イニシェリン島の精霊のレビュー・感想・評価
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いにしえっぽいので一周回って差し支えない島名
島に人々が住んでいる。 主人公の男が突然に友人に絶交されて、そこからギクシャクしていく話。 基本的には主人公に同情できる。 一見すると意味不明な内容であるが、戦争を人間に例えて虚しさを表現した作品だと思えばよい。 ややグロ注意。 良い点 ・演奏 ・アドレナリンで痛みがない(戦争) ・誰が死ぬかは分からないが誰かは死ぬ(戦争) ・犬 ・演奏や犬は中立なるものなのだろう 悪い点 ・死因設定が苦しい。誤解ともとれるが区別しづらい。 その他点 ・強要罪、脅迫罪
僕たちの戦争
「何も言っていない、何もしていない。ただ、お前が嫌いになった」 これは...分からんよ。 多分アイルランド人にしか分からないし、少なくとも日本人の理解の範疇を超えている。 純朴は時に罪であり、そして愚かでもある。 生物というものは論理では理解しきれない。
争いの道理を閉鎖的なコミュニティの中に巧みに描き出した、今語るべき、そして観るべき作品。
広大な大地と裏腹な離島という閉鎖的なコミュニティで、憎悪の境い目が曖昧になって行く様を、映画的な緊張を切らすことなく見せきったマクドナーの脚本の構成と的確な演出の手腕が素晴らしい。なにより、現実に世界が紛争に揺れるただ中でこのテーマを語った事に大きな意義がある。 ある日を境に信じて疑わなかった「日常」が、親友の突然の決別で崩壊していく男をコリン・ファレルが感情豊に演じれば、信念を貫く事に人生の意義を見つけた「親友」の男を、ブレンダン・グリーソンが達観した佇まいで存在感を放つ。この二人の動と静の駆け引きが見事にこの作品のサスペンスとなっていて、見応え十分。アイルランドの離島の広大な、しかしどんよりとした環境が、更にその緊張感を増幅させていている。その緊張感に別儀を持たしたケリー・コンドンとバリーコーガンの的確なキャラクター造形も助演として効果的で、一つ一つのピースが理想的なバランスで存在している。 閉鎖的なコミュニティの中に争いの道理を描き出すマクドナーお得意のテーマで、まさに今語るべき、今見るべきという感じ。
インシュリンとランゲルハンス島
なかなかタイトルの島名を覚えられなかったので、このように覚えました。いや、人体内に島があるなんてビックリした記憶があります。そして幼い頃の記憶・・・「○○ちゃん、あーそーぼ♪」といつものように友だちの家に遊びに行ったとき、「やーわいね。あんたのお尻にうんこついとるもーん♪」。ガーン、嫌われてしまった。それ以来、執拗なまでにお尻を拭くようになった。いや、まて、お尻見たことあるんかい! と、子供の頃の絶交宣言は辛いものがあります。あとから冗談だったことがわかりましたが、もしかしたら、家路につくときボロボロ泣いていたのかもしれません。 舞台となる孤島では本土での内戦の号砲が聞えてきます。IRAだか何だかといったイギリスの内戦。難しいけど、戦争が続けば続くほど本来の意味を失い、ただの殺し合い・・・そうしたメタファーも感じられ、パードリックとコルムの仲違いも理由なんて意味ないことだったのでしょう、多分。 バイオリン=フィドル弾きのコルム。これ以上話しかけたら左手の指を一本一本切っていくとまで宣言。本気度が尋常ではない。そこまでしたら音楽の道も絶たれちゃう。音楽に打ち込みたいがため馬鹿話をしたくないと言い放ったのではないのか・・・覚悟はわかるけどヤリスギ! 人付き合いの本質とは何なのか。動物哀が溢れているのも特徴の一つ。そして、人の死を予言するマコーミックがいい味付け、調味料。なんだかブラックな方向に進んでいくけど、やっぱり最も許せないのがドミニクの父親である警官かなぁ。この警官も物語の中ではいい味付けとなってました。敵がイギリスにしておけばわかりやすいのに、やっぱり難解でした。
退屈な冒頭部分が愛おしい
何も無い退屈な島での暮らしが 些細な仲違いを機に歯車が狂い出し 破滅的な展開に発展するアイランドヒューマンドラマ。 おおよそどんな展開になるか予想がつくものだが 常に想定していない方向に物語が運ばれていく。 退屈な冒頭部分が愛おしいと思えてしまうラストは秀逸。 なぜ人は争い合うのか。 人は殺し合うのか。 戦争は起こるのか。 深く考えさせられる。 いつの間にか情けない中年男性が鉄板役になった コリンファレルは今回もお見事。
