ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
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静かな、大自然に染まり行く映画
一人の孤独だった女性の映画、というのが全てです
オチについてはあるシーンのセリフで想像が付いちゃいましたが、ただ、オチを成立させるためのミステリ的な考え方をしだしたら、
1.どうやって誘い出した?
2.証拠はどうやって拭い去った?
みたいな細部がやや気になってしまう感じですね
後、最初のシーンも急にボートによる逃走とか、トリック成立のための要素かもですがイマジナリーラインを踏み越えててかなり気になりましたね
まあ、てな感じでミステリとしては微妙ですが、一人の人生、静かな湿原の生活は、ターシャ・テューダーを想起させる穏やかさと厳しさがある、大自然がとにかく美しい映画になっていたと思います
正直、殺人に係る話を丸々カットで、湿原で暮らした女性の物語として見るだけでも全然アリだった気がしてます
その意味でも、情景とその生き方を見るだけでも、価値ある映画だと思います
あ、ラブシーンはちょっとくどい気がしましたね
人生に入り込んできた男達に振り回されて…
幼い頃、父の暴力により家族がバラバラになり、
湿地に1人残された少女は
そこでたくましく、1人、生きる。
もし、
かまってくる男性達がいなければ、
カイアは1人、
それなりに幸せに生き抜いたのかも…
カイアの人生に
入り込んできた男性達によって、カイアの人生は
乱された…
あれは正当防衛にならないの??
そうじゃないといつか、
逆に殺されてたかもしれないよ…
理不尽だわ…
良くやった、
最後まで逃げ切った‼️
ずっと待ってたお母さんが
最期は迎えにきてくれたね。
やっと解放されたね。
安らかに。
ミステリーではありつつも、彼女の人生の物語。
湿地帯で発見された変死体、容疑者はそこで孤独に暮らす若い女性…
重たいけど傑作でした。裁判の進行とともに明らかになるのは彼女の人生そのもの。重い内容に反して、それを包み込む大自然、水や緑や生き物たちの本当に美しいこと。オチに賛否あるみたいだけど、わたしは途中で予想できたものの良い結末だと思います。
ただ、テイトや雑貨屋夫妻は事実を知っていた…の方が良かった気がする。せめて、雑貨屋夫妻だけでも。誰か、「知ってはいるが彼女を許し、守る」人がいて欲しかったし、彼女も「すべての人を偽っていた」人にはなってほしくなかった気も…。
とはいえ、あの深い緑、幻想的な湿地帯には秘密が似合うのかもしれないですね。
ちなみにわたしがいちばんひどいと思ったシーンは、モーテルの部屋でチェイスが、カイアの服すら脱がせず、前戯もせず、いきなり挿入し性行為を行ったシーンです。あれは紛れもなく性暴力であり、レイプです。殴る、蹴る、と変わらない。あれでチェイスが最低な暴力男だとわかる、見ててほんとにつらいけど、説明せずに見せる上手いシーンでもあると思いました。
素晴らしいミステリー
3日連続映画鑑賞を楽しんでおりました
本日3日目
思い切って洋画みてきました
しかも字幕やったけど
すごいミステリーだわ
少しネタバレ含みます
てっきり元彼の犯行かと思ってたら
事故だったんだー
途中から彼女が疑われてることに
おかしいと思えてくる
弁護士の言葉どおり
今まで彼女に手を差し伸べたのは雑貨屋の夫婦だけだった
自分を含め全ての人が彼女を見て見ぬふりをした
陪審員に話しかける
映画を観てる自分もそう思ってた
途中色々と差別ではなく区別してしまう感情も出たのは確か。
なので尚更彼女は幸せになってほしい。と望んだ。
自分も含めた傍観者達の無責任さを乗り越えて
結果的に彼女は自分の手で幸せを掴んだんだな
最後の最後が衝撃のミステリーでした!
