「予想を超えない作品だけど、家族のように優しくて温かい」ファンタスティック4 ファースト・ステップ とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 予想を超えない作品だけど、家族のように優しくて温かい

2025年7月31日
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予想を超えない作品だけど、家族のように優しくて温かい

大事なもののために立ち上がり、大事なものとつながり、共に戦う。家族として。"大事な人(家族)か、世界か?"…というのは昨今のハリウッド映画などでよく見られるテーマであり(ex.『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』)、そして、往々にしてアメリカ人の気質が出たように、最後はどちらも見捨てることなく犠牲を出さずに両方勝ち得る。魅惑的なビジュアルとキャストによる本作もまたそうした系譜にあたる。
少数の献身的な人々によって、世界は守られ進歩してきた。これは青いコスチュームに身を包んだ『Mr.インクレディブル INCREDIBLES』だ!ダンディにカッコいい"ペドパス"ペドロ・パスカル、チームの精神的支柱として頼りになって"母は強し"も体現するヴァネッサ・カービー、無骨な優しさが溢れるように人間臭く安心感のあるエボン・モス=バクラック(『一流シェフのファミリーレストラン THE BEAR』とは違ってコッチでは料理を作る側?作品ファンとしてはジョン・バーンサル演じるパニッシャーと共演してほしい)、向こう見ずにヤンチャな感じもモノにするジョセフ・クイン(サム・メンデス監督による"FAB4"ビートルズ「4」人それぞれの伝記映画でのジョージ・ハリスン役も楽しみすぎ!!)、そして女性シルバーサーファー役にジュリア・ガーナーという適材適所にツボを押さえた最高のキャスト。ギャラクタスには貫禄のラルフ・アイネソン。だから作品後半はまるで怪獣映画?
どうしても「マルチバース」というタスク(『エンドゲーム』までの「ストーン」縛りみたいに)を負っている以上は予想を超えた展開や映画的な気持ちよさにつながるカタルシスはなく、テンポも決して速くなく、ユーモアは笑いを生みはしないが、作品を包む昔っぽい雰囲気同様にどこか優しく温かい。例えば、自分の力では到底敵わない強大な敵に対する"勝ち方"として、MCUで意外性があったものとしては、根比べの執拗な嫌がらせで勝つ『ドクター・ストレンジ』等を挙げたい!
つまり、決して「傑作だ!」と興奮して周囲に勧めるような大絶賛ではないけど、やっぱりどこか憎めないで好きな空気があるし、近年見るに堪えない作品も大量生産してきたMCUにおいて前作『サンダーボルツ』よろしく品質管理がまたうまく機能し始めているのを感じさせる作品ではあったかもしれない。ポストクレジットシーン含めて前知識無く作品単体で楽しめる作りで、敷居も低くすることで。

We will protect you.
As a family.

P.S. メインテーマ曲の「ファンタスティク4」って言うところのメロディーが、ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調「運命」Op.67「ジャジャジャジャーン!」

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とぽとぽ
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