「すべての娘と母親へ」サントメール ある被告 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
すべての娘と母親へ
母親が重たい。娘に向けられる期待、抑圧、敵意、嫉妬、疲労感、鬱。そんな重圧に苦しんだ娘たちはそういう母親にだけはなりたくないと思う。にもかかわらず自分の中に大嫌いな母親のひと切れを感じて娘は絶望する。もし母親からの重圧を一切感じなかった娘がいたらその人は幸せだ。
マルグリット・デュラスの「ヒロシマ・モナムール」は知らなかったからデュラスの「ラ・マン」を思い出した。フランス領だった頃のベトナムで白人フランス人の少女と中国人男性との愛人関係を描いた小説。
ラマが素っ気ないホテルの部屋で自分のノートブックで見るのはパゾリーニの「王女メディア」の一部。王女メディアは自分が生まれ育った土地の宝である金羊皮を愛する男に渡す。でもその宝を男はないがしろにする。メディアは全てを失う。自分の王女としてのアイデンティティも男からの愛も失いよその土地で孤立し悲しむ。孤独に陥ったメディアは、その夫との繋がりを全部捨てることにした。だから愛する子も殺す。その子ども二人とも息子だったからと私は思った。娘だったらどうだったろう。
インテリのロレンス被告。母親も父親も叔母も母国セネガルもロレンスをもはや受け入れない。希望に胸をふくらませて向かった留学地フランスで自分が見えない存在にされていることにある時気がつく。同棲相手のフランス人白人男性からも大学からも。大学教授の法廷でのことばに私は怒りを覚えた。アフリカ人だから、肌が黒いから、女性だから?なぜウィトゲンシュタインの研究をしてはいけないのか!親たちからは法律を学べと言われていた、なぜ哲学を専攻してはいけないのか!
法廷の中の裁判官や弁護士の大半が女性であることに驚いた。医師も教師もヨーロッパでは女性の職業だ。いつになったら日本もそうなるのか。
コメント頂いたヤツ、タイトルが変わっていたので一瞬わかりませんでしたw
観られる機会が少ないのでしばらくはカリコレ優先をしてます!
今年は自分的ハズレ作品が結構な、大ハズシな印象ですが、何とか新作は全部みたいなとw