになる。
多くの女子が劇場を占める中観た「愛がなんだ」、そして「his」以来の今泉作品。その時の良いイメージがあるので、自ずとハードルは高いんだけど、流石すぎます。生きてて色々ある他人さまの色んなことを、一見人当たりの良さそうで虚にも見える有村架純が、存在感を出し過ぎずに、まーるく整える。そういう人に限って・・・ってのは、あるあるだけどね。
そんなら有村架純を観て、子どもの頃母親に「お姉ちゃんが欲しい」と無茶な言ったことを思い出した。自分が姉に求めていた理想像だったのかも。
今泉作品はもっと観ないといかんな。
孤独な者たちの孤独なヒーロー
この空気、この距離感で僕も人と付き合えたらなと
思いました。
最初のおじいちゃんを家に入れる辺りは、
やり過ぎじゃないか?漫画っぽ過ぎないか?
と思っていましたが、ちひろと言うキャラが分かって
来ると格好良い人だなと思えてきました。
特に人のために何がやってやろうと言う感じじゃなく
ただ自分がそこにいて、そう思ったからそれをやる。
と言う感じで、それが気持ち良かった。
孤独な者たちのヒーローと言う感じに捉えてたけど、
ちひろさん自体も孤独で、
だけど孤独が悪いものじゃなくて、ひたすら自由と言う
感じが自分もつるむ事が苦手で、
若い頃は悩んだ時もあったけど、孤独最高じゃん。
と肯定してくれる感じが心地良かったです。
孤独な者たちが幸せになって行くのを見て颯爽と
居場所を変えるちひろさんは西部劇の主人公のようで
それもまた格好良かった。
こんな娘がいたらいいなぁ
全体的にふんわりしながらも自分を変えず生きているちひろさん。
悪い意味ではないです。
でも、ちょっとした設定を何で変えたのかな?
キリとコンパスでは全く意味がちがってくる。
彼女は誰とも分け隔て無く接しているというより
興味を持って近づいているのだ。
あと、あのセックスシーンは必要だった?
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