劇場公開日 2023年3月17日

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「ネガティブなことばかり書いてすみません」The Son 息子 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ネガティブなことばかり書いてすみません

2023年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作、公開1週目のサービスデイである火曜日は「春分の日」の祝日ですが、午前中回のシャンテの客入りはあまり多くありません。やはりWBC準決勝の影響は大きいですね。
で、早速観た感想ですが正直「非常にしんどい」です。鑑賞中は「何で私は祝日の午前中に好き好んで、劇場にまで足を運びこれを観てるんだろう。家でWBC観てればいいものを。。」と心に過りつつ、約2時間苦虫を噛み潰しつつ鑑賞していました(笑)。断っておきますが、これは作品を否定しているわけではありません。ただ、映画というエンタメに期待するものが違う人には薦められない作品であることは確かです。
両親の離婚をきっかけに、自分と自分の人生に悩む少年ニコラス(ゼン・マクグラス)。彼の言動に両親ピーター(ヒュー・ジャックマン)とケイト(ローラ・ダーン)の年齢に近い私としては非常にストレスフルです。
とはいえ、ピーターに対してもちょいちょい感じる「安易に取り繕った対処」は決してニコラスに対してだけでなく、後妻であるベス(バネッサ・カービー)に対しても根本的な部分では変わらず、果たして彼のそう言う部分が実は、前妻であるケイトとの離婚にも影響しているんじゃないかと想像したり。だとしたら、そのことに巻き込まれたニコラスの行き場のない「不信感」へ同情できなくもありません。
ただ、こうやって背景を想像するまでもなく、ストーリーについては全くと言っていいほど意外性がなく、展開は簡単に予測できます。最終局面ですら、物語の中盤のシーンから「あ、これ後で出てくるだろうな」と読めるため、あとはドライブしていくバッドバイブスに耐えながら観続けて行く感じです。
そして、さすがにこれだけの芸達者が揃うとただでさえ重たい内容が輪をかけて、単なるストーリー以上の真に迫った演技に、まさに観進めるのがしんどく感じます。特に『私というパズル』でもかなりの名演だったバネッサ・カービーは今作でも印象深い演技で、物語上、一番同情されるべき立場のベスの強さに、観ている私でさえ救われる包容力で助けられます。

TWDera