熊は、いないのレビュー・感想・評価
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九州の話ではありません。
たまたま日本では息子さんの作品も観られるタイミングで、真打ち父の作品を鑑賞。
冒頭のパスポートの件のタネが明かされた時は、相撲の立ち会いでの猫騙し的で、驚きと共に一気に鑑賞スイッチon。これは効果的だった。イラン映画はなかなか凪の時間が長かったりするキラいがあるものの、油断してはいけないと座り直す。
パナヒ監督がリモートでディレクションする映画の撮影の話と、パナヒ監督が自ら国境近くの限界集落を定宿している村での話が、イレコで映画が進む。
映画に散りばめられた、彼の国への批判やパナヒ監督のメッセージなるものが散りばめられていて、とにかく気が抜けなく、会話の一つ一つに意味を帯びてるように思えた。特に、熊の下には、またしてもハッとさせられた。
追伸(邪心)
まさか息子とテーマが被るとは・・・。示し合わせたのかな?
初パナヒ。他のも見たい!
パナヒ監督作品初めて見て、軽くぶっ飛んだ。
本人が本人役で出てイランの田舎からリモートで監督してる映画俳優の出国トラブルと、隠遁先の田舎の村で監督が撮ったスナップ写真と古い風習に争う三角関係に巻き込まれて両面から監督自ら追い詰められる話です。
ドキュメント見たく感じるけどドキュメントじゃない感じが新しかった。普通こういう場合ハンディで撮った映像多用するんだけど、、、、文書で書くとわかりづらいけど、映画は場所が都会とど田舎に分かれてるんでごちゃごちゃになるストレスはない。フィクションだとわかって見てるつもりだけどイランの複雑な状況が監督目線で、いちいち説明がないのが怖い。トンズラしちゃった助監督とか、密輸特急便とか、国境のシーンがこわいよ。
クマが居るのか居ないのか?クマは何なのか?というより、私たちがどう判断するのかという問いのようにも感じた。モヤモヤしてパンフ買って見たけどそこはハッキリしなかったなぁ。
ただ最後に引いたサイドブレーキの音が、イラン政府に禁止されているにもかかわらず、映画を撮りまくっている監督の行動と意思のようにも思えた。
熊はいる
リモートのカメラマンが撮ったシーンとパナヒ氏を映すシーンが並行して話が進む。辺境の村は閉鎖的な雰囲気を感じず、のどかな風景で、村人たちも好意的である。
しかし、川で足を洗う儀式、婚約相手の決め方、宣誓室などや起源がわからない古くからあるしきたり、また辺境が故に警察が登場すると、パナヒ氏がだんだんと厄介者として扱われるようになってしまう。
ネットで調べたところ、実際イランにはツキノワグマが生息しているらしい(とはいえ農業でやっていけなくなったような辺境の村にはにいないだろうが)。しかし一言では言い表せない"なにか"に姿を変えて存在はしている。
余談ですが、パンフレットによると、ザラ役の女優ミナ・カバニさんはイラン政府に国外追放され、フランスに亡命、パリを拠点に活動中なのだそうだ。
イランの国境近くの小さな村に滞在中の、映画監督や助手の模様。 国外...
張り子の熊
ぎりぎりまで迫る。
2022年。ジャファル・パナヒ監督。トルコ国境に接するイランの小さな村に滞在する映画監督は国境の向こう側にいるクルーに指示を出しながら、亡命を目指すカップルを主役にしたドキュメンタリー的物語を撮影をしている。通信障害や偽造パスポートの入手問題で撮影がうまく進まないなか、監督自身が古い村の風習がからんだ恋愛トラブルに巻き込まれていく、という話。
映画監督役が監督自身であり、イラン当局によって映画製作禁止、出国禁止とされている監督自身の境遇についての知識を前提にした映画。密航業者の介入によって国境を越えられるところまで行きながら監督自身は国境を超えないし、パスポートは入手できそうでできないし、悲劇的な結末を遂げた死体はカメラに写らないし、村の恋愛トラブルも語られるだけで当事者の様子が直接映像として描かれるわけではない。ぎりぎりまで迫るが決定的な瞬間や決定的な場面は巧妙に避けられている。イラン映画には象徴主義とでもいうようなそのような傾向が共通しているような気がしていて、偶像崇拝の禁止と関係があるのだろうかと思ってしまう。すべてをあからさまには描かない美的な感性。
とはいえ、イラン映画一般とまとめることは到底できない高い水準の傑作。編集のリズムがすばらしいし、人間関係の機微に通じた切なく悲しい物語になっている。見なきゃ損。
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