「いいお湯でした。ありがとう。」湯道 callさんの映画レビュー(感想・評価)
いいお湯でした。ありがとう。
見た直後に絶賛したくなるような映画ではない。
興奮のあまりあたりかまわずLINEやSNSで宣伝したいという映画でもない。
でも、なんかこうほっこりした気持ちで終わる。夜寝る前に「あれ、いい映画だったなー」と思わせる。
まさに古き良き銭湯みたいなそんな映画でした。 いいお湯でした。ありがとうございます。
日本人は風呂好きだと聞きますが私も大好きです。
舞台の銭湯は脱衣場は木造で広く豪華に、肝心の浴槽は無骨な大きいだけの風呂がひとつふたつ並んでいるだけの昭和感。これがたまりません。
じゃあ近くにあったら通うかと言われると面白味がないので通わないだろうと思いますし、
人見知りの自分としてはご近所さんや常連さんと裸の付き合いをするかと言われると、
そんなんせず気まずそうにすみっこにいる気がしますが……。
自分だったらどうなるかなと考えていて「もう時代に~」のくだりがとても納得いきましたし、
それでもこの銭湯はいい場所なんだろうなと理解できるので、ストーリーが楽めました。
おしむらくは。
「湯道」の設定、この映画に必要でした?
ただただお風呂と銭湯好きな人たちの群像劇のほうがよかったんじゃないでしょうか。
あるいはお作法や形式、技なんかどうでもよくて、
「クリス!クリス!!違う。それは違う。その前に!先に湯舟につかれ!」と思ってみたり、
横山さん、そのお風呂は今はとてもいいものに思えるかもしれないが、毎日毎日、定年後の老いた体に鞭打ってお手入れしないとすぐにカビるし腐るんだぞと思ってみたり。
そういう自分の中のお風呂への小さなこだわりの中に「湯道」はあるんだよ、という方向に着地してほしかったなぁ。
ところで、棺桶の中の遺体にお風呂のお湯をかけるシーン、同行者は笑っていましたが「あれ、私だったら温泉かけてくれるの嬉しいなぁ」と思います。皆さん、どうですか?