「悲劇的な話でありつつも後味が悪くない」蟻の王 wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
悲劇的な話でありつつも後味が悪くない
訴えかけてくるメッセージは非常にシンプルで、古い価値観を持ち出して極端な糾弾をおこなうようなものではなく、おそらくはその時代そうであっただろう事実を適切に持ち出して、適切な温度感で描かれているんだろうと感じた。
特筆したいのは、最初の一コマから全編を通して強力だった映像の力。
LGBTが主張されるこの時代にこそ必要なストーリーとも取れるし、逆にこの時代だからこそ今さら感も否めないメッセージを感じたが、それ以上にあまりに美しいカメラワークと演者の素晴らしい演技や効果的な演出が胸を打った。
ジャンニ・アメリオ特有の温かさを感じられ、悲劇的な話でありつつも後味が悪くない、観て良かったと思える作品だった。
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