そばかすのレビュー・感想・評価
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宇宙戦争のトム・クルーズ
今泉力哉感ある巧みな会話劇と訴え
2022年劇場鑑賞102本目 優秀作 72点
正直2022年の最終盤で一番作品力高そうな邦画だと期待していましたが、少し中だるみを感じたけど、鑑賞から時間が経過しジワジワと評価が上がってきた作品
タイトルにもある通り作品の作りが今泉力哉感があって、狭い世界で人間についての葛藤をユーモアを交えて出会いや発見で成長していく作品です
登場キャラクターにそれぞれ分かり易い特徴があって、ゲイだったり元AV女優だったり兄弟からは主人公がレズだと思われていたり、多様性の中で少しずつ自分も周りも理解を深めたり寛容に受け入れたりします
今作はいくつも印象的なシーンがあって、家族団欒(?)食卓を囲んでいるときに伊藤万里華が彼に対して浮気の証拠を掴みその証拠物をぶん投げるシーンや、最後の北村匠海との出会いやそのデート先が当方お気に入りの映画館の横浜ジャック&ベティで物語最後の落とし方のそういう似た様な人がどこかで生きているだけでいい的な発言はこの上なくすごく秀逸でした
ただ、前田敦子演じる元AV女優との出会いが浜辺で黄昏ているときに里帰りした彼女に声をかけられるのですが、学生の時もあまり仲が良くないというか、あまり話さないクラスメイトくらいの間柄なのに、その出会いからの物語中盤がご都合主義だし、そこからの描きのどれに対しても取ってつけた感じがしてしまう(政治家の話とか保育園の紙芝居とか)
けど、観賞後から感じる随所に光る名場面や名台詞がじんわりしてきて結果として印象がいい作品です
是非
素直になりたい
当事者なので共感しすぎて辛い部分もあった
自分も同じようなことがあって、痛いくらいに刺さりすぎる映画でした
観に行くのが怖かったのですが、自分と改めて向き合うきっかけになりました
自分も周りからもとても仲の良いと言われていた異性の友人が居て、親友以上の関係になりたいという想いに応えられなかったことがありました
私は、人を愛するという感情は分かると思っています。飼っている動物に対する愛、家族への愛、友人への愛、でも、セックス、恋愛感情は分かりません
その出来事で親友を失いました
周りからもなんでそんなことしたのと責められました
ですが分からないものは分からないし、もう20数年、30も目前ずっとそんな感じです
当たり前のように恋愛ができるってなんだろうってよく思います
映画内でも合コンの場面の感覚、とても辛くて最初から体調が悪くなりかけました(それくらいリアルな表現で驚きました)
最後の部分では同じアセクシャル(個人個人の感覚は違うのでそのような明言は避けた方がいいのかもしれませんが)の人を見つけて意気投合みたいな感じで終わりますが、まぁ現実はそんなことも無くて、意外にもなく一人ぼっちだったりします
自分にはよく考えさせられる映画でした
心を入れ替えよう
久しぶりに会った友人とかに、結婚しないの?とか、子どもはいいよー、とか安易にポロッと言いがちだったけど、そういうのはもう昭和平成に捨てて来なければならなかったんだな。
子育てに追われてる時はつい、ママ友付き合いするうちに〇〇ちゃんママ、〇〇ちゃんパパみたいな呼び方をしてしまったり、恋愛して結婚して子どもをもうけることが全てみたいな価値観が世界の全てのように感じてしまいがちであった。
これからはこころを入れ替えて、今目の前にいるその人自体と付き合って行こう、その人自身の話をしようと思わせてくれる映画でした。
王子様の求婚を断るシンデレラの続きのお話が観たかったな。
そして、一緒にキャンプに行ったり一緒にデジタル紙芝居を作ったり、議員の父親に怒りをぶつけてくれる前田敦子みたいな友達が欲しくなりました。
前田敦子は最後はあっさり結婚してしまうけど、結婚するという価値観も、結婚しない恋愛しないという価値観とともに逆に認められなければならない。
だから親友の結婚を、チェロの演奏で精一杯祝ってあげるシーンは素敵でした。
シンデレラの動画紙芝居に感銘を受けてくれた北村匠海が出てきてからの続きのお話も観てみたくなりました。
ドラマの恋せぬふたりも良かったけど、三浦透子がドラマよりリアルにアロマンティック、アセクシャルの感情を表現してくれていた気がします。
特に、ホテルの部屋で気の合うラーメン屋と飲むシーンに胸が痛みました。
若く美しければなかなか、男女の友情が成り立ちにくいのは残念です。
おばちゃんになればなるほど男女の友情も成り立ちやすくなる気がしていますが、若いうちはあんなことの繰り返しなんだろうなーと。
世の中全体で個人それぞれの生き方に対し認め合い、他者の考えが自分と違ったとしても理解を深めていきたいなと思いました。
こういう映画はLGBTQIAに理解のある人が観て、理解のない人はそもそも観ない確率が高そうなのが残念です。
空気感が好き・・・まだまだカスミの人生はここから・・・
蘇畑佳純を理解することは、難しかったです・・・。
他人に対して恋愛感情を抱かない女性・・・として
カスミ(三浦透子)は描かれています。
その理由を、男性(女性)に性的な興味を感じたことがない。
と、本人は言っています。
でも・・・
私には競争社会から降りた人・・・そう見えてしまうのですね。
《カスミはチェリストになる夢を諦めた》
その挫折を引きずっている人。
そこからの人生が描かれていて、チェリストを諦めた理由は、
「なんか自信、なくしちゃった・・・」と呟く。
ラストで、友達の真帆の結婚式でスピーチ代わりに、
チェロを演奏をします。
(ヘンデルのオンブラ・マイ・フー・・・独唱されることが多い曲です)
そして喝采を受けて、これがチェロとの訣別になる・・・
と、カスミの言及がある。
ここでも私は戸惑いました。
なぜチェロと決別することを、成長や区切りのように描くのか?