厨2病は突然に
イニシェリン島の精霊鑑賞。 自分自身も孤島ではないが田舎の出身。勉強も運動も苦手でどちらかといえば落ちこぼれ。思春期に突如サブカルに傾倒し、10代の頃、なぜか田舎の周囲の人間を見下していたように思う。大人になったら今は他者に対して退屈と思うことはなくなったが、思春期の頃は作中にでてくるコルムがパードリックにたいして退屈と思うような気持ちを他者に対して抱いていたように思う。偶然に生まれ落ちた土地と年代で出会った他者と学校という小さい箱の中、作中だと小さな島が舞台になっているが無理矢理に押し込まれ他者と仲良く暮らしていくというのは無理ゲーな気がしてならない。。けれども人間は運命を受け入れて生活を送る。しかしコルムのように突然現実を受け入れられなくなる人もいるのかもしれない。全然関係ないが、フリーガイという映画でNPCだった主人公がとあるきっかけで繰り返される毎日に破壊するのを思い出した。急に思い立ってタガが外れるのわからなくもない。思春期おじさん。急に歴史に名を残したいからあんたと話す無駄な時間過ごしたくないとか言われたら私なら爆笑してしまうかもしれないが。優しいパードリックは深く傷ついてしまう。アイルランド本島での内戦と絡ませて進んでいくコルムとパードリックの決別劇。島民とロバと家族と犬を巻き込んで進んでいく。まさに狂気と狂気のぶつかり合い。友情の決裂をここまで壮大に陰湿に描けるマーティンマクドナー監督の才能はすごい。加えて前作のスリービルボードほどの起承転結もないのにここまで惹きつけられるのはコリンファレル とブレンダングリーソンと最愛のバリーコーガンら俳優陣の圧巻の演技だと思います。バリーコーガンが本当に好きすぎる。ドミニクの役は彼にしかできないと思う。争いで得るものはないが変わるものはあるのかもしれないと観たあとも考えさせられる映画でしたが、オススメはできない作品ですw
聖鹿コンビ
親友だと思っていた相手に突然嫌われてしまったことから、平穏な日々のルーティンが狂い始める。 嫌いだからってそこまでするか?というところもあり、この仲違いはアイルランドの歴史になぞられたメタファーなのかな?と。(アイルランドに詳しくないのでわからないのですが) 平穏に暮らしてきて悲しみを知らなかった主人公が、親友を失ってから思慮深い表情に変わっていくのも感慨深い。 バリーコーガンのキャラが聖鹿を思い出して笑ってしまいました笑
ロバは草食
アイルランドが舞台というと反射的にジョン・カーニーのさわやか音楽ものが思い浮かぶが、本作は、閉塞した島でおっさんたちがあたふたする話。で、その寓話的意味をあれこれ考えてね、ヒントは100年前の内戦、正解はどこにも書いてないから、みんなで話し合ってみ!みたいな。 いろいろ考察を始めると、ぶった切っちゃった先っぽをそのままにしてる意味や、ロバちゃんの紐状ウンコの話にまで答えを求めたくなるので、自分のない頭で考えてモヤモヤするより、著名な映画評論家の読み解きや公開から日が経ってたくさんあがっているレビューに膝を打つのが手っ取り早かった。 ただ、そこに意識を向けずとも、観ているだけで笑えたり哀しい気持ちになったり感情が揺さぶられ、また、どいつもキャラが立っていてなにかと楽しめる作品でもある。発達障害テイストが絶妙なバリー・コーガンの恋の行方や、退屈しのぎに人の手紙を勝手に開ける雑貨屋BBAの横柄さに、警帽被ってマッパで寝てるクソ警官。なによりコリン・ファレルが八の字眉一発でおかしみ・哀れみを誘ってくる。同じ眉毛キャラでも河野太郎のゲジゲジ眉はイラつくだけなのに(個人の感想です)。 まあ、ロバの糞の話を2時間するとか、実はお前が一番バカで孤独というのもやむを得ない気もするが、スマホどころかテレビもない時代、全員顔見知りで毎日パブでビール飲むしかない島ならではの煮詰まり感はじめ、現代の我々も他人事ではない話だと思った。
誰しもそんな感覚が
生きてると誰しもそんな感覚を持つんじゃないだろうか? 美しく満たされた日常の中でも、人間が存在の充足を得るとは限らない。 遠くに響く砲弾の響きに、「愚かなことをやっている・・・」と蔑みつつも、外の世界の存在に思いをはせる。自分と自分を取り巻く世界は何なのだと自答を繰り返すのは人間の性なのかもしれない。 存在への不安を描き出した秀作。
