君だけが知らないのレビュー・感想・評価
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仕掛けとドラマ性を両立させた良作
この映画について語る時には、自分でも気づかないうちに真相に触れてしまう可能性があるので注意が必要だ。このミステリーを存分に楽しみたいならば、何も情報を入れずに臨むことをお勧めするーーー。
後から振り返ると、極めてシンプルな構造ではあるものの、シンブルな中で的確に仕掛けとドラマ性を両立させているのが大きな強み。その点、観る者を楽しませるだけでなく、一つの完成されたフォーマットとして国外リメイクされゆく未来さえたやすく目に浮かんでくるかのよう。また、何が真実なのかなかなか判明しない本作では、”家”もしくは”住居”が印象を刻む。それこそ夫婦が暮らすマンションもそうだが、建設途中で廃墟と化したドリームタウンといい、はたまたカナダの湖畔に建つ家といい、それらが象徴するものもまた作品を紐解く上で欠かせない鍵と言えそうだ。伏線やディテールがどう回収されているのか、もう一度見返してみたくなる作品である。
ミスディレクションの巧みさ
始まって早々に不可思議なことが立て続けに起きるので、これはもしかしたらユアン・マクレガー主演作「ステイ」のような仕掛けだろうかと思ったが、ほぼ違った。観客の多くも、記憶喪失になったスジンが見ること、体験することを追いかけながら、こんな仕掛けかな、あんなトリックかなと仮説を立てては一喜一憂するはず。一筋縄でいかないのは間違いない。
「ソードフィッシュ」で悪党のジョン・トラボルタが何度か口にした“ミスディレクション”を思い出した。答えの糸口だと思い込みそうな偽情報をわざと提示して、相手を間違った方向に導くこと。本作で長編デビューという女性監督(兼脚本)ソ・ユミンは、このミスディレクションが巧みなのだ。
なるべく事前情報を仕入れず、知的パズルのような迷宮に楽しく翻弄されていただきたい。ネタバレ防止に関して、配給や宣伝担当から「~について言及するのはご遠慮ください」などと協力を求められることはままあるのだが、本作のケースはちょっと唖然とした。「1:10 頃~本編終了まで=スジンが少女に声をかけるシーンからラストまで」は書かないで、というのだ。さすがに、信頼しなさすぎではなかろうか。工夫しながら見所や魅力を伝えたいと思っても、これでは書きようがない。苦言を呈しておきたい。
映画が“記憶の装置”であることを再認識するサスペンス
韓国ドラマ「サイコだけど大丈夫」のサイコなドSキャラを魅力的に演じ、日本でも一躍人気女優となったソ・イェジ。彼女が演じる記憶を失っていた主人公スジンが、徐々に記憶を取り戻して事件の真相に迫っていくだけでなく、ドラマは二転三転し、ノンストップで展開。フラッシュバックでスジンが思い出す記憶や、現実に起きる不可解な出来事に、デジャブ(既視感)のような幻覚=未来が複雑に絡み合い、その映像(編集)を見ている者にも混乱をもたらしていく。
先ほど見たシーンは本当にスジンの記憶なのか、それとも夫ジフンの作り話なのか、見えてしまった幻覚は未来に起きることなのか。観客はそれらの映像のパズルを組み合わせていくうちに、改めて映画が“記憶の装置”であることに気づくだろう。
ゴチャゴチャしてた
世にも奇妙な話の複雑版だけど、ちょっと入り組み過ぎだった。予想外は面白いんだけど、ここまでされると現実で何が起こってるのか、わからなくなる。
ネタバレのサイトで理解した。
評価:3.2
ちょっと無気味なサスペンス
ソイェジ扮するキムスジンは事故で記憶を失うもキムガンウ扮する夫イジフンが献身的に支えた。 しかし退院の日、マンションの停電でエレベーターに閉じ込められ倒れたが夫が助けた。ふたりはカナダへ移住しようともう家を購入していた。そんな時、スジンは突然触れた人の未来が見える様になっていた。
いくら真面目に説明しても医師も夫も理解してくれない。でも突拍子もなく服着たまま海へ泳ぎに行ったりちょっと変わってるよな。それでも未来が見えてしまった人にはどうしてもおせっかいにもかまいたくなるんだよね。一方、偶然にも夫の秘密を知ってしまった。いざ夫が信頼出来なくなると困るね。スジンにも秘密があって、ちょっと無気味なサスペンスだけど、韓国映画は面白いね。
コンパクトにまとめた良質サスペンス
何が真実で何が思い違いか、ひょっとして記憶が書き換えられている?、予知能力がある?いろんな不可思議な出来事に視聴者も混乱しながら最後にはスカッと伏線が回収され、頭が整理されたサスペンスだった。練られた脚本と演技がよかった。
ソ・イェジは「サイコだけど大丈夫」のお高くファッショナブルイメージだったけど、庶民的な役もありですね。
事故で記憶喪失になった主人公。 事故の際に未来が見えるようになった...
