バーデンのレビュー・感想・評価
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"Redneck Shop"
マイク・バーデンを演じる主演のギャレット・ヘドランドは『オン・ザ・ロード』以来の良い役柄と個人的にトム・ハーディみたいで『マッドバウンド 哀しき友情』では本作と近いような題材で正反対の役を演じていた、ヒロインは今年観た『ポゼッサー』の女優さんで『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』ではニコラス・ケイジの奥さん役かと、安定のフォレスト・ウィテカーが禿げ頭で不自然かと思いきやメインキャストが実在の人物に寄せた感の強い役柄で際立っているのがエンディングロールで理解出来る。
鑑賞前から『SKIN/スキン』と似た内容かと二作とも実話であり救われる術が女性との出会いから芽生える愛情で自分の価値観が覆され、義理人情からの宗教的洗脳があるようで考える意志や強い信念ですら希薄に思えてしまう、単に流されるがまま生きてきた日常が危険過ぎた。
幼馴染との再会や子供との釣りにしても怪訝な態度を取るより本来の優しさが、ライフルで狙ったり黒人を殴る場面ですら無理をしている表情にも、一番の幸せを手にしながら全てを失ったかのように頭が悪いと自分を卑下するマイク、生まれ育った環境下での教育によって様々な価値観の人間が共存する為に争う善悪が儘ならない現状、救いの手を差し伸べる神父の心情から人間として白も黒もない、何かしらの差別が蔓延る社会がありながらも戦い続けた黒人の歴史と何を守るための白人至上主義か、クー・クラックス・クランという集団の歴史を遡るのが恐ろしい。
見失ってはいけないもの
KKKのメンバーである男が、差別を嫌うシンママと出逢い惹かれ、これまで盲信していた自身の主義思想と向き合っていく物語。
興味深い内容だが1週間限定公開‼
劇場も限られている為、ちょいと足を伸ばしてみなとみらいまで。
白人至上主義のトムに育てられたマイクは、黒人への差別、時には暴力も厭わない。
そして黒人差別に異を唱える代表のケネディ牧師。この差別をなくす為に必要なのは憎しみではなく愛だと訴え続けるが・・・。
終始、とにかく考えさせられる作品。
思想は個々人の自由ではありますが差別は・・・。そして飼い主を盲信する犬はとにかく危ない。。
マイクが信じていたのは、白人至上主義かトム自身か…。
ケネディ牧師の行動も印象的。誰しもがそんな聖人みたいには振る舞えないよね。。息子さんの気持ちはよくわかるし、なんならそれが自然では…。
憎しみは差別の輪廻とわかっていても、自分らに暴力振るうような奴を受け入れられないよね。。
そして、いよいよ報復は肌の色も関係なくなっていき。。
トムの考えもケネディ牧師の考えも、我々が完全に理解するのは難しいですよね。
それでも、忘れた頃にやってきた権利書はなんとも痛快。
難しさの中にも、映画としての見応えもしっかりあった良作だった。
重要なのは愛か。。
正直、綺麗事だろなんて思ってもしまったが、ジュディへの想いがキッカケなら、牧師の言葉も間違いではないのかな。。
そもそも、マイクも真っ当な愛を受けて育ったようではないし、そういう事も関係しているのかな。
これは必ずしも差別問題だけに当てはまることではないですよね。
改めて深く考えさせられた作品だった。
愚かな差別主義者の象徴
サウスカロライナ州ローレンスの町でKKKに育てられた男がKKKから脱会した実話に基づく話。
町のKKKを取り仕切るトムに育てられトムのもとで働くマイケルが、黒人差別の名残が残る映画館を改装して作られたレッドネックショップとKKKミュージアムの代表として祭り上げられる中、KKKを嫌う白人シンマのジュディに惹かれ、思想に迷う様になっていくストーリー。
幼い頃は仲良くしていた黒人の同級生もいた様だし、その息子とジュディの子供は仲良しだし、黒人という括りでは敵対ししているけれど、個々をみると自分の思想に矛盾を感じている様子も見られるマイケル。
祖父がKKKで嫌のものをみてきたジュディはKKKの愚かさを良く理解しているし、「黒人がいるからまだましと…」は強烈。
