ムイト・プラゼールのレビュー・感想・評価
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サウダージは日本の演歌見たいな感情。つまり、韓国とも通じる
サウダージとは、郷愁、憧憬、思慕、切なさの事。
多分、ポルトガルの「ファド」とかも関係していると思う。
親父が「アマリア・ロドリゲス」のファンだったので「暗いはしけ」とか聞かされた。
さてこの映画は日系ブラジル人の就労の問題から移民や異民族の問題を扱っていると思うが、根幹をなすものは、寧ろ、在日の外国人で一番人数の多い韓国人、若しくは、朝鮮人のアイデンティティの問題だと思う。日本人が統治した植民地としての長い歴史がある。一筋縄では行かない。だから、それを主題にしていると感じた。
しかし、大変に難しい問題故、余り語らない方が良いと思う。だがしかし、
一つだけ演出家が間違っている事を話していたので、その点を指摘する。
「人種の違いの問題点」と言っていたが、ほぼ、混血であっても日系であるので「民族の違いの問題点」とすべきだと思う。
そして、強調したいのは、韓国との問題点に至っては、韓国と日本は全く同じ人種なのである。
違う民族であるかもしれないが。
その点は大事なことなので、指摘する。つまり、在日の韓国や朝鮮を含めた外国人は、本来同じ民族として、在日外国人ではなく、外国系日本人と表さるべきなのだ。アメリカでは人種を超えて、アフリカ系アメリカ人とかアジア系アメリカ人と言っている。日本では、韓国系日本人とは言わない。それは日本の国としての問題点だと思う。そして、それは韓国、朝鮮との歴史から続いている。100年以上続いた問題点である。先ずは日本人はそれを知ろう。
大和の国は単一民族国家ではないのだから。
無理解と偏見による断絶を乗り越える一歩としての“はじめまして”に籠ったささやかな勇気に胸が痛むフィクションとドキュメンタリーの間にある短くもずっしり重いドラマ
”Muito prazer”とはポルトガル語で”はじめまして”の意味。国際交流部に所属する高校生が顧問の教師とともに茨城にあるブラジル人学校を訪問するが、彼らを出迎えたのはあからさまに不快感を示す学生たちの姿。冒頭で暗に示されるのはブラジル人に対する悪質極まりない虐め。日本人ではないというだけで日本人社会に馴染めずブラジル人コミュニティから外に出ることが出来ない。在日クルド人家族を描いた『マイスモールランド』でも濃厚だった排他主義は直接的には描かれませんがそれによって傷つき心を塞いだブラジル人の学生達が見せる諦観を滲ませた表情が印象的。劇中のブラジル人学校は架空の施設ですが出演している学生達は皆実名なので、フィクションでありながら半ばドキュメンタリー的でもある。実際カットによってどちらにも見えること、日本語とポルトガル語、そしてカタコトの英語が入り混じる会話に漲る間の悪さや微妙なそれでも本作の救いとなっているのはブラジル人学校を訪れた高校生が踏み出す一歩で、小さな勇気が重い扉を少し動いたことが示される暖かい終幕が印象的。しかしその背景にある無理解や偏見、それによる断絶が支配的である世界に対する諦観が濃厚なので単なるハッピーエンドには感じられず複雑な思いに駆られます。
そして併映されたのが短編ドキュメンタリーの『Tudo bem?』。『ムイト・プラゼール』製作から2年後、映画に出演したり撮影にスタッフとして参加したブラジル人達へのインタビュー集。実際に彼らが映画製作時に感じたことや、ブラジル人として日本で暮らす難しさなどを赤裸々に語る表情は『ムイト・プラゼール』での彼らのその後にしか見えず、ドキュメンタリーなのにフィクションに見えるという意味で、『ムイト・プラゼール』のスピンオフのような作品。彼らが一様に滲ませるのは彼ら自身は長く日本に暮らしているにも関わらず日本人社会に居場所もなく、さりとて母国であるブラジルに強い郷愁を持っているわけでもない何とも形容し難いもどかしさ。今ここにいる自分を見た目や出自で判断してくれるなという静かな怒りに対して、逆にブラジルに10年暮らした私は大いに共感しました。
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