ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

劇場公開日:

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

解説

「おもろい以外いらんねん」「きみだからさびしい」など繊細な感性で紡がれた作品で知られる大前粟生の小説「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」を映画化。

京都にある大学の「ぬいぐるみサークル」。「男らしさ」や「女らしさ」というノリが苦手な大学生の七森は、そこで出会った女子大生の麦戸と心を通わせる。そんな2人と、彼らを取り巻く人びとの姿を通して、新しい時代の優しさの意味を問いただしていく。

「町田くんの世界」以来の映画主演作となる細田佳央太が七森を演じ、七森と心を通わせる麦戸役を「いとみち」の駒井蓮が務めた。そのほか、新谷ゆづみ、細川岳、真魚、上大迫祐希、若杉凩らが共演。原作者の大前にとっては著作の初の映像化作品となり、大前とはもともと交流のあった、「21世紀の女の子」「眠る虫」の新鋭監督・金子由里奈が自身の商業デビュー作としてメガホンをとった。

2023年製作/109分/G/日本
配給:イハフィルムズ
劇場公開日:2023年4月14日

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(C)映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

映画レビュー

3.5ぬいぐるみを洗うひともやさしい

2023年5月4日
iPhoneアプリから投稿

 ふわふわとしたチラシと予告編だけのイメージで鑑賞。思いのほか、持ち重りのする作品だった。
 なにより、大学(主にサークル活動)の開放的なようでそうでない、じっとりとした息苦しさをぐりぐり描いているいる点が新鮮。「ウチはこういうところだから」と異論を許さない役割(新入生や女子がいわゆる雑用をやり、表に立つのは上級生男子)があり、その仕組みが会社勤めに連なっていくという構図。「これがふつう・当たり前」が絶対的で、はみ出る者は笑われて当然という暗黙の了解。自由で気楽とされるはずキャンバスライフが、意外にもめんどくさくて煩わしい…ということが、ヒリヒリするくらい鮮明に思い出された。
 日々のもやもやを、それぞれの事情からため込み、ぬいぐるみとだけしゃべる人びと。ぬいぐるみサークル=ぬいサーのメンバー同士さえ、互いに本音を出さず、探りを入れず…と緊張が漂う。スクリーンの空気さえも、うっすらと淀み、重たい。
 そんな中、彼らがほぐれ、こちらもふっと和むのは、巨大なうさぎの着ぐるみを洗うシーンだ。冒頭、中盤と、主人公・七森はひとりで黙々とぬいぐるみを洗う。沐浴のように水の中を漂わせたあと、水を吸ったぬいぐるみを沈め、ぎゅっとしぼる。愛おしい時間のはずが、どこかさびしい。そして、少しばかり暴力的。一方、いわくつきの着ぐるみを学校の流し場で洗う白城たちは、ふしぎに楽しげだ。ぬいサーたちにやさしく洗われ、水をたっぷり吸った着ぐるみは、屋上で日向ぼっこしながら、ゆっくりと乾いていく。彼女たちの共同作業は、ぬいぐるみと、それにまつわる重みの共有に繋がっていくようで、ほのかな幸福感があった。
 ときどき織り込まれる、ぬいぐるみの視点。ぬいサーたちに春が巡ってきたラストで、意外な彼女と視線が絡む。そんなふたり(ひとりと一匹)を見た私も、それまで少し苦手だった彼女を、少し好きになった。遅まきながら、原作も読んでみよう、と思う。

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cma

4.0ぬいぐるみという他者

2023年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人形やぬいぐるみなど、ものへの共感とコミュニケーションは子どもの頃ならだれでもやるもの。子どもにとってそういう行為が大事なのは、他者との適切なコミュニケーションのやり方を学ぶためだが、大人だって、適切に人と交わることは難しいこと。ぬいぐるみという他者に語りかけることから始めるのも悪くない。
この映画を観ていて、人間にとって他者とは何かと考えた。本作ではぬいぐるみ視点のカメラアングルが多々出てくるのだが、喋らないぬいぐるみに人格を感じさせるように演出している。言葉は発しないが目線はあり、人の喋る言葉を聞いているかのように感じる。
話を聞いてもらう、という行為で自己が形成されていくとしたら、ぬいぐるみと喋る行為も立派にコミュニケーションであると言えるかもしれない。
「聞く力」というのは、結構大事な能力だと思う。ぬいぐるみって実は聞く力がすごいのかもしれない。耳を傾ける存在がいると知覚されるだけで人の言葉は変わる。この映画にはすごく大切な発見がある気がする。

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杉本穂高

0.5アイデンティティの形成なら設定を中学二年ダネッ。

2024年11月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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アンドロイド爺さん♥️