私は湿地帯では暮らせない
ザリガニが鳴くところ
ノースカロライナ州、湿地帯
森の奥に一人で生きてきたカイア。
アメリカでベストセラーになったミステリー小説
物語は紐解くと
初恋の切なさが胸に刺さる。
嫌な男はどの時代ににもいる。
最後のラストの結末は
ドキッとしたが、それはまさにあの塔から見た広大な湿地帯に
その罪は隠されてしまうのでしょう。
夢小説か
うーん、女性が書いた話だなぁというのが最初の感想。
サスペンス要素は皆無。
オタク女子が書いた夢小説。
二人の男の間で揺れるワタシ。
暴力をふるう元軍人の父、出ていく母、大人になってから戻ってきて味方になる兄、理解があるがちょっとしたきっかけで別れる恋人、寂しいときに付け入るクズ男(良家のボンボンで婚約者あり)、心配し世話を焼いてくれる善人の夫婦、等々…
どこかで見たことのある設定の寄せ集め。
サスペンスだと思っていたので犯人を推理しながら観ていたけれど、なんのひねりもなかった。
弁護士が最初から挙動が怪しかったので、てっきり彼が真犯人か、もしくは元彼兄貴善人夫婦が協力して始末したとか考えていたのに。
あと、沼地で暮らしてる割に綺麗過ぎる。
綺麗過ぎて、街で嫌われてる設定が薄まる。
キスシーン多めのサスペン・・・いや、恋愛映画
メスのカマキリだったか、ホタルの話で犯人が誰か確信しました。
「きっとあいつが犯人だ!」という決めつけで彼女は裁判にかけられているが、
映画を観ている側は「あんな自然で生きている純粋な若い女性が殺人なんてするわけない」という決めつけ視点でどこか見ていて、
「あんな娘を裁判にかけるなんて偏見に満ちた愚かな大衆たちだな」と思っていた自分たちにラストでブーメランが返ってくる。自分たちも勝手な思い込みで彼女を見ていたことに気付かされる。
そこが面白い。
内容は恋愛中心で、ミステリー、暴力、孤独、貧困、魔女狩り、田舎のあーだこーだなど、色んな要素が入ってる。
法廷ものかと思いきや、細かいところは雑っぽい。
女性が望む幸せというか、女性が好きそうな、共感しそうな要素が詰まってて、そりゃヒットするわと納得。面白かったです。
それにしても女性は「作家で成功」「男に求められる私」って設定ホント好きだな。
黒人の売店のおっちゃんの演技が何気に最高だったりする。
主人公視点の見せ方、感情の見せ方がうまいと思う。ただ貧困の湿地帯なんだからもっと汚く、みすぼらしい感じがあったほうがリアリティ増すと思うので説得力に欠けて残念。
誰が部屋を片付けたのだろう?
まったく事前情報ゼロで鑑賞。ベストセラーのミステリー小説が原作だそうだ。そのとおり、殺人があり、犯人と目される女性が捕まり、後半は法廷ドラマとなって、犯行の真相が、彼女の生い立ちや恋愛遍歴を再現するかたちで、明らかにされていく。とまあ、無数にある事件物ではあるが、舞台がノースカロライナの湿地帯という魅力的な場所。ヒロインは親に棄てられた妖精のような美少女。というビジュアルの強みで、観客にアピールしているようだ。
事件の真相は、ほぼ予想通りだし、動機も共感はできる。そこは、事件物映画の文脈の教科書通り。といっても、まあ原作がそうなのだろうから。
邦題は原作の原題通り。これはタイトルマッチで悩んだろうなあ。意味不明だもの、一見したら。逆に『謎めいた』タイトルで客を呼んでいるかも。
深読みすれば「Where the Crawdads Sing」というオリジナルタイトルは、Crawdadsをcrawとdadsの間に補助線を引かせているのかもしれない。
ムール貝
いちばんびっくりしたのはムール貝🤣
最初、球根でも収穫してるのかと思った!!!