事故で記憶喪失になった主人公。
事故の際に未来が見えるようになったが、それは現実なのか幻覚か。
また、事故後にずっと付き添ってくれていた夫の正体は。
職場の同僚によると夫に暴力を振るわれていたというが、事の真相は。
途中で話を整理しないと混乱してしまうが、サスペンスとしてはおもしろかった。
ヤングケアラーの末路
僕は、他のレビューアーの皆さんとはちょっと違う見方で、鑑賞中に足が止まってしまいました。
これ、
《共感が過ぎておかしくなってしまった兄の物語》でしたよね。
養子の“妹”を受け入れたヤングケアラーのジフン。
彼は子供ながらに優しかった。そして責任感がものすごく強かった。
エンパス(empath)が、そして情動的共感性が強すぎて、兄としての責任の境界線を越えて、もはや兄は心が壊れて“ストーカー”になってしまったのだと思います。
7Fの、顎傷DV男の部屋で、兄ジフンは”妹“スジンと殴られながら肩寄せあって一緒に暮らし、
スジンがやっと成長してホッとしたのもつかの間、”妹“が不幸な結婚生活や保険金殺人事件に巻き込まれるくだりは、
(それはそれでストーリーの流れとしては大事件ではあるのだけれど)
“妹”を守り切れなかった自身を責め、復讐と、成り代わりと、リハビリと、故郷からの逃避行と、バミリオン湖での死ぬまでの介護までをば自分に課そうとする このお兄ちゃんが、僕はあまりにも痛々しくて、彼のPTSDの生い立ちが 鉛のように重たく心に残りました。
これこそがこの映画の隠れ主題だったのではないだろうかと・・
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なぜそんなことを思ったか、
養子や里子を迎える家庭は様々でしょう。
僕の少年時代、うちには里子の男の子がいたのです。
彼が8歳から18歳までの10年を一緒に暮らしました。
その里子と僕の実弟は同い年で、つまり弟は8歳から18歳までの間、兄弟になった里子を学校で、地域で、親戚の間で、周囲の奇異の目から守り抜いたのです。
まだ母親に甘えたい盛りのはずの8歳の次男坊が、崩壊家庭から来た里子のために自分の母親を里子に譲ってやった姿を、僕は遠くから見ていました。
弟の”無理“は小さくなかったはず。
劇中、スジンを守る兄ジフンの、あそこまでの自己犠牲を見ながら、可哀想だった弟のことを想ったのでした。
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女性監督ソ・ユミンと朝倉加葉子の対談インタビューを読みました。
「頭の白いリボンの髪飾り」は、韓国では肉親を失った女児の喪中の姿なんだそうです。
その女児の体に触れたときに、スジンはその女の子がかつての自分なのであり、記憶の底に忘れていた (=忘れようとしていた) 自分自身の幼少時代の姿であることに気付く
― というシーンなのだと。
スジンのあの”記憶喪失“は、実は、山での事故由来だけではなかった・・という事です。
複層的。ますます辛い物語です。
韓国映画「パラサイト半地下の家族」を彷彿とさせる、ホームレスの兄と妹。その半生。
マンションと、廃墟と。
たくさんの閉じられたドアと、コンクリからほじくり返される過去と。
団地に暮らす日陰の家族の物語であったように思います。
勝手に期待した結末を軽々と飛び越える衝撃的なサスペンス
登山中の転落事故で重傷を負ったスジンは記憶を失ってしまうが、夫ジフンの献身的な介護もあって無事退院し日常生活は取り戻すことが出来たものの記憶は依然戻らないまま。ある日近所で見かけた少女が気になったスジンは何となく後を追うが、少女がトラックに撥ねられそうになるイメージが脳裏をよぎり困惑する。その後も予知夢とも幻覚ともつかないイメージが見えるようになったスジンはある事件のイメージを見てしまい・・・。
というのが物語のツカミ。日常生活を送れても記憶がないため自分に近づいてくる人達が言っていることが本当のことなのか判らない。当然ジフンが夫であることすらにも確信が持てない。ジフンの不可解な行動、突然脳に湧いてくるイメージ、アパート内で起こるDV事件、近所で何度も出会う少女といった断片がある事実で一直線に繋がる展開は勝手に期待していた結末を軽々と飛び越えて行き、スジンの自宅を訪れたチョ刑事が壁に飾られた写真の中に見つけた違和感への答えがさりげなく添えられたところで思わず号泣させられました。この衝撃は全然ジャンルは違うものの『ダークシティ』の終幕後とよく似た深い余韻を残します。『ぼくのエリ』へのオマージュが滲んだポスターイメージだけで絶対観ると決めていましたが、物語の深いところで「ぼくのエリ』への憧憬を見た気がしました。すなわち大傑作です。
