「サスペンスとしても、ラブストーリーとしても面白みに欠ける」ザリガニの鳴くところ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンスとしても、ラブストーリーとしても面白みに欠ける
湿地で生きる少女に殺人の容疑がかけられた後に描かれるのは、主として、過去の、少女と2人のボーイフレンドとの恋模様なのだが、これが、どこにでもあるようなありきたりな話で、面白くないし、テンポも悪い。
少女の生き様が描かれる過程で、差別や暴力についての問題提起も、あるにはあるのだが、残念ながら、それほど心に響かない。
ラストで、ようやく、ことの真相が明らかになるが、もともと死んで当然のクズ野郎の案件だったので、納得はしこそすれ、驚きや衝撃は感じなかった。
真相の鍵となる証拠の物件が、なぜ後生大事にしまわれていたのか、その理由も、良く分からない。
それまで、湿地の自然の美しさが散々映し出されていただけに、捕食される側が捕食する側を殺すところもちゃんと描かれていたならば、オチの伏線になって、説得力も増したのではないかと惜しまれる。
美しい映画ではあるが、サスペンスとしても、ラブストーリーとしても、社会派としても、裁判ものとしても、今一つ引き込まれるものがなかった。
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