ムール貝食べるたびこの映画を思い出す
あと別れてからもずっとあの手作りの貝のネックレスしてるって結構引きずってるよねえ🤣
ボンボンゆえ、自然で逞しく生きる彼女に惹かれたのかなあ🤔そう思うとなんか可哀想な男だな
足跡消したりアリバイつくるくらい頭回るのにネックレス回収したのも意味不明🥹
ザリガニは出てきません
示された“事実”からでなく、“伏線”から真相を予想させる作りであり、つまりミステリではなかった。
強いて言うなら恋愛サスペンス、もしくは人間ドラマかな。
とはいえそれは宣伝が間違っているというだけで、作品自体はとても良かった。
演者はみな達者で、映し出される自然もとても美しく、メリハリのある構図と相まって飽きがこない。
家族に捨てられ、嘲笑されたトラウマから学校はおろか社会からも距離を置いたカイア。
青年期のテイトと再会したときは、(初対面ではないのに)完全に警戒する獣の対応だった。笑
それが、チェイスとの出会いからはややスムーズになり、本を出し、出版社の人間とも交流した。
もともとお洒落したり“女の子”としての感覚はあったが、人間性社会性を高めていく描写は非常に丁寧。
しかし、やはり彼女の家は最後まであの湿地帯にあった。
そういうことなんだと思う。
ところで、『ザリガニの鳴くところ』って何だったんだろう。
そこに「逃げろ」と言っていたから、『誰にも見つからないところ』ってことかな。
思っていたより、
思っていたより重くなかった。(映像がきれいだったからか)
思っていたより爽快感もなかった(法廷ものなのに)
思っていた(思わされていた)より驚愕しなかった。
思っていたより感動しなかった。
(最後の、あっと言わせてやろう、というのに引っ張られていたみたいでちょっといや)
思っていたまんま白人の男はクズ。(偏見です)
思っていたより主役のデイジー・エドガー=ジョーンズがきれいで魅力的だった。(少女時代の子役からつながらない)
米国の文芸ミステリーという好きなジャンル、期待しすぎたのか、多分原作ではしっかり描かれているんだろうけど、引っかかるところが多くて思ったほど感動できなかった。
・なぜ一番幼い子を置いてみんな出て行ったのか。
・どうやってひとりで暮らしていけたのか(貝だけじゃ無理でしょ)
・そんなに簡単に本を出してくれる出版社があるのか
・絵は上手く描けるようになったとしても学術的とも言える知識をどうやって身につけたのか
・電気もない生活でどうしてあんなに身奇麗にしていられるのか、、、等々。
最後にあっそうだったのか、じーんと胸が熱くなって感動できるのがいいな。気分悪くなるより。
(差別、初恋、殺人、美しい自然、とよく似た題材を扱った米国文芸ミステリー、工藤夕貴とイーサン・ホークが主演した「ヒマラヤ杉に降る雪」が好きでした。)
帰ってからティラー・スウィフトの「キャロライナ」を聴き返したらもう一度観たくなった。
救いがある
世界中に湿地の少女と同じ苦しみを抱えている子供達が沢山存在していると思いながら、鑑賞しました。彼女は、湿地に生きる生物を観察し自らも湿地に生きる生物をお手本にして生きていたから、あの正しい選択ができたのだと思います。
貧困や暴力の描写がある反面、湿地を映すカメラはとても美しく圧巻でした。やはり、アメリカは広いですね。暴力に苦しんでいる人に届いて欲しい救われる作品でした。原作面白そうですね。
じわじわと沈殿していくような余韻に満たされる
不遇な人生を送ったカイアに深い同情を感じると共に、ほんの少し突き放されたような気持ち。観賞後に互いの感覚が私を引っ張り、不思議な後味となって残った。
でもやはり、最後に母を求める小さなカイアの眼差しが忘れられず、じわじわと哀しみで胸が浸たされていった。成長しても「小さなカイア」は彼女の心の中にずっと住み着いていて、その傷は癒えることはなかったのではと思うと、涙が出てきしてまう…。
暴力的だった父が一時みせた優しさの象徴である鞄を、成長してもずっと使っていたいじらしさ。皆に捨てられても誰かが帰ってくるのではと細い可能性にすがるいじらしさ。
「軍でもらった」という鞄。父親も戦争で傷つき、国に棄てられた元兵士なのだろうか。人を信用するななどの台詞から、彼もまた、気を病み、人に疎まれ無理解に苦しんでいた様子が窺える。
この映画が特別な魅力を放っているのは、移ろいゆく自然と湿地の美しさに、人間の心の移ろいやすさも同時に描かれ残酷さが加わっていることだろう。
カイアは、町の人々からは恐ろしい湿地に住んでいる世捨て人として拒絶され、ティトやチェイスにとっては童話のように美しい世界のお姫様でもある。しかし、チェイスの態度は希少な動物を狩るハンターそのものであり、カイアを所有物と勘違いし、力でねじ伏せようとする。
カイアがテイトにも黒人夫婦にも頼らず自力で恐怖に立ち向かうことを決意したのは、それまでも湿地で生き延びてきた強(したた)かさを身につけたからでもあり、人に何度も裏切られてきたことによる心の防衛でもあり、自然の成り行きだったと思う。
人として法で裁かれるなら罪になる。しかし人間も動物であるのならば、彼女は本能に従ったまでである。カイアが言ったように、そこに善悪というものはない。動物は縄張りを守るため、同じ種と戦う。捕食者がやってくるのならば、全力で抵抗する。
彼女を癒し支えになった動植物たちが、最終的に、生きるなら戦いなさい、と彼女の背中を押したのかもしれない。
裁判後にテイトの手を一瞬離したのは、罪悪感からだろうか。それともまた傷つくことを恐れたからだろうか?
