「地下に誓うわ」地下室のヘンな穴 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
地下に誓うわ
中年夫婦のアランとマリーは郊外に新居を購入する。
その家の最大のウリは“地下室のヘンな穴”。
不動産業者は人生が変わる穴だと強くおすすめし、穴を不思議に思いながらもその家を購入した2人。
そして、次第にその穴は2人の人生を大きく変えることとなる。
老いをテーマにしたまさにヘンな映画。
前半はフランス製おバカコメディかと思ったが、後半は抗えない老いとの葛藤を描いた哀愁漂うロマンス映画だった。
正直、12時間進んで3日若返る設定も知らない方が楽しめそうだと思ったが、公式が出してしまっているのでしょうがない。
ひたすら穴へ入り続けどんどん若返って行く妻と、居住後は一切穴に入らず少しずつ老いていく夫。
対照的な夫婦の姿は、まさに男と女の姿と言った感じ(あんまりこういうことは今の時代言いにくいけど)。
メイクなど自分磨きを怠らない女性とまあなんとかなっちゃう男性。
自分も自分磨きに対しては怠惰な方だから、この夫は自分の将来の姿を見ているようだった。
後半の斬新な演出。
あのダイジェストのような手抜き加減。
他の映画だったら間違いなく叩いているけれど、この映画に関してはあそこが1番好き。
時間をテーマにしているだけあって、バラバラな時系列や早すぎるストーリー展開など芸の細かさが目立つ。
時系列がバラバラだからこそラストの意味も見方によって変わってくるし、ダイジェスト的な映像だからこそ2人の時間が中身のないものに思える。
親子のようになってしまった2人は、もはや元の夫婦の関係には戻れない。
そんなことを考えながらラストの2人を観ていたら少し涙ぐんでしまった。
でも、これこそ純愛だよ。
私はこれがハッピーエンドだと信じたい。
この対照的な夫婦とさらに対照的なのが、社長の夫婦。
これは完全に失敗。
ただただ不幸な人工ペ○スの社長。
穴だの竿だの下ネタは渋滞してるので敢えて記述は控えます。
74分でかなりサクッと観れるので、大作映画のお口直しに是非。
好み分かれそうだけど私は好き。
アリのとことかキモくて好き。