渇きと偽りのレビュー・感想・評価
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第二の天性
妻と息子を殺害したのち、自殺したとされる旧友ルークの葬儀に参加する為、故郷に戻って来た連邦警察のフォーク。何か偽りがあるのだと、この事件の真相を探りたい一方で、彼自身も過去に起きたある出来事に何か関わっているようで・・・と言った物語。
過去と現在の2つの事件を軸に描いた、重厚なサスペンスでミステリーな作品。
とりあえず、死んだルークが犯人ということで片付けられている模様だが、それを信じない彼の両親はフォークに捜査を依頼。
しかし、20年前の少女が亡くなった事件の犯人だと疑われたままのフォークは、一部の人達から酷い扱いを受け、捜査が難航していく。
もうね、このテの作品が好きなワタクシとしては、垂涎ポイントだらけで釘付けでした(笑)
まず、登場人物が皆いちいち怪しい。
亡くなったルークもやっぱり怪しげだし、エリーの従兄弟、事件直前まで一緒だったという農夫、お医者さん、なんならグレッグやグレッチェンまで本当に信頼できるのか?
もっと言えば、フォーク自身も過去の事件について何を知っているのか知らないのか。。観客側にはなかなか明かされず、主人公でさえもどこまで信じてよいのか。
考察しながらみるのが好きなので、この攪乱は嬉しい限り(笑)‼
終始哀し気な雰囲気と緊張感が漂い、それでいて展開は複雑すぎず、しかし犯人の見当はつかず・・・。まさに観易いながら考えさせられるミステリー。
あ~この人が犯人か。。
と、漸く映画がまとめにかかったと思い、ワタクシ自身落ち着きだした所で・・・え、急に皆どうした変な動きして!?
もうここからは前のめりですよホントw‼
そこからはあーなってこーなって、これが真実か‼
アニメとスイーツ系以外は粗全ジャンル観るワタクシですが、やっぱり映画ってこういうのが最高ですね。
しかしまだまだ終わらない。まだ明かすべき謎が残っていますもんね。そして・・・。
兎に角ワタクシ好みの作品でした。間違いなく今年の暫定トップ3に食い込んできますね。
ストーリーも勿論、砂漠の荒廃した寂し気な空気、そしてキャラクターも皆魅力的。
個人的にはグレッグとホテルのオーナーさん、そして少ししか出なかったけどジェイミーのお婆ちゃんがお気に入り。また、ジェイミー自身の言葉も本作の核心を突いてましたね。
ミステリー作品って意外と少ないですからね。今回はオーストラリアでしたが、ホント各国に作ってほしい(笑)
普段大型作品しか観ないような方々にも是非観てほしい。
きっとミニシアターファンになっちゃいます。
・・・ただ、フォークは結局本当に真実に辿り着いたのかな。。?
よくよく考えたら、最後までのことが書かれているわけないし。。まぁ推察は充分できるだろうけど。
とにかく、連休最後の憂鬱な夜に、思いがけず突如出逢った傑作だった。
オーストラリアの田舎町の地方色や雰囲気は良く出ていた。ただ、ミステリとしてはやや淡白。“渇いていた”のは土地ではなく人の心だったというテーマはちゃんと伝えられている、とは思う。
①Oxford Dictionaryを見ると「The Dry」でmainly Australian the dry season⚪Australian a tract of waterless country とあった。つまり、オーストラリア(確かに海浜地帯以外の国土は殆どは砂漠だもんね)=「乾いた土地、水の無い土地」ということで、原題が『The Dry』というのも、そういうオーストラリアの田舎町を舞台にした話というくらいの意味合いで捉えたら良さそう。そういう意味では邦題はちょっと外してるかな。映画を観てても1年近く雨が降っていないにしては町の人はあまり困っていないみたいだったし、農場もウサギがいるくらいだから全く不毛ではないようだし。ただ、舞台となるキラエアという町はヴィクトリア州内の設定でありヴィクトリア州は最内陸部はともかくオーストラリアでも緑の多い地方なので、世界の砂漠化は進んでいるんでしょうね。
②田舎町の人間が余所者を嫌ったりコミュニティー内の結束が強いのは、アメリカの西部でも、イギリスの田舎でも、私の生まれ育った奈良の田舎町でも同じなので、特にこの町が特別というわけでもない。