カイアの心の淵と、人知れず小さな幸せを守り抜いた人生に思いを馳せる。小さなカイアの魂はあの沼地で、安らかに眠っているだろうか。
時代背景も重要で、スマホがある現代ではこれほど魅力的なストーリーにはならなかっだろうし、まだ社会的弱者であったであろう黒人夫妻が味方になるのも違和感がなく、自然の流れであった。白人であるカイアの父親に緊張し警戒する様子など、細かな演技もこの作品に複雑さを与えていると思う。
良作
手放しで最高とは言い難いが、良作だと思います。
ミステリー要素というか、オチというか、このあたりは正直良くあるものといえば良くあるもの。
現実と回想をザッピングさせながらの展開も、新しさは正直無い。
なので目新しさや意外性などはそんなにでも無いです。
最後の展開も読めたし。
ただ、話の流れや展開の仕方、映像などは、話的に明るいものでも無いが、十分に見入ってしまえるレベル。
キャラクターも良かった。
多分、今作の魅力としてはそれぞれのキャラ設定だったんじゃ無いかな、と思う。
不自由がないからこその野生感への憧れや、その逆で何も知らないからこその都会への憧れ、そして純粋性など。
それぞれが絡み合って起きる人間ドラマが今作の良いところなのかな、と。
だから、ミステリー部分は弱くても面白かったと言えるのかな。
ザリガニの鳴くところは何処?
基本的に恋愛映画であり、1人の女性の成長物語
死体から始まるので、ツインピークスのような、サスペンス、ミステリーを想像していたのだけど、結局は殺人か事故か、だけが争点で容疑者も1人しか居ないから、ミステリーの要素は薄め
その代わり、恋愛ものとしては、しっかり描かれているし、湿地帯の自然美がこれでもかと、盛り込まれている。
個人的にはそんなところで寝ていたら、蚊に刺されて大変では?とか、風呂はあるのか?とか、いらん事ばかり気になって、ロマンチックな気分にはなれなかった。
田舎が最高な彼女を都会に連れ出す難しさに、ボーイフレンド達に同情したりもした。
この映画では、彼女を助ける雑貨屋の夫婦や弁護士といった暖かな人々と、暴力や偏見、陰口で支配しようとする人々との対比が見事で、法廷シーンも、不利だった状況を、少しづつ勝訴へ持っていく流れも見事。映画としてつまらないかというと、そんな事はないのだが、単純に好みでは無かった。
この映画の最大のミステリーは、ザリガニが鳴くところとは何処なのだろうか?と言う謎には残念ながら解答は用意されてはいない。
考察ブログなどを探してみたが、原作者の説明より、Crowdedとの聞き間違い説が一番腑に落ちた
もちろん、映画にはない事ですが、本当に父親は、あの家を出て行ったのだろか?
宣伝で期待させたわりには、観賞後の感動や満足感はやや低かった
時代設定が少し古いとはいえ、日本人的には、広大な湿地で女の子が一人で生活する設定に首をかしげたくなる。
しかも、一番小さい女の子だけが残され、母親や兄姉たち・父親が一人ずつ家を出ていくことに違和感を感じる。どうして、母親は、一番小さな女の子を連れて行かなかったのか?