脱会を決めてから置かれた立場に苦悩つつ、開眼していく姿はなかなか凄まじいし、ケネディ牧師の感情と思想のギャップもとても良かったし、教会が買った建物の権利は、最早その存在を揶揄するようなものに成下げるものだしととても痛快だった。
バーデン(心の負担)をおろせてよかった。
アンドリュー・ヘックラー監督が地方紙でKKKがレッドネックショップをバブチスト教会に売ったという記事を読んで、ケネディー牧師にコンタクトをしたと。
事実をベースにした物語。 1996年南キャロライナのローレンスでKKKがレッドネックKKK美術館を開く。その名前は『エコー』それから、黒人の教会の信者と白人のKKK を中心にした仲間とが争いを起こす。争いがエスカレートする中、ジェシー・ジャクソンがこの運動に招かれる。マイク・バーデン(Garrett Hedlund)はガールフレンドを愛し始め、彼女、ジュディーからKKKに残るか、それとも捨てて、一緒になるか決断を迫られる。マイクはすでに、この美術館の権利を父親と称するボス、トムから受け継がれて、この父親亡き後のリーダーになる存在になっている。
マイクはジュディとの生活を選択したから、KKKからの攻撃にあう。転がり込んだジュディーの家は彼女と子供、フランクリンと共に追い出され、ホームレスになる。仕事先もKKKの傘下にあるようで、何一つ見つからず、物乞いをしている時、ケネディー牧師に拾われる。しかし、黒人の経営するホテルはマイクたちを拒み、宿泊所が見つからず、牧師は自分の家に連れて行く。ここからは、牧師や家はKKKを家に入れたくないという葛藤とマイクの心からKKKを抜けられない自己の葛藤が続く。牧師の息子は父のこの態度すらも受け入れられずにいたが、彼は父親を少しずつ理解していく。父だって、牧師だとはいえ、心の中はKKKのマイクを受け入れることは大変なんだって
それに増して、KKKのマイクへの横暴や追跡がしつこく、幼馴染の黒人、(アッシャー)まで、殺されそうになる。
牧師はおじさんがKKKにリンチされた墓場に墓参りに来たところへ、マイクがおとずれる。
マイクは牧師にKKKを抜けたいなら、自分の罪を認めなさいと言われるが、自分は牧師のような人じゃないよと。そして、ただ、小さな家に家族と共に住みたいだけだと言う。その後、KKK美術館の権利を牧師に千ドルで(?)売り、家族のためのトレーラーハウスを手に入れる。
最後の、マイクは水の洗礼をケネディー牧師から受ける。自分の罪を告白して、神に赦しをこう。 監督とケネディー牧師はこのエコー劇場を文化と和解の場所にと字幕。
この映画の圧巻はマイクの育った環境には 動物を、この場合、鹿だが、愛でる心の余裕を父親からもらえなかった。タフに教育を受けて、KKKの思想を叩き込まれ、自分を自分の思うように成長させることができなかった。マイク自身、映画の出だしでわかるが、プールで遊んでる子供に、いじめるなよと声をかけるぐらいだから、繊細で、優しい心の持ち主だとよくわかる。それに、クラレンス(アッシャー)の子供も釣りにくるとは知らなく、いやな顔をしたが、この子供が魚を釣ると、黒人の子だということを忘れて、手を触って、二人で魚を釣り上げて喜ぶ。特に、ケネディー牧師を標的にするように、父親のような存在、トムに言われ、銃を渡された時も、彼の目にいつも戸惑いが見える。
この役者、ギャレット・ヘドランドはその表情の出し方がうまい!それに、トム役(トム・ウィルキンソン)はベテラン俳優なので、二人の息がよくあっているのを感じた。
笑っちゃうことに、KKKを映し出す時は、レーナード・スキナードLynyrd Skynyrd - Call Me the Breezeの曲が流れ、黒人の教会ではゴスペル。勝手に判断してるかもしれないが、エディ・ヴェダー(Eddi Vedder)のLonging to Belongなど、場面にあった曲が流れている。
マイクの苗字、バーデンという言葉と、最後の曲バーデンが、彼のバーデン(重荷)を下ろしたと思った。マイクが鹿を見つめて手を差し出す目は本当の自分に戻った目だった。(皮肉にも、私の知っているギャレット・ヘドランドだった)Chris Stapleton - Burden
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