「◇混沌のメキシコ、混濁した自我の投影」バルド、偽りの記録と一握りの真実 Hisatomo Mizuuchiさんの映画レビュー(感想・評価)
◇混沌のメキシコ、混濁した自我の投影
題材はアメリカ🇺🇸で成功を収めたメキシコ🇲🇽人の作家が故郷に錦を飾るという自伝的物語がベースになっています。メキシコに感じる違和感、アメリカに戻っても移民として扱われる憤り。自分自身の存在が根無草のように定まらないことに思いが至ります。
米墨<🇺🇸 🇲🇽>戦争(1846〜1848)によって、アメリカはメキシコからテキサスもカリフォルニアも手に入れました。現在のアメリカの繁栄はメキシコ領土併合の上に成り立っていると言っても過言でありません。メキシコ人から見れば、虐げられた歴史。
歴史背景の物語と平行して、自分自身の自我の物語が展開します。メキシコ人の誇りと言う程、確立された政治的主張を持っているわけでもなく、世界を変えるような正義感があるわけでもない。内省的な個人的な物語、妻、子供たち、両親についての自嘲的でさえある語りが、斬新な映像世界の中に繰り広げられます。
イニャリトゥ監督、やっぱり凄い。私は大好きです、この奔放な世界観。一流の芸術家でありながら、どこか世俗的な人間味を感じるところ、「クスクス🤭」と和む瞬間を秘めてます。緊張感に満ちた時間とグダグダの時間を絶妙にブレンドした映画が成立しています。
イニャリトゥ監督自身の創造意欲、制作動機が、自らの人間としての弱さ、曖昧さに対して誠実に作品化されて感じられました。その赤裸々な映像時間に晒されることによって、ふと観ている自分自身について思いが及ぶような感覚になる自我投影作品でした。
2022
#Bardo#BardoFalseChronicleofaHandfulofTruths #Bardofalsacrónicadeunascuantasverdades
#アレハンドロゴンサレスイニャリトゥ 監督 #AlejandroGonzálezIñárritu
#ニコラスジャコボーン 脚本 #バードマンあるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡 長い題名といえば#Morrissey ♪
#NicolásGiacobone
#ブライスデスナー 音楽 #TheNational #BryceDessner
#ダリウスコンジ 撮影 イラン🇮🇷人の撮監。#Se7en も撮ってます。
#DariusKhondji
≫ ≫ ≫ ≫ ≫ ≫ ≫ ≫ ≫ ≫ ≫ ≫
#ダニエルヒメネスカチョ /シルベリオ・ガマ--アメリカで成功を収めたジャーナリスト兼ドキュメンタリー作家。久々に母国メキシコに帰国して歓迎されます。>> メキシコやラテン・アメリカの俳優としては最も成功を収めている一人らしいです。確かに存在感抜群の演技でした。髪型と髭のせいかイニャリトゥ監督に被ります。
#DanielGiménezCacho
・グリセルダシシリアニ /ルシア--シルベリオの奥さん。繰り返される出産シーンは夫婦のトラウマ、何かの象徴なのでしょうか?>>あっさりしていて好感持てる女優さんでした。
#GriseldaSiciliani
・ヒメナラマドリッド /ルシア--シルベリオの娘。父娘の会話もしんみりきます。
#XimenaLamadrid