しかもこの夫婦は、最初何人もの子どもをもうけ、ある程度の年数、夫婦や家族関係を維持してきたのではないか?それなのにあまりに突然すぎる家族の次々続く家出・離散。
なお、裁判過程は細かく描写され、映画の終わりには驚きの真実がさりげなく差し込まれ、その部分には驚かされる。
しかし、広大な湿原の女の子の、現代版ターザン物語(?)というか、ミニロビンソンクルーソー物語(?)に、二人の青年や親切な雑貨商の夫婦を入れた、奇妙な物語(恋愛物語?、家族や貧困問題の提起物語?、サバイバル物語?、裁判物語?、環境保護物語?、村八分物語?、偏見啓発物語?)に違和感を感じ、映画の世界に没入するのがやや難しかった。
ハクガンの来るところ
1969年10月30日にノースカロライナの湿地帯にある火の見やぐらの下で見つかった町の人気者チェイスの死を巡り、殺人犯として裁判にかけられた湿地の娘の話。
幼い頃から湿地で1人暮らしをしてきた町の疎まれ者のカイアが犯人との噂が立ち、逮捕され法廷に立つことになっていくけれど、ここまで証拠も証人も示されることは無く、殺人事件である確証すら特になし?赤いニット帽らしきものが証拠みたいなこと言ってたけれど???
そして1953年からの1人になった経緯や町の人との関係性を絡めつつの長い長い恋愛物語って…チェイスは登場した時から上から目線とオラつきがあってこれが人気者ですか?だし。
一応、話しが進んでいくと証拠や証言がもとからあった様な体で示されてサスペンス味は出て来るけれど、裁判の内容が茶番過ぎ。
いくら60年代とはいえ、こんなアホな証拠や供述で起訴出来ちゃうって…動機だけで言ったら容疑者はいっぱいいそうですけどね。
そこからの落とし方も含めて、ストーリーの構成だけでなんとかそれなりには愉しめたけれど、サスペンスって言うにはあまりにも雑で肩透かし、まあ所謂ラブストーリーだった。
王道の法廷劇と、田舎のザリガニ
基本ネタに触れないと評価できないタイプの映画なのでご了承ください↓
なんか見覚えがある気がする語りの構造なんだけど…何の映画か思い出せない。
ひとつの語りが二重の側面を持っているとこよが。なんだっけなー。「ビューティフル・マインド」あたりかな?
とにかく1回で二度美味しいって手法なので基本的にめちゃくちゃ効率がいい…はずなんだけど。
まず、アメリカ映画なのに日常のアシが車じゃなくボートだってのが新鮮。
湿地帯の中に家があるからどこへ行くにも基本はボート。こういう土地って実際あるんでしょうかねえ。
湿地の娘というのは、そんな土地にしか住めない貧しい人って蔑称なんでしょうが、実はそこに豊かな資産があって、主人公だけがそこからら自分の武器を得ていく、つまりは湿地の化身となる。
そのあたり、彼女だけが湿地にとどまり、つらい目に遭いながらもサバイブしていく過程を見ることで自然に理解することができます。
ただ、映画的な作劇としてはもっとできたんではと思う部分もあったりはしました。タイトルの「ザリガニの鳴くところ」が限定的な場所であるかのように示しながら最終的にもっと広い意味だったりするのがどうもスッキリしない感じ。ここはおそらく原作小説では気にならないのかな?
それから最大の問題は、一見「アラバマ物語」的な無実の罪を着せられた弱者がそれを晴らそうとする王道の法廷劇かのように見せながら実は違うところに着地するという構成。
こういう構成だと、ラストに至るまでややパンチの弱い王道になってしまわざるを得ないという問題が出てしまう。
事件の真相そのものが伏せられたままクライマックスを迎えるため、なんかふわっと食い足りない感じがしてしまう。
構造的に避けられないので仕方ないですが、ラストにひとひねりある作品の陥りやすい罠だなーという気持ち。
あと街の人々と比べて圧倒的に世間知らずで純真な主人公の心の軌跡をたどっていくので、オチがわかるまではややストレートすぎると感じる場面もありました。
全145件中、101~120件目を表示