「それぞれの幸せの道をダークに描き出した傑作」イニシェリン島の精霊 ゆきとうさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの幸せの道をダークに描き出した傑作
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数年に1度あるかないかの傑作と感じました。見終わった後の余韻が半端ないです。
パードリックが、友人であるコルムから絶縁を突き付けられるところから始まる物語です。
パードリックにとって、退屈な話であっても、友人のコルムと話をする事に幸せを求めていたのでしょう。
一方、コルムの幸せは、音楽の趣味があり、バイオリンを演奏する事に全ての時間を割きたかったのでしょう。
やがて、求める幸せの違いは、険悪なムードへと向かうことになります。
切り落とした指に毒を仕掛けてあったのか、パードリックのロバが殺されてしまいます。
ラストに救いがあったのか、難しいところですが、壮絶な雰囲気で幕を閉じます。
本作は、それぞれの幸せの道をダークに描き出した稀に見る傑作であると感じました。
追記 考察として、実はパードリックもコルムもお互いを憎しみ合っているのではないと感じました。
パードリックが警察官に殴られる場面がありますが、その後、コルムはパードリックを救います。ここがポイントです。
パードリックのロバが殺された後、仕返しにコルムの自宅に火を放ちますが、コルムの犬を外に出して、救います。コルムを直接殺害する行為には出ません。
自宅が火事の中で佇むコルムは、パードリックの仕返しを受け入れます。
以上のことから、2人は憎しみ合っているのではなく、それぞれの気持ちを受け入れてほしいという感情の表れを読み取ることができます。
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ゆきとうさんのコメント
2023年1月31日
Mさん、コメントありがとうございます。
この映画は、他の映画と比較して、明らかに格上の作品と感じました。アカデミー賞にノミネートされて当然の映画だと思います。