「【”湿地の娘。危なかったら、ザリガニの鳴くところまで逃げろ!”親兄弟に捨てられ、自力で育った少女の恋を絡めた成長物語とマーダーミステリーが絶妙の匙加減で描かれた作品。ストーリー展開も一級の作品。】」ザリガニの鳴くところ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”湿地の娘。危なかったら、ザリガニの鳴くところまで逃げろ!”親兄弟に捨てられ、自力で育った少女の恋を絡めた成長物語とマーダーミステリーが絶妙の匙加減で描かれた作品。ストーリー展開も一級の作品。】
ー カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)はDVの父により、母は家を去り、兄弟たちも次々に家を出て、独りノースカロライナの湿地帯で暮らす少女。
学校にも馴染めずに一日で辞め、町の人達からもいい加減な噂をされながら、逞しく生きて来た。
そんなカイアの前に、ある日テイトという青年が現れ、二人は恋に落ち、テイトは無学だったカイアに字を教え、一方テイトは湿地帯の貝について、彼に教える。
だが、テイトは進学のため町を離れ、約束した日にも戻って来ない。
嘆くカイアの前に現れた優雅な家庭で育ったチェイス。彼はカイアに対し、最初は優しいが、実は婚約者がおり・・。
そして、チェイスは湿地帯を見渡せる、櫓の下で死体で発見される。
◆感想
・前半は、独り残されたカイアが、近くの雑貨店の黒人夫婦にのみ優しくされながら、逞しく育って行く姿が、描かれる。
ー 町の人達の、”湿地の娘”に対する態度。これが、後半の法廷シーンに効いてくる。-
・そして、カイアは、テイトと出会い、文盲だった彼女は凄い勢いで知識を付けて行く。だが、テイトは大学の生物学科に進学し、約束の日にも帰ってこない・・。
ー この時のカイアが約束の日に帰って来るはずのテイトを湖の海岸で待ち、一夜を過ごし、朝になっても帰ってこないテイトに対する嘆きのシーン・・。”何やってんだ!テイト!”-
・そこに現れた表面上は優しい、ボンボンのチェイス。だが、次第に本性を表し始める。カイアのDVの父と重なるチェイスの姿。
そして、幼かったカイアに家を出る時に兄の一人が言った言葉
”危なかったら、ザリガニの鳴くところまで逃げろ。”
ー この言葉も、ラストシーンに効いてくる。-
・そして、チェイスの変死体が発見される。その胸には、カイアが贈った貝の首飾りはない・・。
■この映画が面白いのは、一人の少女の恋と成長を描きながら、マーダーミステリーとしても、一級品であるところである。
そして、カイアがチェイス殺しの重要参考人として、法廷に召喚された時の、法廷劇も実に面白い。カイアの弁護士トム・ミルトンが傍聴人や陪審員になった町の人達に言った言葉。
”貴方たちは、カイアが幼い頃から苦労して育った姿を見て見ぬ振りをしながら、過ごして来た・・。”
そして、言い渡された”無罪”判決。
<ラスト、念願の貝の本を出版し、テイトとも一緒になり、幸せな日々を送ってきたカイア。
年老いた彼女は家を出た母に導かれるようにこの世を去る。
そして、テイトがカイアの遺品整理をしている時に見つけた、且つてチェイスにカイアが渡した貝の首飾り。
”湿地の娘”カイアは、自分に危害を加えるチェイスを自ら、排除していたのである。
”危なかったら、ザリガニの鳴くところまで逃げろ!”
実に見事な作品である。>
【】の中、最高ですね〜。
堂々たるイメージのNOBUさんにして…。
ちなみに私は、ナイショのままサヨナラandだんなさんの嘘がみえたとしても問わない派…かも?!です。
あ、これも怖い系ですかね?
こんにちは。NOBUさんのこのレビューを見落としていたことに今頃気づき、どうしたことかと焦りました。予告からわかっていたものの、深い余韻に包まれる大変な作品でした。映像、音楽、ストーリー全てがマッチし心底揺らす感覚を味わい、翌朝再度観に行ったのも初めてでした。そして、何やってんだ!テイト!…でしたよね。あれはない😭
カイアの野生がミステリーを誘う贅沢なほど濃厚な物語、きっと忘れられません。
NDBUさん
コメントを頂き有難うございます。
観ている作品、特に劇場で観ている作品が年に数える程…の私だけにかなり図々しいとは思いつつ…本年度いち推し!の作品となりました。
主演のデイジー・エドガー=ジョーンズが放つ輝きが、作品の完成度をより高めていると感じました。
久々に映画館で観て良かったと思えた作品です!
実の所カイアがチェイスを排除したのかをはっきり示していないところがいいですよね。
あの貝殻のペンダントが示されるだけ。テイトはそれを見て何かを悟ったようだけど、時すでに遅くザリガニの鳴くところに行ってしまった。なんと、深い余韻がのこる作品だと思いました