つまりそれは、
チェロがカスミにとって重い大事なものだったから。
☆☆☆
ファーストシーンを観てみました。
☆☆
なんと、砂浜に座るカスミの頭の中に、チェロの不規則なメロディの断片
・・・ノイズのようにチェロが鳴っている・・・
監督の玉田真也さんは、
《音楽専門学校に行くつもりだったが叶わずフリーターをしていた》
と、経歴にそうあります。
玉田監督は脚本を書いていませんが、
《音楽を諦めた人》で、
(フリーターをしていたが、大学生が楽しそうだったので、勉強して、
(慶應大学に入学して卒業したとあります)
カスミはチェロの弦が切れても放っておくほどの、
トラウマ体験をしているのかも知れない。
音大は競争社会で能力の優劣を、否が応でも意識せざるを得ない大学です。
(私は音大出身で才能の有る無しを嫌と言うほど思い知らされたものです)
音大生の持つチェロって、200万円から500万円くらいするのでは?
入学までのレッスン料に学費その他・・・。
親はそのことは責めないで、結婚、結婚とカスミを責める。
(やはり解せません)
チェリストになりたかったなら、
ソリストを目指していたのでしょう。
そして挫折した。
競争から下りて傷を癒しつつ、
静かに生きる道を選んだ。
かなり以前から教育現場が変化しています。
1、小学校では50メートル走の順位をつけない。
2、親の職業を聞かない、
3、生徒の住所も明かさない、
4、教師は家庭訪問を辞めた、
5、子供たちは互いに下の名前で呼び合う、
(かなり大きくなるまで、お互いの姓を知らない)
差別をしない、
競争をしない、優劣をつけない、
その教育の陰で、
実は熾烈な虐めが行われていたり、
不登校が増え続ける。
コールセンター勤務から幼稚園教諭に転職しただけでも、
生身の人間と向き合う仕事。
カスミが変化したように思える。
そして世永真帆(前田敦子)と共に、
新解釈「シンデレラ」の紙芝居を作るものの、
勇気がなくて途中でやめてしまう。
この映画は、
生き方の多様性を描いたようでいて、
自らの意志で競争から下りて、迷いながら
生き方を探し求める若者の姿を
描いているように見える。
ラストに登場する同僚役の北村匠海。
考えの似てる彼が、ソバタ・カスミの人生の起爆剤になるのかも知れない。
ソバカスの試行錯誤は、
まだまだ続く。
40代のカスミ、
50代、60代のカスミを見てみたい。
そう感じる映画だった。
前田敦子のキャラが強い
共感
普段の私だったら起伏のないストーリー、
いつも背が丸くて魅力に欠けるヒロインにうんざりしていたことだろう。
事実、妻は余り好感を持っていなかった。
私がこの映画を評価するのはヒロインへの共感以外にない。
私には性欲はあったので結婚はして家族を持ったが、
それ以外の点の生きづらさはヒロインに強くシンパシーを感じる。
北村匠海が歓迎会を断る気持ちも
別々に映画を見る気持ちも手に取るように理解できる。
私も妻に別々の映画を見ようと提案することがよくあるが、
妻は怪訝な様子で理解してくれない。
それがこの映画への評価の違いに表れている。
役者の中では前田敦子には驚いた。
雰囲気のある女優になったと思う。
三浦透子さんというだけで期待値は上がったけど、周りの評判が良くて...