人間の愚かさ、不可解さを見せつけられました。
映画ファンが一年で一番ソワソワするアワードシーズンに本格的に突入しましたね。 第95回アカデミー賞では作品賞・監督賞他主要8部門9ノミネートされた本作。 助演男優賞には二人もノミネートされてしまったので票が割れてしまうのが残念ですが。 さて今作は第90回アカデミー賞を席捲した「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督作なので期待と緊張の中鑑賞しました。前半こそブラックコメディの要素もあってくすっと笑えましたが、徐々に全く笑えない展開に。「スリー~」よりさらにダークで難解でした。 1923年のアイルランドの孤島が舞台。パードリックはある日突然親友のコルムに絶交宣言をされます。パードリックも観てる私たちもその理由がわかりません。一応「残りの人生、おまえとのくだらないおしゃべりで無駄に過ごすヒマはない」という理由はあるのですがもちろん納得できません。なんとか関係を修復しようとつきまとう男と頑固に拒絶しどんどん行動がエスカレートする男。 一体何を見せられているのか。 と、思っていると気づきました。遠く離れた本土から聞こえる大砲の音。海の向こうではまさに親兄弟も引き裂くアイルランド内戦が激化しているのです。そう、二人の男の不毛な諍いは内戦のメタファーだったのですね。 それに気づくと見方も変わってきました。 なんてくだらないことで争っているのだ。 その行動に何の意味があるのか。 こんな閉塞した島での生活、私には耐えられません。 妹シボーン同様に島を離れるでしょう。 どうしても気になってしまったのはなぜ兄妹は同じ寝室だったのか。 仲が良いとはいえ、それはありえないのでは? いろいろな読み方のできる作品です。 主演コリン・ファレルをはじめブレンダン・グリーソンもバリー・コーガンも素晴らしいいです。 グリーソンは「パディントン2」であの囚人シェフを演じていた人ですね! グリーソンもコーガンも助演男優賞候補ですが、個人的にはコーガンにあげたいかな。
どうなんだろう??
ロバが可愛い❤️くて。。。。 男同士って?? よくわからない。 島から出られた人は、ホント良かったと思う 色んな問題山積みしてて。。 なんともなんとも ディズニー映画と知り 納得。
なぜ? 意味不明でした
自然以外にはこれといったものがないような島に住む老年の男が親友の中年男に突然「退屈なおしゃべりで時間を無駄にしたくない。音楽に打ち込みたい」と言って避けるようになります。一応理由は明らかにしているんですが、老年の男の行動が常軌を逸していて、そこまでする理由がまったく理解できません。絶交の理由はいろいろな解釈が可能かもしれませんが、最後までこの老年の男の意図がわからず、主人公同様あっけに取られるばかりでした。人生には理解不能なこともあるという意味が込められているのかもしれませんが、見終わった後に何か心に残るものが欲しかったです。
テンポが悪い
・良い点 演者の演技力はかなり良い。感情的に難しい場面でもその複雑さが伝わってくる演技がそこにはある。 ・悪い点 テンポが悪すぎる。前半の仲が悪くなった所から描いた(仲良い時から描かない)ところまでは良かったものの、中盤のテンポが悪く退屈するシーンが多い。 終盤の衝撃的な展開があるのに非常に勿体無い。 さらに、すっきりとしない終わり方からネットでは内戦のメタファー説が挙げられているが、だとしたらあまりにもわかりづらすぎる。洋楽の「マザー」を見習って欲しい。 2度みることはない、星1。
冷たい風が鳴く島で
退屈な描写を退屈させずに牽引する語り口、お見事でした。好みは分かれる所ではありそうですが、体験する価値は十二分にあると思います。 不毛な戦争の中でもより不毛な「内戦」。そのきっかけや落とし所の無さ等を、二人の諍いを軸に描いている。更には周囲にもクソな奴らを配置して(クソ警官クソ神父クソ店主)、昨今の〇〇警察な社会も描いてみせる。何一つ他人事じゃない物語。 個人的にはドミニク(少し発達障害のある青年)が好きだったが、「素直さは美徳ではない」役割りを課せられ、「優しさ」に"当たって砕けた"一人なのが何とも物悲しい。