語りたいことは山ほどありますが興醒めになるのでカット、本年度ベスト級の傑作サスペンスです。
そっか。
って感じ。
やられた!感もなく、そう来たか!ってほどの感もなく、他の方も書いてるけど、前半の「なぜ?」っていう謎解き?的な疾走感には惹きつけられたけど、後半の帳尻合わせ的な失速感が俺には響かない作品でした。
この手の韓国映画って、良い作品が多い印象がするんだけど期待し過ぎたかな。
だめだ、わかんねぇ
2022年劇場鑑賞255本目。
記憶喪失になった女性は時々恐ろしい幻覚を見て・・・。彼女に一体何があったのか?というサスペンス。
これがフラッシュバックなのか、幻想なのか、時間は今なのか過去なのかごちゃごちゃになってよく分からないところへもって、自分だけかもしれませんが韓国人の顔の区別がつかないのがあいまって誰だお前まで加わるもんですからまぁカオス。
最後で全部分かりましたが、観ている最中はほんと混乱して面白いとかそういう次元に達することができませんでした。
オカルト寄りじゃない
記憶喪失の女性が主役、霊視の様に未来が見え…
って話で、謎だらけの映画ですが、最後まで観ると謎が解けます。
思ってたのと違って、オカルト寄りじゃなく…
オカルト寄りを期待してたので、ガッカリ…(笑)
女の人は好きでしょうね。
僕は、あまり好みじゃないです。
100点満点で70点ぐらい。
こんな子とカナダでやり直したい。
ソ イェジかわいい!
手足長い!
話も良くできてます。大抵ミステリーは一番身近な人が犯人だったりするんですが(今回は旦那)、観てる人はそう考えるだろうとバレてて裏の裏をかいてきますよ。
彼女が頭打って記憶がメチャメチャでデジャヴなのか、昔の記憶なのか、ただの幻想なのか分からない、、、って所が味噌で、話をミスリードさせていきます。
面白いし、見応えあります。
韓国映画の底力感じました。
謎と暴力に塗れたデジャヴの映像が彼女を思考のラビリンスへと誘う... 記憶喪失の主人公を見舞うサスペンス、スリラー、そしてラブストーリーの万華鏡映画
事故で記憶を失ってしまった女性が夫の献身的なサポートを受けて日常生活を取り戻し始めるも、行く先々でデジャヴを目撃しながらそれが血腥い光景へと発展し、夫も自分自身すらも信じられなくなっていく…というサスペンス志向の作品です。
・・・なのですが、そこから中盤は主人公が自らの命の危機に瀕するスリラーの様相を呈し、ラストはなんと至上の愛を鬻ぐラブストーリーへと帰結します。
個人的にはスリラーまでで留めておいてほしかった気もするのですが、そこは好みそれぞれということで、少しずつ真相を紐解きつつも二転三転する話運びが興味を引っ張り、二時間以上の長尺の多い韓国映画の中に在って100分でこれだけの風呂敷を綺麗に畳んだ構成は素晴らしいの一言です。
この"主人公の女性が目の前現実の真偽を疑うものの、周囲の人々は自分の庇護者の言葉を信じるばかりで自分の正気が分からなくなっていく"という展開は昔からよく使われるプロットですが、往年の映画では主人公を年端もいかない少女に設定して"この子の気がふれているんじゃないか?"と観客にミスリードするのが定石でしたが、本作では最初は頼りないながらも真実を知るために周囲全てを疑ってかかる大人の女性であり、彼女自身が犯罪に係わっている可能性も無きにしも非ずながら頼もしくも俄然感情移入の余地の有るところです。
それなりだけど今ひとつ
個人的に記憶喪失ものはとてもズルいと思っている。本人が覚えていないことをいいことにミスリードをしまくることが可能だから。誰が嘘をついて、真実は何かなんてハラハラドキドキさせてくるんだからたまったもんじゃない。
本作は、記憶喪失になった女性がともに暮らす夫との生活に違和感を覚えていくという始まり。記憶喪失ものと思いきや予知能力的な部分もあったりして、この真相はなんだ?と思わせる作り。ちゃんと辻褄はあうしそれなりの出来だけど、そこまで面白いとは思えなかった。
観終わってふと思うのが、最初にあんな設定にする必要あったのかってこと。映画的な面白さを演出するための無理やりな感じがしてしまう。もしかしてあの写真は元から飾ってあった? それは別の意味で少し怖いな。
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