劇場公開日 2025年5月2日

「もっとプロレスを!」サンダーボルツ* 盟吉津堂さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5もっとプロレスを!

2025年5月13日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

極論かも知れないけれど、ヒーロー映画の本質はプロレスだと思っている。
別に自分個人の意見というわけではなく、そう思っている方々、そう発信されている方々もけっこうおられると思う。

自分は特にプロレスファンというわけではない。ないのだけれど、ヒーロー映画を観に行くときはプロレスを観に行くつもりでワクワクしながら劇場に足を運んでいる。

今回はどんなすごいバトルが観られるのだろうか、と。
華麗な空中殺法か、ガチンコの泥仕合か。あれこれ想像してワクワクしながら劇場に足を運ぶのである。
ただ、どんなバトルにしてもプロレスのような魅せる闘い、華のある肉弾戦が観たいのである。

アメコミヒーローはコスチュームが派手なのでプロレスだと言っても通じるが、ウルトラマンや仮面ライダーなどの日本のヒーローも本質は同じだと思っている。

だから『シン・ウルトラマン』や『シン・仮面ライダー』を観たときに自分が心の中で叫んだのは「もっとプロレスを(見せてくれ)!」であった。

そしてちょっぴり残念なことに、自分は本作でも「もっとプロレスを!」と叫んでしまった。

決してつまらない駄作ではない。
やさぐれ感漂うエレーナも頑張っていた。
前日譚に当たる『ブラック・ウィドウ』で自分の中でイチオシだったポンコツ・スーパーソルジャー、レッド・ガーディアンも頑張っていた。
バッキーは頑張っていたかなあ?いや、彼も頑張っていた。少なくとも予告編で観られるぶんくらいは頑張っていた(笑)。

何より最高だったのはサンダーボルツ*のメンバーが力を合わせてニューヨークの街の人たちを助けるシーンで、ここは本当に胸が熱くなった!「そうそう、こういうのが観たかったんだよ!」と、本当に嬉しかった!

さらに、ヴィランの描写も良かった。
圧倒的なパワーとそこから来る絶望感はサノスをも凌ぐものがあり、こんな凄いヤツを相手にDCのスーサイド・スクワッド以上に寄せ集め感の漂うやさぐれヒーローチームがどう戦うのか。劇中にヴィランが登場してからはもうスクリーンから目が離せなくなる。

腕っぷしだけが頼りの前科者のやさぐれヒーローチームが神のごとき圧倒的なパワーを持ったスーパーヴィランに立ち向かう。こんなワクワクするプロットがあるだろうか。

同様のコンセプトで傑作『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を撮ったジェームズ・ガンはヒーロー映画がプロレスであることを理解している監督だった。
その前に作られた『スーサイド・スクワッド』は間違いなくプロレスではあったが、あんまり面白くないプロレスだった(笑)。

本作の製作陣がコンセプトの近い『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を意識しないわけがないし、自分たちはああいう暴力過剰の作品とは違う、もっと人間の内面の葛藤といった深いテーマを描きたいと思ったのかもしれない。
今さらジェームズ・ガンの二番煎じをやるわけにもいかないだろうし、製作陣の気持ちも分からなくはない。

それでも、やっぱり言いたい!
自分の中ですごく期待が大きかった作品だし、決して駄作ではなかったからこそ敢えて言いたい!
「もっとプロレスを!」と。

盟吉津堂
あらじんさんのコメント
2025年5月14日

時間無制限、ノーDQの世界ですね。

あらじん
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