③田舎町の犯罪だから手抜きをしたのか人手が足りなかったのか、何故ルークが図った無理心中だと決めつけた説明がないので最初からミステリ性が弱い。覆されそうもない状況であればこそ真相の意外性が際立つのに。それと、私は長くミステリを読んできた習性ですべての登場人物を疑う上、映画も誰も彼も疑わしく描いているだけで捻りがないので真相が分かっても“ああ、そういうことだったのね”感が先に立って悲劇性が薄い。校長のルーク殺害のシーンでは石でルークの頭を二度殴っているが検死の時に問題にならなかったのかしら。そうだとするとオーストラリアの検死官もかなりのボンクラと言わざるを得ない。
④エリーの死のいきさつは中盤くらいで大体読める。高校時代のグレッチェンの言ったこととエリーの墓をアーロンが参った時にエリーのおヤッさんが出てきて墓を守っていると言ったところでピーンと来る。
⑤最後までだれないので演出力はある。ただ、あまりに淡々として緩急が足らない点もあり、校長がガソリンを撒いて自殺を図るクライマックスはもう少し盛り上げて欲しかった。スローモーションだけでは物足りない。あと、意外性を狙ったせいか校長の人物像が描き足りなくて追い詰められて已む無く犯行に走った感がないので手前勝手という印象しかなく(あんなところでガソリン撒いたらどうな分かりそうなもの。都会人がオーストラリアの田舎の現状を理解していないということを描きたかったのか?)同情出来ない人物像になってしまっている。(奥さんは最初から疑っていたんでしょうね。)ビリーまで撃ち殺さなければならなかったところももう少しサスペンスと悲劇性が欲しかった。
⑥エリック・バナはオーストラリア生まれ育ったんですね。だからオーストラリア英語があんなに自然だったんだ。歳を取って渋いイケメンぶりになってきたが、時々若い時のビル・マーレーに見えるときもあり。
⑦原作(英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガー賞(最優秀長篇賞)は面白そう。蛇足ながら同じ最近のゴールデン・ダガー賞授賞作ではM・W・クレイヴンの『ストーンサークルの殺人』もお薦め。
ウサギ狩り
324日雨が降っていないオーストラリア内陸部の田舎町で起きた一家心中事件の真相を追う、昔この町を追われた連邦捜査官の話。
心中した家長ルークの旧友のアーロンが葬式に参列する為に町を訪れ、心中を信じられないルークの両親に頼まれて事件を追うストーリーと、10代の頃アーロンが町を追われることになった事件の記憶をみせていく。
過去の話はアーロンを追い詰めたり非協力的にする役目と、心中事件の犯人を攪乱するぐらいの役割かな?
まあ、それのおかげでルークの人柄が良くみえるけれど。
昔を話しでしか知らない新人警察官や校長先生や医師の手を借りつつ、トラブルに見舞われながらも事件を調べ綻びをみつけて行くサスペンスで、なかなか観客の引っ掛け方も上手いし最後まで愉しめた。
ただ、リュックからの件はちょっと違和感があり、まあその言い分もわかるけれどねぇ…とイマイチしっくり来なかった。
オーストラリアの田舎町、過去と現在の事件…
映画館でポスターや予告編を観てから、面白そうだと楽しみにしていた作品ですが、
期待どおり面白かった♪
干ばつで、ヒビ割れた、広大な大地の画から始まり、ハードボイルドでカッコイイ。
オーストラリアなので『マッドマックス』を思い浮かべちゃいます(笑)
過去の事件と現在の事件…
けっこう骨太な重厚なサスペンスで楽しめました。
少し甘めの星4つ。
広大な農場
オーストラリア・メルボルンの連邦警察官アーロン・フォークは旧友ルークの葬儀のため、20年ぶりに故郷の町に帰ってきた。ルークは、妻子を殺し自ら命を絶ったのだった。町は長く雨が降らずに干ばつに襲われており、ルークが事件を起こした背景にも作物の収穫が落ち、農業に行き詰まったためで、ルークも干ばつの被害者だと思われていた。しかし、疑問な点を感じたアーロンは町にとどまって非番で捜査を行ううちに、未解決事件となっている20年前の旧友エリー溺死事件と今回の事件がつながっているのではないかと思い始めた。真相はいかに、てな話。
撮影場所がオーストラリアなのかどうか知らないが、広大な農場の風景に圧倒された。あれだけの土地が乾燥して農作物が枯れたら生活できなくて自死もありえるな、という布石が素晴らしかった。
