「嫌い」サンダーボルツ* ぬか漬けさんの映画レビュー(感想・評価)
嫌い
見ていて、ただただ鈍重だった。
「寄せ集めヒーローがゆえの映像の質感の重さ」
そんな意味合いのある重厚さではなく、単純に退屈という意味での鈍重さだ。
そろそろ、ほぼ未経験の監督にこうした大作を任せるのはやめるべきでは?
裏テーマと思われる「トラウマ(心的外傷)体験からの回復」といった要素と、監督の作風が本当に噛み合っていたのかも不明だし、それを活かしきれていたとも思えない。
撮り方も正直言って下手。冒頭の焼却炉での混戦アクションからして見づらく、満を持してのセントリー登場シーンにおいてもアクションの空間の使い方が稚拙で、直視していられなかった。
今すぐジェームズ・ガンの爪の垢と阪元裕吾の爪の垢とアリ・アスターの爪の垢を煎じて飲むべきだ。
トラウマへの向き合い方の描写やアクションの魅せ方に真摯に取り組んでいる監督に少しは肉薄できるような作品を作ってみてください。
あなた達は天下のマーベルスタジオでしょう?できないことはないはずです。
脚本の都合で無理やり差し込まれたかのような一般市民の救出シーンも、ただのお飾りのようで不快だった。
あとタスクマスターすぐ死んだのが不満、そもそもアニメのアルティメット・スパイダーマンを見ていた自分からするとブラックウィドウに出てきた時点でMCUのタスクマスターはイメージと全然違って不満だったのだけど…。
監督のインタビューによると、「タスクマスターの死で本作が“安全な物語ではない”と印象づけたかった」らしいが、実際には「全キャラが脚本に守られている」印象しか残らなかった。狙いとしても演出としても、失敗だろう。
どうせ、タスクマスターを別の世界線で出したいからというしょうもない決断でそうなったんでしょう、心底くだらない。
物語のオチのつけかたも、生ぬるくてどうにも受け入れがたい。「あの人間の消滅の仕方」は、どう考えても「死」以外であってはならない。
ああいう曖昧で都合のいい幕引きこそ、この映画の生死観の甘さを象徴している。
ここまで稚拙な作品だと、大オチである、ニューアベンジャーズというタイトルの差し替えも、はあそうですか、好きにすれば良いじゃないですかという気分になる。
二度とこういうの作らないでほしい。
…とはいえ、フローレンス・ピューの演技と、闇堕ち版セントリーだけは良かった。
まあどんなくだらない映画にも1つや2つくらいは良い部分があるって淀長も言ってるから。あって当然なんですよ。
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