三浦透子さんというだけで期待値は上がったけど、周りの評判が良くていく。シナリオも良かったけど、透子さんと前田敦子さんのナチュラルな演技がよかった。
シンデレラはサイコー。最後まで見たかった。
お父さんを巻き込んだ家族の物語になっていること、敦子さんの話も構造的によくできていた。細部の話もいい。
誰にでも元気を与えてくれる
なんとなく印象に残る脇役の多かった印象の三浦透子さんが、ずっと主演で中心にいるとその表情の豊かさに、今更驚くばかりです 8年前「私たちのハァハァ」という女子高生4人が北九州から東京を目指すロードムービーがあって、その1人が三浦さんでしたが、8年経ってこんな立派になられたことに嬉しさを感じます 本作のタバコのポスターも、また仕事の休憩中にタバコを吸うシーンも、適度な「やさぐれ感」がある一方で、子どものような表情をみせる場面もあって、そして最後の歌も、彼女あっての作品となりました 自分の思いとか、考えていることが否定され続けていても、ちょっとでも理解してくれる存在があると、それまでの鬱積が消えて目の前が大きく開けていく 押しつぶされそうになるしんどさにあっても、少しの理解者があれば頑張れるのかもしれない 父親にとっての娘のかけてくれる優しい言葉もまたそうなのでしょう 子どもの時から観ていた田島令子さんも安定した存在感でした 前田敦子さんも適度な「やさぐれ感」の役が多いように思いますが、ますます安定されていますね(3月5日 ジストシネマ和歌山 にて鑑賞)
年の初めだったら初笑い!?
三浦透子
ジェンダーについて考えさせられた。
ジェンダーについて深く考えさせられた。
三浦透子さんの演技が心地よく、ジェンダー問題に対する葛藤がこちらまで伝わった。
普通ってなんだ?て思わされるようなシーンが多く、マイノリティな主人公らの考え方は、時に他人に押付けてしまうような描写もあった。ただ、主人公らは日頃から窮屈な思いもしているので、それを否定されたシーン時の辛さは観客の私の胸を締め付けるような感覚に陥った。
理解しようという気持ちが強く、中々感動は出来なかった。
ただ、いい作品だったし、羊文学(歌うのは三浦透子さん)の主題歌も良く、本当に見てよかったと思う。
そばかす蘇畑佳純は素が素敵
感情は自由に持っていいものです
大昔から個人個人バラバラであったのだろうと薄々みんな分かっていたと思うのです
時代によって大人達が勝手に枠を作りそこへ当てはめていたのでしょうね
まだまだ人類は未熟で幻のような常識の中で生きていくには己を出すことがまだ危険な時なのかもしれないのかも
正義も曖昧だし大国が戦争もしている
その一方では何々ハラスメントと言っていったい何をどうしたら良いのかも模索中
個々の性格や癖や思考、思想などを分析してしまったら誰だって何かしらの病名がついてしまうのかもしれないな〜などとずいぶん前から思ったりしています
丸四角メガネの人が言ってました
人と関わることは大なり小なり人を傷付けてしまうことなのだと
本当のことをカミングアウトしたら親が悲しむかも知れない、「好き」と言われてそれを拒んだら相手を傷付けてしまうこともあるでしょう
人と関わるのはそれを踏まえて人と生きていくしかないのでしょうかね
あまり臆病にならずにもっと楽になってもいいんじゃないかと思います。
自分に正直でありたい。
映画を観ると、自分がいかに固定観念に囚われて生きているかを改めて思い知らされて、もはや気持ち良い。
初っ端の合コンのシーンで、好きかもと言われるシーンハッとさせられた。
自分の意思が希薄な私は、自分が相手をどう思うかに関わらず、好きかもと言われたら、一気に自己肯定感があがり、選ばれた、ということに舞い上がってしまうと思う。
自分の意思に関わらず、相手に選ばれることにしか自分の価値を見出せない、旧タイプのシンデレラと全く同じだった。
なので私は終始、苦しむことや悩むことも多いけど、自分の気持ちに正直なカスミが眩しかった。
もっと自分の気持ちを大切にしなければ、勝手な常識に囚われていると、自分に正直に生きている人を苦しめたり、理解できなくなってしまう可能性があることに気付かされた。
わたしは常に人の目が気になってしまうし、誰にでも好かれたいと思ってしまう。その意識より、自分の気持ちに比重を置きたい。
まずは映画を観終わった後の、たくさんの人で賑わう繁華街でひとり、気ままに歩いてみた。
自分が気持ちいいな、と思う方向にいきたい。
そんな、柔らかくて清々しい気持ちで歩く帰り道が心地よい映画。
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