エリーの父があんなにしつこくアーロンを責めるのがよくわからなかったが、なるほど、と納得する結末だった。
色々なウソがだんだんとわかってくるストーリーが素晴らしかった。
面白かった。
ミステリー小説を上手に仕上げた映画
どんな映画だろうと観始めたら、 これがなかなか手の込んだミステリー。冒頭の死体のシーンからタダならぬ雰囲気が漂い、期待が高まる。 非番の警察官フォークを演じるエリック・バナが、落ち着きのある芝居で好感触。 タイトル通りDRYな空気の中だけで淡々と物語が進むので、2時間は若干長く感じたが、 大満足と中満足の間ぐらいの満足感であった。
原作がベストセラーだったそうだ。 実際、面白いミステリー小説を、監督が上手に料理したといった印象。 ただ、ミステリー自体の出来が良いから面白く出来たものの、映画作品としては、それ以上のものにはならなかった…とも感じる。
乾ききった大地、閉鎖的な町の空気、そして、現在と過去の二つの事件。 作品を構成するこれらの事象が、 奥深い事実によって密接に関連づけられていることを、もっと明確に描くことはできなかっただろうか。 素人の勝手な意見だが、何倍も面白くなり得た作品のような気がする。
干上がった大地で起こったこの血生臭い出来事は、 エンディングで流れる「Under The Milky Way 」という印象的な曲と共に幕を閉じる。 雰囲気のある歌声で、結構良かった。
膀胱がパンパンじゃなかったら、エンディングロールの最後までいい余韻に浸れたのだが…痛恨のミスである。 上映前にコーヒーを飲まず、渇いた状態で席に着くべきだった。 ぬぅぅ…
エリック・バナ祭り
結局自分のついたウソは認めずに終わるんだ〜…
と思ったら、続編「Force of Nature」があるらしい。
そこで全部回収されるのかな?
※「Force of Nature」で検索すると、メル・ギブソンの映画がヒットするけど、
ロバート・コノリー監督が続投という事だから、違うっぽい…。
メイン館「シネマカリテ」のささやかなスクリーンではなく、
配給元であるイオン系列の大きなスクリーンで見たかった。
酷い話だがモヤモヤはしない
2022年劇場鑑賞220本目。
タイトルだけで鑑賞を決めたので邦画の恋愛映画かな?と思っていたら一つもあってなかったぜ!
始まっても凄惨な事件が人の手によるものなのか、悪魔のしわざなのかも分からないまま観ていたので他の人より余計に楽しめたのではないかと(笑)
生まれ故郷で起きた、親友が絡んでいる事件を非番のFBIである主人公が捜査するのですが、過去の事件の容疑者だと思われたままなのでまぁ捜査が進まない。もどかしいなぁと思いながらもちゃんと真相に近づいていくので良かったです。酷い話だなとは思いましたけどね。
と見せかけて×2
都会(メルボルン)で連邦警察官として働く主人公が、高校時代の旧友が赤ん坊を残し心中したという訃報を受け葬儀出席のため20(30?)年ぶりに帰郷した。旧友は妻と小学生の息子を殺して自殺したと見られたが、地元に残って若い警察官と共に捜査をする。高校時代の思い出が次々蘇り、当時の川や湖は乾燥で完全に干上がっていたが、その記憶の中に当時のガールフレンドエリーの川での死亡事故もあった。何よりエリーの持っていたメモから彼女の遺族は今でも彼を容疑者と疑い、暴力や中傷を繰り返すのだった。主人公は今回の事件と20年前の事件が無関係ではないのではないかと調べるが…。
意外にも、主人公に好意的だった移住者の1人である小学校校長の経済的困窮を発端とした殺人だった。
→(あれ?2つの事件は関係ないんかーい。なんやしょーもない理由やなあ。じゃあエリーはなんで死んだんや?)→
乾燥地帯で灯油を撒いて焼身自殺をしようとした犯人を警察官と2人で止め、町が全焼するのを防ぎ、彼は住民達が彼に抱いていた疑惑を晴らした。
町を去る前にエリーが亡くなった川に弔いに行くと、岩間に当時のエリーのリュックを見つけ、その中の彼女の日記に父親から性的虐待を受けていたこと、母親はそれで逃げ出したことが綴られていた。
その後、この父親の罪を追及するのかは不明のまま終わる。
オーストラリアが抱える社会問題を描いた、というのは少し齟齬があり、温暖化で雨が降らず乾燥に悩まされているというのは土地柄だとしても、閉塞的で排他的な田舎社会はオーストラリアに限ったことでもない。
