「法は万能ではないが、守るべき約束」映画 イチケイのカラス bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
法は万能ではないが、守るべき約束
同名コミックで、ドラマ化もされた劇場版。ドラマもたまに見る程度だったし、ドラマの映画化は、正直、それほどの見応えは無い作品が多く、観ようか迷っていた作品であった。しかし、レビューが、そこそこ良く、『コンフィデンスマン』の田中亮監督と、『プラチナダータ』の浜田秀哉が脚本ということだったので鑑賞。
クライマックスの法廷シーンはなかなか見応えがあった。入間みちおと坂間千鶴、そして医師の小早川悦子との絡みの中で、やり場のない意外な真相を突き付けられる。そしてその後も、殺人事件の犯人へと繋がる、よく練られたサプライズな展開が用意されており、最後まで見届けられる作品となっていた。
内容は、岡山の瀬戸内海で、イージス艦と荷物運搬船が衝突し、沈没し船員全員が死亡する事故が起こる。その船長の妻は、焼香に訪れた防衛大臣に対して、「真実を隠蔽していると」傷害事件を起こし、その事件の裁判を入間が担当することになる。
一方で、坂間も、裁判官の多職経験制度によって、岡山で弁護士として活動していた。そこで、地元の大企業である『シキシマ工場』の土壌汚染の疑惑隠蔽を、人権派弁護士の月島と共に、調査を始める。しかし、月島の裏の顔ものぞかせる中で、入間も坂間も、見えない圧力により、窮地に追い込まれていく。
物語の基盤として、地方都市における課題としての、人口流出や企業頼みの偏った街の運営について、一石を投じているのだと思う。また、その課題と共に、人として法は厳守すべきものではあるが、万能ではない事実と切なさも突き付けてくる。
キャストは、テレビから引き続き、入間役を竹野内豊、坂間役を黒木華が、凸凹コンビ振りを演じている。そこに、防衛大臣役の向井理、月本弁護士役には斎藤工のいい男2人が、それぞれの持ち味を生かした役柄を演じている。他にも宮藤官九郎、尾上菊五郎、吉田羊、山崎育三郎、柄本時生等の個性豊かな俳優陣が脇を固めている。
cocoloさん(^^)コメントありがとうございます😊
なかなか深い見方とcocnloさんの熱量を感じるコメントをいただきました。
破天荒な検事や裁判官を主人公にする事で、型にハマらないで、あくまでも、真実を追求しようとする、一番根本的な部分を大切にしているのだと思います。
bunmei21さん、共感ありがとうございました。
この作品と、よく対比されがちなキムタクのHEROにせよ、イチケイにせよ、作品から何を感じとるかは人それぞれなのですが、私は、社会派ドラマと思って観ていないのね(^_^;)
あくまでも人間を描いている、みたいな。私は、そこを観てる。
両作品共、ドラマが終わる時、レッテルを貼られたまんまの人がいないのが好きなんですよ。
誰かにとって、誰かが障壁となると、邪魔だからその存在を消したくなる。どうするか?何らかのレッテルを貼って、その存在を封印する。全く別物として存在させようとする。存在させられる。
真実=正しい、正義。という視点だけではなく、別物として存在させられる者の胸の内まで、ドラマ中の法曹界の人間達が思いを馳せるのが、そんな描き方が好きなんですよ。
最近は大変ですよね。ちょっと優しくしただけで、セクハラとか騒ぎたてられかねないσ(^_^;)?まあ、騒ぐ方も、一生懸命生きているんだろうし、誰の人生も全否定しない、みたいなところが好きです。