劇場公開日 2022年11月18日

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「幸運は偶然ではなく、気力、体力、野心の循環で巡ってくる。」ミセス・ハリス、パリへ行く ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5幸運は偶然ではなく、気力、体力、野心の循環で巡ってくる。

2025年4月26日
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主人公の英国家政婦オバサンに予期せぬ幸運が訪れ、
仏国パリのファッションブランドメーカー「ディオール」に、ドレスを仕立てに行くお話。

前半は、この家政婦が仏国に行くまでの、
幸福と不幸を巡るストーリー。
後半は、ディオールで服を仕立てる最中、
アクシデントに巻き込まれる、幸福と不幸を巡るストーリー。

全体を通して、逆境と幸運によって話が展開され、
幸不幸を伴って人間模様が描かれる、
運気系ヒューマンドラマ。

例によってたとえエピソードになるが、
何かの番組で、芸人オードリーが、若手芸人群の1組から頭一つ抜きん出た瞬間の、要因があったのではないかと尋ねられた時、
それを苦笑いしつつ否定しながらも、
周囲から激推しされる幸運な時期について、触れる場面があった。

若林が言うには、
壁を突破して1つ上のステージに上がる時、
周りの人間がチームとなって、めちゃくちゃ推してくれる時期があるらしい。
そういうチャンスの時は、推される側の自分は、
「気力、体力、野心」らのいくつかの項目が、充実して漲っており、
魅力的な要素として、それがチームに自然と伝播している。
1人じゃ絶対実現しそうにない事も、
魅力が熱となり、感化されたチームの後押しにより実現する、というのだ。

さて、この作品の主人公である、家政婦オバサンのハリス。
冒頭から、幸福と不幸が交互に激しく入り混じりながら、
彼女の人柄の良さゆえに知人に助け舟を出されたり、
彼女の夫への純粋な愛情により、亡き夫からサプライズの遺産が舞い込み、
結局はパリ行きの幸運切符を手に入れる。
テンポよく話が進むので面白い。

パリに行ってからも、
ディオールで門前払いされそうな所を、
彼女のドレスへの強い思いを見かねた伯爵紳士の助けを経て、服の購入までこぎ着け、
彼女の人柄の良さや、持って生まれた愛されキャラから、
ディオール従業員達から人気者となり、
彼女の夢を諦めない姿勢に感化された人々が、
古い体制で行き詰まった経営のディオールの、改革を促し立て直すまでに至る。

まるでお伽噺かの如く、話は展開され、
主人公の、見返りを求めない親切心や、人柄の良さ、情熱によって、
それに感化され、巻き込まれた人々から、幸運が主人公の元に返ってくる展開いうのは、
「7番房の奇跡」の主人公と似たような展開。ハートフルな、心が温まる展開。
特に今回の作品は、夢を諦めず奮闘する姿が、さらに加わる感じ。

幸運は偶然の贈り物ではなく、自分の日々の生き方次第で巡ってくるもの、
という強いメッセージ性があると感じた。

気力体力も必要で、時には野心的な熱量が周囲に伝播し、
すなわちエネルギーの循環によって、幸運は回り巡ってくるのかなあという感想を持った。

不幸が続いたり、気持ちが後ろ向きになったり、
ネガティブな方向に傾いた時に、この作品を観ると、
前向きに、下がったテンションを上向きに復活できるかなと思った。

ソビエト蓮舫
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