それでも派手さのない演出は観客を惹きつけるものがあったと思う。
主人公エリック・バナと彼の高校時代の俳優が似ていなさすぎて最初区別つかず。エリック・バナはリーアム・ニーソンに似てきたなぁ。相手役の女優さんはナオミ・ワッツに少し似ていて、あれがオーストラリア顔なのか?と思う。
テイラー・シェリダン作品のよう
20年前の友人関係と事件、その現在と新たな事件。
両方を丁寧に紐解きながら、人間関係も描いてゆく。
渇ききったここ数年のオーストラリアを舞台にした現代パートと、まだ水も豊かだった20年前のパート。それが彼らの人間模様を象徴しているようで切ない。
テイラー・シェリダン脚本作品を想起させるドライで落ち着いた筆致も良い。
役者も良かった。特に現代パートの警官役の彼と、過去パートのエリー役の彼女は最高だった。
今年ベスト級。
天の川の下で
すごく面白かった。今回は皆さんのレビューをあらかじめ全部読んだ。そうした方がいいとなぜか思ったからだ。読んでよかった。映画は乾燥して熱い空気と渇きが充満していて、地平線が見える広大ながら狭い田舎の世界に最後まで連れていってもらえて飽きることがなかった。
高校時代の友達との思い出。水がたっぷりの川に緑あふれる所。20年後の風景をその時は想像だにしなかったろう。でも田舎のメンタリティと娘を虐待する父親という構図はいつでもどこにでもあることに愕然とする。
天の川が本当に水を湛えていたら乾きの場所には水を、水が荒々しい場所には水を止めて欲しい。どこの土地でも人間はまだ必要な存在であってほしい。人間にもできることがまだあると信じたい。
おまけ
エリック・バナ、かっこいい。「ハンナ」(2011)の父親役だったんだー!年を重ねた今の方が素敵な感じがする。
DRYドライ
最初の方は何がなんだか??
で進行しますが、ソロリソロリ
と謎が解けて行くサスペンス
ミステリーと言うのでしょうか
どこかで見た様な内容ですが
私は、大変面白かったです。
英名は「ドライ」渇きって
心のどこか?・・分からない。
題名のとおり。結末が知りたくて飽きることは無い。ただパーフェクトな結末では無い。
レイトショーでも無いのに、公開直後の週末連休初日にもかかわらず
300人の器に客が2人。
台風の影響はあるだろけど、最近は「史上最大級」「最高強度」と保険的に気象庁ほか
が「責任問題にならないように」大袈裟な表現繰り返すから、すっかり「狼少年」状態。
やっぱり大したことなかった。
しかしこの客数は衝撃。確かに洋画字幕であんまり宣伝もしてないだろから
大入りでないのは仕方ないが・・・後半デレートできないので申し訳ないですが
貞子 DX より怖いよ。大スクリーンで2人だけ・・こっちの方が「DX」だヨ。【独り言】
①干ばつ、干からびる、温暖化
②過去の幼なじみの事件の嘘の口裏合わせ
③現在進行形の悪
がテーマ、有料パンフ見ると「イヤイヤこういう乾燥はオーストラリア🇦🇺は日常茶飯事で、未だオーストラリアは
恵まれた大地だ。」「温暖化の影響大きい。」両論書いてあってどっちやねん❓
確かにオーストラリア
ガキの頃から「アメリカは山の近くにもそこそこの大都市あるのに、オーストラリアは端っこにしか都市がない
大鑽井盆地とかもう、ネーミングだけで不毛の大地でメゲて気が遠くなりそう・・・
本作はオーストラリア田舎の風情、田舎ゆえの閉鎖性を背景に
クライムサスペンスというか、謎解きが進行する。
最後は意外な結末。
若干のこじつけ感は仕方ない。ツーか過去と現在の進行のリンクが
ワシにとっては?❓❓はぁ❓という感じであった。人によると思う。
画面進行的にはなかなか最後まで引きつけて上手い。
まあ明らかなのは「半端な口裏合わせのウソは良くない」ということ。
あと、水の恵みというのは、人間の一次的欲求と結びつくから、最重要。
シャワーも出ない街に何年間も住めないよねぇ。
地下水もあるだろに・・
お客さん、ほとんどいないと思われますので、どうか映画館で鑑賞してください。
もう一人の男性客、字幕終了まで居てくれて良かった。
「大スクリーンで貸切・・しかも公開直後」って背筋が凍る恐ろしさだよ。「貞子 DX」より怖いよ。
なんで
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