諍いの砲弾は止まらない
親友から唐突に絶縁されてしまう 理由はお前のくだらない話に人生を取られたくないから 己れの否定を認められない主人公は絶壁的に理解できない 切り取った指を投げつけられても自分しか見られない もうお互いの愚かしさはとどまることはないのだ
内戦の不毛さ
昨日まで親友だったのに急に「お前と付き合っていても時間の無駄だ。話しかけるな」と絶交された主人公(小学生か?)納得出来なくてそれ以降も元親友に絡んでいくが…というストーリーを終始見せられる。困惑する主人公を演じるコリン・ファレルは普段からやや八の字眉毛だが、それが困り顔でどんどん八の字眉毛になっていく。このままでは眉毛と眉毛がくっついてしまうのでは…と心配になる。バットマンでスーパーヴィランを演じていた面影は微塵もない。ハッキリ言って観ている方からしたら理解しがたいし不毛だ。だがこの不毛なやり取りがアイルランドの内戦を表現しているらしい。なるほどなぁ…とは思うがこのプロットは映画内では全く説明されないのでかなり人を選ぶ作品だと思う。戦争は不毛だが、同じ国の中でお互いがいがみ合う内戦はもっと不毛だ
そんなこと?が長期化する面倒くささ
おじさんになってからの絶交ってとても面倒くさくてこじれやすい。私の周りで起こった絶交案件では、一人の友人が別の友人と揉めて絶交状態に。周りの友人たちが怒っている側をなだめようとしたが、まぁ頑なで人の意見なんて聞く耳を持たない。あいつが酷いことを言ったんだ!の一点張り。絶交状態がものすごく長期化している。終結の見通しなんてまるっきりない。 本作のパードリックとコルムの絶交パターンは私の友人のそれとは全く違うのだが、あまり他人事とは思えない。ただ、話しかけてきたら自分の指を切り落とすって脅し方はどうにも納得できない。報復するぞ!ではなく、俺を傷つけるぞ!ってどんな脅し文句だよ。それほどの本気度を見せてる!ってことになるのか。いやいや、ただのイカれた野郎にしか見えない。作曲したいからお前のバカ話に付き合うつもりはないってだけでそこまで言うかな。だから、よほどの理由があるのだろうと思うしかなかった。 ところが、最後までそのよほどの理由はわからずじまい。精霊の予言をコルムが知ってしまった故の行動と予想していただけにかなりの肩透かしをくらった。他の人のレビューも読み漁って、なるほどそんな意味が込められていたのか、もしかしてこんな意味なのかもなんていろんな解釈を知ったのだが、それでもやっぱり腑に落ちない。それはたぶん時代とあの島の閉鎖的な雰囲気と共同体としての同調圧力を理解しきれないからなんだろう。 指を切るくらいなら、早めにパブから帰って時間を作ればいいだけじゃん、なんて思ってしまう。もしかしたら、自分がくだらない話を続けるパードリック側の人間だから鈍感なだけなのか? ふと、絶交案件の私の友人がこれを観てどんな感想を抱くのか興味を持った。今のうちに勧めておいて数年後に(サブスクとかで観た)彼の感想を聞いてみよう。これは俺の話とは全然違う!悪いのはあいつなんだ!と答えそうではあるけど。やはりおじさんの争いはしょーもないし、長期化する。
見下しているのは誰だ
イニシェリン島の精霊を観た。 島の景色は美しく、期待が高まる。 その美しい島に住む男は家畜の乳を売って生計をたてている。妹と二人で暮らし、小さな美しい島で生きている。 隣にある本土では内戦が行われており、砲弾の音が時折り聞こえるが、その島までは何の被害もない。 何もない島に住む男。 唯一の趣味はビアホールに友人と行くこと。 毎日決まった時間に彼の家を訪れる。 いつものように飲もうと誘うが、いつものように行かない。彼は深く考え込んでいる。 そんな彼に突如、お前とは飲まないと言われるー。 序盤のこの始まりにやられた。続きが気になる。二人はこの後どうなるのだろう。 次第に自分がこの“退屈な男”なのではないかと重ねてしまう。 自分にとって大切なものは何だろうか。 登場人物の誰もが“誰かを見下している”。理由は違えど、島の人間は皆そうだった。 価値観を考えさせられる良い映画だった。
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