劇場公開日 2022年8月19日

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「再上映の意味」ロッキーVSドラゴ ROCKY IV シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0再上映の意味

2022年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

42分の未公開シーンの差し替えというのが気になって鑑賞してきました。
とは言え、40年近く前の元作の細かなシーンなど殆ど憶えていないので、帰ってからもう一度『ロッキー4/炎の友情』も観返してしまいました。
で新旧続けて観た結果、上映時間は殆ど変わらないのに42分の未公開シーンを入れたというのは、かなり疑わしいです。
新しいシーンも少しありましたが、むしろ1~3の名シーンを再利用した方が多くあった気がします。
あと、子供とのやりとりやポーリーとロボットのシーンなどコミカルなシーンは殆ど削られていて、アメリカパートの方を特に再編集し直したという印象の方が強く、全体的にシリアスなトーンでまとめられていました。後半のロシアパートは特に大きな変更はなかったと思います。(音響や音楽は全体的に再編集してかなり変わっていましたが…)
とりあえず大きく変ったのは作品のトーンであって、何故この様なシリアスなトーンに変更したかったのか?、若しくは今回何故スタローンが作り直したかったのか?は、やはりロシアとウクライナとの戦争が一番のキッカケであって、特に試合後のロッキーのインタビューの台詞をもう一度ロシア国民に届けという思いにかられ、作った様な気がします。
ちなみにその台詞も引用し載せておきます。

「試合をするうちに、みなさんの私への感情、そして私のみなさんへの感情に多くの変化が起こりました。リングの上で、2人の男が殺し合いをしました。しかし、200万人が殺し合うよりも良いことだと思います。私が言いたいことは、もし私が変わり、みなさんも変わったのならば、誰でも変わることができるということです!」

追記,
今回観直してこの作品(シリーズ)の面白さについての要因の一つを発見出来ました。
というより、勘違いしていたのかも知れませんが、本作のボクシングシーンの面白さって、本来のボクシングの面白さとは異質であって、本作のボクシングシーンの面白さに本来一番近いのはブロレスなんだということを、今更気付いてしまいました。
ボクシングって、基本格闘技であり格闘スポーツであって、現実のボクシング(全ての格闘技)は打撃(技)を如何に避けるか、避ける相手に如何に当てるか(極めるか)のゲームであって、映画「ロッキー」の中の様なボクシングは現実的には不可能であり、それが可能なのは受けの美学のスポーツショーであるプロレスだけであり、ロッキーのボクシングシーン(構成)に一番近いのは、最近の胸板へのチョップ合戦の様な意地の張り合いや我慢比べの様な、痛みを観客に伝え興奮させるプロレスそのものなんですよね。

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シューテツ