「ひとりじゃない…ルーザーズの反撃」サンダーボルツ* しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
ひとりじゃない…ルーザーズの反撃
マーベル・シネマティック・ユニバース第34作。
通常スクリーンで鑑賞(字幕)。
原作コミックは未読。
ヒーローにはヴィランが付き物である。魅力的なヴィランがいてこそヒーローが輝くと言っても過言ではない。本作は、かつてアベンジャーズに敗れた者たちのチームアップを描く。
彼ら彼女らの抱える苦悩がしっかりと描かれており、今までのMCUとは一味違う風味の作品である。新機軸だと感じた。
エレーナをはじめ、集められた面子は単純に悪者と断じれない者ばかり。運命が違えばヒーローになれたはずの者たちだ。
自分たちは所詮、負け犬かもしれない。しかし、負け犬にも曲げてはならないものがある。負け犬たちの反撃が始まる。
結成されたサンダーボルツの前に立ちはだかるのは、最強クラスのチート能力を持つセントリー。ほぼ生身みたいなものであるサンダーボルツが果たして勝てるのかとハラハラした。
セントリーとなった青年ボブ(演じる俳優は「トップガン:マーヴェリック」でもボブと云う役を演じていた気がする…)も孤独を抱えており、エレーナたちはシンパシーを抱く。
まるで自分たちの写し鏡のような存在であるボブのメンタルケアを通し、己の過ちやトラウマと向き合うことで、サンダーボルツ側も救済されていくと云う展開に胸が熱くなった。
サンダーボルツの敵としてセントリーはあまりにも能力が桁違い過ぎるのではないかと考えていたが、これほど彼らに相応しい敵はいなかったのではないかと、今では思う。
セントリーのつくり出した無限地獄での戦いはこれまでに無い斬新な展開だった。情感揺さぶるドラマ部分との融合が見事である。「自分たちは孤独だけれど、決してひとりじゃない」ことを悟り、次第に立ち直っていくエレーナを演じたフローレンス・ピューの演技がとても良い。暴走するボブを羽交い締めにしている時の慈愛を感じさせる表情が特に素晴らしかった。
実はサンダーボルツが「ニュー・アベンジャーズ」であったと云う締め括りは、一応サプライズ展開なのであろうが、唐突過ぎるきらいがあって、あまりしっくり来なかった。
セントリーの破壊から市民を救った行動はまさにヒーローそのもので感動的だったのに、ヴァレンティーナの機転で彼女の評判回復の一手に利用されただけの感が強いからだ。
しかしながら、新しい「アベンジャーズ」の映画を2本控える今結成されたニュー・アベンジャーズが、どう関わることになるのか、楽しみでもある。特にセントリーが…
[余談]
冒頭でタスクマスターがあっさり殺されてしまったことが本作最大のサプライズではなかろうか。かなり驚いた。
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